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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第2章
20/80

019 ウルという人

担当:宮居

その姿を見て、シナが言う。

「あら、貴方」

「お久しぶりです、アルケミア。ルイは元気にしてます?」

アルケミア……?

「なんでそんなよそよそしい話し方なのかしら?」

「……貴方こそ」

青年が部屋に入って来、扉を閉めた。

「まだ使えるの?」

「出来るよ」

扉に向かい、手を伸ばしながら、青年がシナの問に答える。



「シュリュッセル」



何かを唱えた……どこか別の国の言葉……

……魔法?



シナが扉に寄る。

「……流石ね。これで安心して話が出来る」

「まぁそうだけど、その前に、彼女たちに説明してあげたらどうだい?1人はこちらを見もしようとしないけど、話は聞いているのだろう?」

エルはフードを被ったまま、黙々と布に向かって何かをしていた。

青年が言った言葉にも反応しないが、聞いてはいるだろう。


「貴方がしたら?」

「そこは仲間の君が、だな」

「自己紹介くらいしなさい」

「僕がするのは手間だと思うんだ」

「どちらでもいいから早くして下さる?」

シナと青年のやり取りを遮断し、言う。

このままじゃ話が進まない。


それに、シナは知り合いらしいけど……本当にこの部屋に入れてよかったの?


「……彼はシイの兄貴分。半竜人のウル」

「捨てられた子達のリーダー的なことをしてるんだ。あのスラムの子達の、ね。聞きたいことがあるなら今のうちに。この鍵もすぐ解けるし、僕も戻らないとだから」

「やっぱり貴方が名乗れば良かったじゃない……」

とシナのぼやきが聞こえた。ウルは小さく、いたずらに笑う。



「……じゃあまず、アルケミアってなに?」

一旦飲み込んだ疑問を吐き出す。

シナのことをそう呼んでいた。

「それはこいつの名前だが?何お前名乗ってないの?ってあぁ、そういうことか。なら僕も合わせた方がいいのかな?」

「シイは直ぐに理解してくれたけどね……こいつは全く」

「ところでルイは元気なの?」

「話しそらさないそれ後で」

「りょー。まぁ何だアルケミアって名乗ってた時期がこいつにあってーってことさ。ところでシナ……」


なんかこの2人凄くテンポ良く話すわね……。

会話が止まらない……。

あとこの人、適応早いわね。


「さっきの鍵、教えて欲しいのだけど」

2人の会話を再び遮り言う。


昔からこの人たちはこんななの……?

ルイとも知り合いらしいけども……疲れるわ……普段無口なシナがこんなにも口を開いて……不思議な光景でもある。



「あぁ、あれは君……アンジェの予想通り魔法だよ。呪術はここでは使えないからね。即ちここでシナは戦力外〜」

「あとで覚えてなさい……」

「事実だろー?」


キャラが崩壊しつつあるような気がするのだけども、この人たち大丈夫なのかしら……?

混ぜるな危険、な感じがする。


「というか、なんで名前……」

「ん?あぁ……ごめんね。僕にはある程度の個人情報……名前とか、情報バンクの基準からタイプとかがわかるんだ。見させてもらった。言わなくてごめんね」



そんな恐ろしいこと……さらっと……なにこいつ……



だけども、と思い返す。

仲間として協力してくれるってなら、かなり便利なんじゃない?

……今後も付いてきてくれるなら、だけど。

敵には回したくないわね……。


「それも魔法?」

聞くと頷く。

「これはこの眼に永久的にかけることのできる魔法だよ。僕が使う魔法はここから遠く離れた土地で身につけたものでね。さっきの鍵は、扉の鍵としてだけでなく、防音効果とかもあるんだ。こちらから、向こう側へ、鍵が解除されるまで、一切のことが出来ない。扉を開けることも、音が向こう側に漏れることもない。普通に鍵としての効果もあるから、向こうからも扉は開けられない。外の音とかは聞こえる。そんな感じ」

「へぇ。便利ね」

「ただし、時間が決められててね。長くても20分が限度なんだ。延長することも出来るけどね。それには別の魔法がいるし、負担も大きい。それと1度使った魔法は30分間使えないっていう少し面倒なこともある」

「20分で魔法をかけた場合、解けてから10分間は使えないってことね」

「その10分は別の魔法で乗り切るしかないね」

「ふーん……。じゃあルイと貴方の関係は?」

「ルイとは幼馴染みだよ。彼女がここで暮らしていたのは知ってる?」

「えぇ、聞いたわ。暮らしていたってことだけは」

「ここは昔、あんな大きな壁なんてなくて、竜と人は、共存していたんだ」

とウルが言うと、シナが口を挟んだ。

「詳しくはまたあとで話す……この話は長い」

「そうだな。魔法が解ける。頼むよシナ」

わかった、というようにシナは頷く。


「だからまぁ半竜人なんてのがいるんだけどさ。それなりに長い期間、ルイとは一緒だった。けど、シイの母親がどこからか持ってきた石……呪石の所為で、竜たちは暴走。人は魔法を使って、暴走した竜たちを抑え込み、あの壁を建てた」

シナが後を続ける。

「絶対に解けない魔法の壁。あれを建てたのはアリュード。この国の現王。あの人が生きてる限り、あの壁は壊れない。そしてあの人は死ぬことがない」

そしてその続きはウルが。

「まだここに呪術を扱える魔女がいた頃に、彼は呪いをかけられて、不老不死になったんだ。それはシナの師匠だったのだけどね」


不老不死、なんてもの、本当にあるのね…


「美月のおかげで……この国はなんとか形を保つことが出来た。暴れる竜たちも今は落ち着いてる。代わりに彼女は死んでしまったけど……」

とシナが言う。


美月……何処かで……

昔何処かで、聞いたことがあるような………


「でももともと、彼女は死ぬ気だったんじゃないか。あぁ、そういえばあの子は元気だよ。会いに行ったら?」


死ぬ気だった?

あの子??


ウルとシナは話を続ける。

あたしを置いてきぼりにして。


「時間が取れたらそうする」

「もう殆ど人と変わらないよ……人形だってことを、皆が忘れているように見える」

「実際忘れているんじゃない?何年前の話よ」

「かもしれないね……他に質問は?」

ウルが自ら話を戻した。

扉を気にしてるってことは魔法の効果もそろそろ切れる、ということだろうか。


少し迷って、吐き出す。


「……スラムのことについて」

ふむ。と呟いてから、

「壁が出来た時、人は竜を恐れ、そして竜の血を持つ僕たちを恐れた。そして親は子を捨てたんだ。今時珍しい話ではないな。ルイやシナもそうだし……。壁の付近に、僕たちは集まったんだ。追いやられたと言ってもいい。そして集落を作った。偶然なのか使われてない家とかあったからね。そこに住んでいた人たちは恐らく、ここにいたら危険だと感じて、城の方へ逃げたのだろう。まぁそんなこんなであの場所にボクたちは生活してる。全部で30もない数でね。捨てられた半竜人が全員、そこで暮らしているよ」

ウルは話す。


うちの施設よりかは、少ない人数か……。

ログリール孤児院は


「さて、そろそろ時間だな……まだあるかもしれないけど僕はそろそろあの場所に戻らなきゃだし、この鍵もそろそろ解ける。今日はこれで上がらせてもらうよ……ではまた次の機会に。それとシナ、折角来たんだ、ルイとの連絡方法教えてくれよ。それか連れてきてくれても良かったんだぜ?不便だ。まぁ彼女はこの国に入ろうとはしないだろうが……」

「わかってるじゃない。ルイはもうここには来ない。それと……彼女は貴方との接触を望んでいない」


「さぁ、どうだろう?」


なんとも言えない表情でウルはシナを見つめる。

「……またあとで、ゆっくり話そうじゃないか」

そう言うと彼は魔法を使った。

「ヒメル」

一瞬で姿が消える。ワープ魔法か……?

「全く……変わらない……」

シナがぼやくのが聞こえた。

「ルイはもう、貴方のことを見ていないから……」






ルイとウル。

この2人、昔になにかあったみたいね……

次回更新予定日→8月14日 20時



以前書いたかもしれませんが、この国の過去編及びシナ ルイ ウルの過去編は番外編として本アカウントで投稿します。

美月さんに関しては知ってる方もいるかもしれませんが、別の物語シリーズとシナの過去編にて登場します。

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