第34話「エルフは、ショートカットを覚えた」
「主人公さん。畑仕事を早く終わらせる方法を教えてください」
「ショートカットだな」
「近道ですか?」
「まあ、そんな感じだ」
主人公は地面に棒で四角を描いた。
「畑を耕して、種をまいて、水をやる。これを順番にやるより、道具を工夫したほうが早い」
「なるほど」
「例えば、種を一気にまける道具を作るとか」
エルフは真剣に頷いた。
「分かりました。任せてください」
翌日。
主人公が畑に行くと、エルフが大きな木箱を背負っていた。
「何それ?」
「種まき機です!」
「おお、できたのか」
「はい。これを背負って歩けば、種が自動で落ちます」
「いいじゃないか」
エルフは胸を張った。
「しかも、歩く速度に合わせて種の量を調整できます」
「すごいな」
「では、実演します!」
エルフが歩き出した。
カラカラカラ……。
種が落ちる。
順調だった。
ところが、エルフが少し早歩きになった。
カラカラカラカラカラ!
種が大量に落ち始めた。
「おい、ちょっと多いぞ」
「大丈夫です! 速度に合わせて調整しています!」
「いや、調整できてないだろ」
エルフはさらに歩く速度を上げた。
種が勢いよく飛び出し、畑一面にばらまかれた。
「……」
「……」
エルフは立ち止まった。
「終わりました!」
「何が?」
「種まきです!」
「畑が種だらけだぞ」
「一度に全部まけました!」
主人公は畑を見渡した。
「これ、間引きが大変だな」
エルフは胸を張った。
「そこも効率化します!」
「どうやって?」
「芽が出たら、弱いものを全部抜きます!」
「結局、手作業じゃないか」
エルフは少し考えた。
「……では、弱い芽を自動で抜く機械を作ります」
「やめておこう」
「なぜです?」
「たぶん、強い芽も抜くから」
エルフは種まき機を見つめた。
「効率化とは、難しいものですね」
「そうだな」
主人公は畑の隅に目をやった。
そこには、種が一粒も落ちていない場所があった。
「ところで、あそこだけ種がないな」
エルフは顔を上げた。
「あっ」
「どうした?」
「種まき機の出口が、途中で詰まっていました」
「……」
「最後のところだけ、全部手でまきます」
主人公は頷いた。
「それが一番効率的かもしれないな」
「最初からそう言ってください!」




