↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
32/42

第32話「魔王城のトイレは、進んでいた」


魔王城。


主人公とエルフは、四天王ザルガスに案内され、魔王の前に立っていた。


「貴様が、人間界の魔導具を持ち込んだ者か」


「はい。これです」


主人公はウォシュレットを取り出した。


魔王はそれを眺めた。


「ふむ。それで、何ができる?」


「水で尻を洗えます」


「……それだけか?」


「はい」


魔王は玉座に深く腰掛けた。


「ザルガス」


「はっ」


「我が城の便所を見せてやれ」


「よろしいのですか?」


「構わん」


案内された先には、豪華な個室があった。


便座はふわふわ。

室内は暖かく、ほのかに花の香りがする。

座ると自動で扉が閉まり、用を足せば自動で水が流れる。


主人公は感心した。


「すごいな」


「これが魔王城の標準設備だ」


ザルガスが誇らしげに言った。


エルフも驚いている。


「ずいぶん進んでいるんですね」


「当然だ。魔王軍の技術力を侮ってもらっては困る」


主人公は便座を眺めた。


「でも、洗浄機能はないんですね」


「洗浄?」


「尻を水で洗う機能です」


ザルガスは首を傾げた。


「必要なのか?」


「はい」


「紙で拭けばよいだろう」


「まあ、そうなんですが」


主人公はウォシュレットを取り付けようとした。


しかし、ザルガスが手を挙げた。


「待て。ここに設置するなら、魔王様の許可が必要だ」


「そうですか」


「そもそも、そんな小さな魔導具を取り付ける必要があるのか?」


主人公は少し考えた。


「じゃあ、実際に使ってみてください」


「断る」


「そうですか」


主人公はあっさり引き下がった。


その日の夕方。


主人公たちは魔王城を後にした。


エルフが尋ねる。


「結局、魔王様には気に入ってもらえませんでしたね」


「まあ、仕方ない」


「あなたにしては、あっさりしていますね」


「必要ない人もいるだろ」


「そうですね」


そのとき、背後から声がした。


「待て!」


振り返ると、ザルガスが走ってきた。


「お前たち、これを忘れているぞ!」


差し出されたのは、主人公のウォシュレットだった。


「ああ、ありがとうございます」


「それと……」


ザルガスは周囲を確認し、小声で言った。


「個人的に、一台注文したい」


「魔王様の許可は?」


「自宅用だ」


「魔王城に住んでますよね?」


「……私室用だ!」


エルフが呆れた。


「結局、欲しいんじゃないですか」


ザルガスは真剣な顔で言った。


「違う。これは技術研究だ」


主人公は頷いた。


「分かりました。研究用ですね」


「ああ。決して尻を洗いたいわけではない」


「はい」


「絶対に違うからな!」


ザルガスは金貨を握りしめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。