第27話「エルフは、じゃんけんに弱い」
「エルフ、勝負しよう」
「何のです?」
「じゃんけん」
「じゃんけん?」
主人公は手を出した。
「グー、チョキ、パーで勝負する遊びだ」
「なるほど。簡単ですね」
「そう。運だけの勝負だ」
エルフは少し考えた。
「では、受けて立ちましょう」
「最初はグー。じゃんけんぽん」
主人公はグー。
エルフはパー。
「私の勝ちですね」
「そうだな」
「ふふん」
「もう一回」
「いいですよ」
じゃんけんぽん。
主人公はチョキ。
エルフはグー。
「また私の勝ちです」
「強いな」
「運だけの勝負ですから」
「そうだな」
三回目。
主人公はパー。
エルフはチョキ。
「……三連勝ですね」
「すごいな」
「あなた、弱いですね」
主人公は首を傾げた。
「いや、じゃんけんは運だからな」
「負け惜しみですか?」
「いや。ちょっと気になっただけだ」
「何がです?」
「エルフ、毎回俺の手を見てから出してないか?」
「そんなことはありません」
「そうか」
「そうです」
主人公は頷いた。
「じゃあ、次は目を閉じてやろう」
「望むところです」
二人は目を閉じた。
「最初はグー。じゃんけんぽん」
主人公はパー。
エルフはグー。
「……あれ?」
主人公は目を開けた。
「今度は俺の勝ちだな」
エルフは自分の手を見つめている。
「おかしいですね」
「運だからな」
「もう一回です」
「いいよ」
じゃんけんぽん。
主人公はチョキ。
エルフはパー。
「また俺の勝ちだ」
「……もう一回」
じゃんけんぽん。
主人公はグー。
エルフはチョキ。
「三連勝だな」
エルフは黙っていた。
やがて、ゆっくり目を開ける。
「……あなた」
「ん?」
「目を閉じていると言いながら、薄目を開けていましたね?」
「ばれたか」
「ずるい!」
「勝負だからな」
「さっき運だけと言ったのはあなたでしょう!」
主人公は笑った。
「じゃあ、次は本当に目を閉じるよ」
「当然です!」
再戦。
二人は目を閉じた。
「最初はグー。じゃんけんぽん」
主人公はグー。
エルフもグー。
「あいこだな」
「もう一回!」
じゃんけんぽん。
主人公はパー。
エルフもパー。
「またあいこですね」
「息が合うな」
「そういう問題ではありません!」
じゃんけんぽん。
主人公はチョキ。
エルフもチョキ。
「……」
「……」
二人は目を閉じたまま、しばらく沈黙した。
エルフが小さく言った。
「もしかして、私たち……」
「うん」
「相手の手を見ずに、同じ手を出しているんでしょうか」
「そうみたいだな」
「不思議ですね」
主人公は目を開けた。
「いや、たぶん」
「はい?」
「最初はグー、って言ってるからじゃないか?」
「……」
エルフは目を開けた。
「それ、最初に言ってください!」
「今気づいた」
「遅いです!」




