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黒猫勇者と怠惰の宰相 〜引きこもりの俺、安眠のためにリモートワークで異世界を改革する〜 膝の上の愛猫が最強勇者であることを俺は知らない  作者: 香箱
第二章:怠惰の辺境

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第43話:怠惰の余韻と、不穏の気配

 フェルゼン改革を一気に片付けた(はずの)翌朝。

 俺はソファに沈み込み、スマホの画面をぼんやり眺めていた。


(……まだ入ってないか。まあ、そりゃそうだよな)


 ルミナショッピングの右上にある“Lポイント”の数字は、昨日と変わらず。

 あれだけ頑張ったんだから、そろそろドカッと入ってもいいと思うんだけど……まあ、街が実際に動き始めてからだろう。

 ポイントってのは、たぶん“結果”に紐づくシステムなんだろうし。


「ナァ(……また変なこと考えてるわね)」


「ん?べつにいいだろ。努力したら報酬が欲しいって、普通の感情だよ」


「ナァ(努力……?)」


「……おい、今の鳴き声、絶対バカにしただろ」


 たまが尻尾をゆらゆら揺らしながら、俺の膝に乗ってきた。

 

 俺はスマホを置き、天井を見上げた。


(……しかし、これからどうなるんだろうな)


 フェルゼンの街は、今まさに“建設フェーズ”から“稼働フェーズ”へ移行しようとしている。

 水道、下水、道路、学校、税制、ID管理……。

 俺が適当に描いた図面やアイデアが、あいつらの手でどんどん現実になっていく。


(順調にいけば、街は勝手に回る。俺はソファでコーラ飲んでればいい)


 それが理想だ。

 だが――


(……まあ、問題は絶対出るよな)


 街が動き始めれば、どこかで“バグ”が出る。

 水道は“水圧バグ”になるかもしれない。魔導板は“同期エラー祭り”になるかもしれないし。

 税制は“計算できない商人”なんてのもいるかも知れないな。

 学校に“子供が来ない”ってのは嫌だなぁ。


 俺の経験上、システムってのは動かした瞬間に一番トラブルが起きる。


(……まあ、全部“起きる前提”で考えておけばいいか)


 問題が起きたら、その時考える。

 俺はそういう生き方でここまで来たし、これからもそうだ。


(とはいえ……今のうちに準備できることは、やっとくか)


 俺はソファから半身を起こし、スマホを手に取った。

 俺はルミナショッピングを開き、“日本製品”カテゴリをタップした。


(……あった。最新型のハイエンドPC)


 値段は――

【1380,000L】


(……安いな)


 日本にいた頃なら、絶対に買わないロマン構成だ。

 だが今は違う。

 異世界商品が数百万〜数千万Lする中では、むしろ激安に感じる。


(ポイントが入ったら“怠惰の玉座”を買う予定だし…… その前に、作業環境を整えるのは悪くない)


 「ポチッとな」


【購入完了:ハイエンドPC(日本製)】


(よし。これで動画視聴も、フェルゼンの問題管理も、全部快適になるな)


 俺は軽く伸びをして、ソファに沈み込んだ。


(街が動き始めれば、ポイントも入る。そしたら“怠惰の玉座”も買える。……ふふ、楽しみだな)


 コーラを一口飲み、俺は目を閉じた。


(さて……フェルゼンが本格稼働するまではダラダラしておくか)


「たま、疲れたから今日はもう寝るよ」


「ナォン(ネットで買い物しただけでしょ)」


 玄関の方で、小さく何かが置かれる音がした。 爆速ルミナショッピングの“いつもの配達音”だ。


(……あ、届いた。早いな……)


 意識がふわりと沈んでいく。

 遠くで、フェルゼンの工事音がかすかに響いていた。

 木材を運ぶ音、ゴーレムの足音、職人たちの掛け声……

 全部が、少しずつ街が形になっていく証拠だ。


(……まあ、いいか。PCの設定は明日で……街も……そのうち勝手に動くだろ……)


 コーラの余韻と、たまの体温に包まれながら、

 俺はそのまま静かに眠りへ落ちていった。


 

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