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花火が打ちあがる空の下、りんご飴を舐めながら歩く。
「あっ、私かき氷食べたい!」
「私はもうお腹いっぱいなので充分です……」
「私も。さっきの焼きそばが量多かったからなぁ」
「そもそもかき氷って、氷にシロップかけただけのものでしょう? 単価なんてほぼないに等しいでしょうに、あんなのに六〇〇円も払ってられないわ」
「じゃあ沙希、一緒に行こう!」
「ぐぇっ」
李珠に肩を組まれ、かき氷の屋台まで連行される。私、まだりんご飴食べ終わってないんだけど。
皆花火を見に行っているのか、屋台はそれほど混んでいなかった。有名なかき氷専門店から出店しているという夫妻が、レモン味といちご味のかき氷を作ってくれる。想像よりふわふわで大きい。これで六〇〇円なら安い方なんじゃ……と思っていたら一〇〇〇円とられた。普通に高かった。美波が言っていた六〇〇円の屋台の方が良かった。あ、でもめっちゃ美味しい。
片手にはかき氷を、片手にはりんご飴を持って歩く。花火を見ながら、祭りの会場を後にする。
「あーあ、二位かぁ……」
「あの歓声なら、ひょっとするかもって思ったんだけどねぇ」
残念がる李珠に玲奈が苦笑し、瑠琉が「まぁ良いじゃないですか」と笑う。
「あのマジックショー、本当に凄かったですもん。お金払って見に行くレベルでしたよね」
「本当。お客さんの私物を宙に浮かせたり、帽子から他人の婚約指輪を出して無理矢理プロポーズさせたり……何でもアリだったわね」
そんなことまでしてたんだ。確かに凄いなぁと思いながら見ていたけど、緊張で内容があまり頭に入ってきていなかった。故に、ステージに立つまでの記憶があまりない。
ふわふわした心地で、ふわふわしたかき氷を口に入れる。氷はすぐに口の中で溶け、いちごの風味だけが舌に残る。
何発も打ちあがっていた花火がふと途切れ、暫くしてから巨大な花火が一発夜空を彩った。
見惚れる皆に向かって、私は口を開く。
「楽しかったね、今日」
まさか、転んでしまうとは思わなかったけど。
「すごく、楽しかった」
迷惑をかけてしまった焦りとか後悔とか申し訳なさとか、そういうのが全くないと言えば嘘になる。けれど、楽しかった。ごめんなさいとかそういうのも言うべきなんだろうけど、それより先に、伝えたい言葉があった。
「皆、ありがとう」
花火が上がる。雨のような光の粒が、ゆっくりと落ちて消えていった。




