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Sky’s  作者: 白咲実空
#10.ヒビキ
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81/100

8

 花火が打ちあがる空の下、りんご飴を舐めながら歩く。

「あっ、私かき氷食べたい!」

「私はもうお腹いっぱいなので充分です……」

「私も。さっきの焼きそばが量多かったからなぁ」

「そもそもかき氷って、氷にシロップかけただけのものでしょう? 単価なんてほぼないに等しいでしょうに、あんなのに六〇〇円も払ってられないわ」

「じゃあ沙希さき、一緒に行こう!」

「ぐぇっ」

 李珠りずに肩を組まれ、かき氷の屋台まで連行される。私、まだりんご飴食べ終わってないんだけど。

 皆花火を見に行っているのか、屋台はそれほど混んでいなかった。有名なかき氷専門店から出店しているという夫妻が、レモン味といちご味のかき氷を作ってくれる。想像よりふわふわで大きい。これで六〇〇円なら安い方なんじゃ……と思っていたら一〇〇〇円とられた。普通に高かった。美波が言っていた六〇〇円の屋台の方が良かった。あ、でもめっちゃ美味しい。

 片手にはかき氷を、片手にはりんご飴を持って歩く。花火を見ながら、祭りの会場を後にする。

「あーあ、二位かぁ……」

「あの歓声なら、ひょっとするかもって思ったんだけどねぇ」

 残念がる李珠に玲奈れいなが苦笑し、瑠琉るるが「まぁ良いじゃないですか」と笑う。

「あのマジックショー、本当に凄かったですもん。お金払って見に行くレベルでしたよね」

「本当。お客さんの私物を宙に浮かせたり、帽子から他人の婚約指輪を出して無理矢理プロポーズさせたり……何でもアリだったわね」

 そんなことまでしてたんだ。確かに凄いなぁと思いながら見ていたけど、緊張で内容があまり頭に入ってきていなかった。故に、ステージに立つまでの記憶があまりない。

 ふわふわした心地で、ふわふわしたかき氷を口に入れる。氷はすぐに口の中で溶け、いちごの風味だけが舌に残る。

 何発も打ちあがっていた花火がふと途切れ、暫くしてから巨大な花火が一発夜空を彩った。

 見惚れる皆に向かって、私は口を開く。

「楽しかったね、今日」

 まさか、転んでしまうとは思わなかったけど。

「すごく、楽しかった」

 迷惑をかけてしまった焦りとか後悔とか申し訳なさとか、そういうのが全くないと言えば嘘になる。けれど、楽しかった。ごめんなさいとかそういうのも言うべきなんだろうけど、それより先に、伝えたい言葉があった。

「皆、ありがとう」

 花火が上がる。雨のような光の粒が、ゆっくりと落ちて消えていった。

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