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「平日と言えど、夜の回転寿司はやっぱ混んでたね」
「次からは予約して行くようにしよっか」
そうだね、と沙希は笑う。二人で電車を降りて陽繋駅を出ると、一気に田舎特有の真っ暗な静けさが現れた。車のヘッドライトが道路を微かに照らして消える。同い年くらいの男子高校生が自販機に固まっており、沙希はそちらに背を向けるとさっさと足を動かす。
「ねぇ、コンビニ寄って良い? アイス食べたい」
「良いね」
さっき回転寿司でデザートを食べていた、なんてツッコミは入れず、沙希は私の案に乗ってくれる。ぽつぽつと光る家々の明かりに時折目をやりながら、私と沙希はコンビニへ向かう。私達の母校近くにあるコンビニの方が近いのに、わざと遠回りをして別のコンビニへ。いつものところへ入ると、大学生らしき男性のバイトが「らっしゃーせぇ」と怠そうに言った。
冷凍ショーケースの中をじっと目視する沙希。真剣な眼差しに、笑ってしまいそうになる。
「ねぇ、玲奈はどうするの?」
あまりにも決まらないのか、私に意見を求めてきた。私が選ぶものと違うものを買って味をシェアする作戦かも、と推測したが、残念ながらその作戦は通用しないかもしれない。
「私はこれ」
ショーケースからアイスを一本出すと、沙希の目が梟のように丸くなった。
「良かったら、半分こしない?」
「するする!」
子供のようにはしゃぐ沙希を連れて、レジに行く。百六十円なので、一人八十円の出費。なんと安い。勿論イートインスペースはないので、蒸されるような無風の外に出るとアイスの封を開ける。
バビコのホワイトサワー味。二本ついているので、一本を沙希に渡す。蓋に詰まったアイスを吸い上げ、メインの容器に口をつける。
「なんか、ヨーグルトみたいな味しない?」
「え、ヨーグルト? うーん……」
確かにヨーグルトに近いは近いが、ヨーグルトかと言われるとちょっと違う。
「まぁ、乳酸菌入ってそうな味はする」
「でしょ?」
「うん」
何がおかしいのか、沙希がクスクス笑い出す。私は今日、沙希と遊びに行けたこと、沙希にストラップを探してもらえたこと、回転寿司で沙希の隣に座ったこと、沙希とコンビニでアイスを食べたこと、沙希と言う名のSky′sにいる日常が当たり前になってきたことを思い返し、改めて身に染みるような想いを感じ、安心し、嫌悪する。
今の私が一条沙希に支えられている事実に、恥じながら浸る。昨日も今日も明日も、太陽がないと生きられない人間だから、私は死ぬまで太陽を求める。
沙希の隣で、私はじっとりと柔くなったアイスを飲む。沙希はまだ小さく笑っている。
それはまるで、夜の太陽のような笑みだった。




