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来栖玲奈という人間は、メンタルの不調が身体に影響を及ぼしやすい体質らしい。休み時間の度に、少しづつ増え続けるTwitterのリプ欄と少しづつ減り続けるNirrativのフォロワー数を見つめ、ため息を吐き、込み上げてくる吐き気を堪え、トイレに行った。
限界を迎えたのは5時間目が終わった後。6時間目の体育に向けて更衣室へ移動している最中の廊下にて。
「玲奈? 顔色悪くない?」
私の少し前を歩いていた李珠たちのグループが、振り返って私を見ると眉を顰めた。李珠の言葉を皮切りに、美波と瑠琉も口を揃えて、大丈夫かと私に問う。
「だ、大丈夫大丈夫。あーでも、体育は見学しようかな……」
「見学どころじゃないと思います。顔、すごく白いですし……」
「朝も言ったけど、無理したってろくなことないわよ。保健室へ行ったらどう?」
言葉が、耳に入ってこない。声を聞けば解るはずなのに、誰が喋っているかの判別さえ難しくなっていた。頭は石が溜まっているように重く、身体は圧迫されているように苦しい。
「ねぇ……、来栖さん──」
一条さんの声だ。
一条さんの声だけは、はっきりと脳が識別した。胸の苦しさがいっそう強くなり、頭が、重い。もう、この身体で支えられない。もう、駄目だ。
「来栖さんっ⁉」
李珠も美波も瑠琉も、同じように私の名前を呼んでいたと思うけど。
意識が途切れる間際に聞こえた一条さんの声が、私を逼迫した。




