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私は私を、本当にクズだと思う。着替えもせずにずっとベッドにいて、YouTubeとSNSを見るだけで一日を終える。嫌なことは考えないようゲームに熱中して、するべきことをせず眠りにつく。これから先もずっとこうなのだろうか。このままで良いのか、良いわけがない、解っていて何もできない、したくない。漠然とした不安を抱えるだけ抱えて、放置する。
ダンスの発表は、どうなっただろうか。
体育館で過呼吸になって倒れたあの日から、私は一度も体育の授業に顔を出していない。保健室に行くか、今日みたいに休むか。ゴールデンウィーク明けの今日がダンスの発表日となっているはずだが、穂條さんはどうしたのだろう。教室で何度も顔を合わせたのに、穂條さんは何度か私に話しかけようと近づいてきたのに、私はその度に教室から逃げた。穂條さんを、無視した。最低だって解っていても、立ち向かう勇気なんてなかった。
ごめんなさい。上手く生きられない異端者で。私からグループにならないかって誘って、無理に仲間になってもらったのに。私が始めたことなのに、裏切って、きっと傷つけて。
ごめんなさい、と謝ることしかできない。しかも、心の中でしか言えない。こんな自分が大嫌いで、変わろうともしないから、腐ることしかできなくて。
枕に、丸いシミができる。
「沙希―、ちょっと良い?」
部屋のドアが3回ノックされた後、母が入って来た。布団に全身を隠す私に、母は何かを言いかけたように間を置いて、飲み込んで、用件だけを手短に伝えた。
「お友達が、来てるみたいなんだけど」
私は思わず布団から顔を出し、母を見た。
「誰、なの。名前は?」
「穂條さん。穂條李珠って子。あんたと同じクラスって言ってるんだけど、知ってる?」
唇から息が漏れた。どうして、穂條さんがここに? 家の場所は教えていないはずだ。どうして穂條さんが私の家に来たの?
穂條さん、どんな顔してた? そう母に訊きたい気持ちを堪えて、起き上がる。
玄関には、当たり前だけど穂條さんがいた。穂條さんは白のカットシャツにベージュのベスト、下は黒のデニムを穿いていた。靴も、学校指定のローファーじゃなくて運動靴を履いている。
「よっ」
カラン、とグラスに氷を入れたような、気さくな挨拶をされる。
「あ、えと……」
「学校、休んじゃった」
私の返事を聞く前に、穂條さんはあっけらかんとそう言った。学校を、休んだ。穂條さんが。今日は、体育の授業で、ダンスの発表日なのに。
「は、え、なんで」
「なんでって、一条さんも休んだくせに私に訊くの?」
「それはそう、だけど……」
もしかして、私が今日休むと予想して、穂條さんも休んだのだろうか。だとしたらそんなの、私の責任じゃないか。穂條さんの実力と経験なら、1人で踊ることもできただろうに。
「ねぇ一条さん」
「な、に」
かつての先輩の口調を思い出して、身が縮こまる。自分で自分を抱きしめる私に、穂條さんは吹きだして笑った。
「いやいや、そんな緊張しなくても。取って食いに来たわけじゃないんだから」
「だ、だって──」
「今から遊ばない?」
やっぱり、穂條さんは私が仮病をつかって休んでいることに気が付いていたらしい。いや、それは同じクラスの人間なら誰もが気づいている事実だとは思うけど、穂條さんは気づいていて気づかないふりをしてくれるほど、優しい人間ではなかった。
遊びに行こう。それはつまり、話があるということだ。
「遊ぼう、一条さん」
私に拒否権は、なかった。
オレンジに染まる住宅街を、私と穂條さんは並んで歩く。駆けていく小学生の笑い声と生暖かい風だけがBGMで、私達の間に会話はない。
「なんで、私の家知ってたの?」
気まずくなって、私の方から話しかけてみる。無理をしたわけではなく、本当に訊きたいことではあった。穂條さんは今日の出来事を思い返すように、空を見上げる。
「昨日、来栖さんに訊いたの」
私が足が止まる。だけどすぐ、穂條さんに置いて行かれまいと歩き出す。
「……来栖さん?」
「そう。一条さんと同じ中学だったって聞いたから、細かい住所は無理でもどの辺に住んでるかは知ってるかもと思って。訊いた時、めっちゃ警戒されたけど。一条さんって、来栖さんと仲良いの?」
私は、静かに首を横に振る。
「……休んだ時にプリントとか、ノート、とか、持ってきてくれて。それだけ」
信号で、私と穂條さんは足を止める。青の点滅はすぐ赤に変わり、車の往来はない。だけど私達は、青に変わるまで待つ。ふとそこらの家々に目をやると、広い庭の鉢にゼラニウムが植えられているのを見つける。赤と黄のゼラニウムが、微弱な風でゆらゆらと揺れている。
信号が変わり、私達はまた歩き出す。そこからは特に会話がなくて、2人分の足音が静かな住宅街に落ちる。
「よし、到着」
穂條さんがそう言って足を止めた。目的地は、陽繋団地4号公園だった。夜になれば夜景スポットとしてカップルがちらほらいるみたいだが、この時間帯だと人の姿は皆無。公園と言えども幼稚園児が楽しめそうなサイズのすべり台と砂場があるくらいなので、もっと遊びたい子供は別の公園に足を運ぶ。そのため、私はあまりここに来たことがなかった。
「ここで何するの?」
「ダンス」
言いながら、穂條さんは公園に入る。私は追いかけながら、今の言葉が聞き間違いであることを願ってもう一度問いかける。
「え、今ダンスって言った?」
「うん。動画撮るの」
「ど、動画⁉」
「今日金曜日でしょ? 休日に一条さんと集まってダンスしましたって証拠を先生に見せれば、ワンチャン皆の前で踊らなくて済むんじゃないかと思って」
なるほど。確かに動画を提出する方が皆の前で踊るより百倍マシだけど。
「でも、スクリーンとかに映されたらどのみち動画の発表会になるかも」
「それでも、実際に踊るよりマシだよ。ほら、並んだ並んだ」
え、マシなのかな? それはそれで別の種類の緊張しない? それに今の私、ただのTシャツにデニムなんですけど。髪型も寝起きのままあんまり整えずに来ちゃったし。
私の苦悩を無視して、穂條さんはトートバッグから折り畳み式の三脚を出す。穂條さんが組み立て、スマホホルダーに穂條さんのスマホがセットされる。画角を細かく調整しながらあーでもないこ―でもないと首を捻る穂條さん。なんかYouTuberみたいなことをし始めたが、ちょっと待ってほしい。
「ご、ごめん穂條さん。私、踊れないの」
言葉を選んでいる暇はなく、勢いでそう言った。穂條さんは振り返って私を見ると、梟のように目を真ん丸にする。
「でも、この前は踊れてたじゃん。倒れちゃったけど」
「う、うん。倒れちゃうの。緊張に押しつぶされて、体調が悪くなるの……。誰かに見られてるって意識したら、頭の中が真っ白になって──」
「でも、ここには誰もいないよ?」
穂條さんの言葉に、私は瞳を開く。
穏やかな春の風が、新緑の木々を微かに揺らす。
「ここには私と、一条さんしかいないよ」
そう言って、穂條さんは微笑んだ。葉の隙間から漏れ出る太陽の輝きを、見る。眩しいけど目を開けていられる、小さいけれど確かな光が私の足元を明るく照らす。呼吸が、できる。
「……あの」
「ん? なに?」
「ゴム……ヘアゴム、貸して」
穂條さんの表情に小さな花が咲き、「ちょっと待ってて」と鞄の中に手を入れる。穂條さんは体育の時いつもポニーテールだし、ちょっとしたメイク道具やお洒落アイテムは常に持っているイメージがあった。どうやら髪ゴムも例外ではなかったようで安心する。
「はい、これで良い?」
「え」
「可愛いでしょ?」
穂條さんが掌に載せていたのは、小さいリボンが付いた黒のヘアゴムだった。こういう装飾はいらないのだが、にこぱーっと笑う穂條さんの圧に抗うことはできなかった。「ありがとう」とヘアゴムを受け取ろうとした……のだが。
「あ、私がやってあげるよ」
「え」と断ろうとするも、「良いから良いから」と流されてしまう。そして、私の髪から手を放した穂條さんが、持ち前の手鏡を私に向ける。
「どう?」
と自信満々に問いかけられるが、私は何とも言えない複雑な表情で、鏡に映った私を見る。だってサイドテールなんて、小学生の頃にして以来だ。ダンス大会の時は決まってサイドテールにして、勝負服ならぬ勝負髪のような感じで気合を入れていたが。
どうしてサイドテールにしたのか疑問に思っていると、穂條さんが答えを教えてくれた。
「一条さんが体育に来なくなってから、なんで一条さんがダンスを苦手なんだろうって気になってさ。それで色々調べてたら、YouTubeで一条さんのダンス動画を見つけたの」
「それってもしかして、小学生の、大会の時のやつ?」
「うん。一条さん、凄く楽しそうに踊ってたよね? ダンスが苦手だなんて思えないくらい上手かったし。……でも、中学のダンス大会、夏の部が最後で、それ以降で一条さんが映ってるダンス動画は全然見つけられなかった」
穂條さんはきっと、私がダンスから離れることになったきっかけが中学時代にあるということを、察しているのだろう。
「一条さんに昔なにがあったのかは解らないし、辛いことなら話してもらわなくても構わない。でも私、一条さんがまだダンスをしたいと思ってるなら、一緒に踊りたいって思ってる」
「どうして──」
「だって一条さん、ダンスが苦手とは言ったけど、嫌いとは言ってないでしょ?」
あぁそうだ。私がダンスを嫌いになるなんてありえない。私が嫌いだったのはいつだって、私からダンスを奪ったあの人達だ。あの人達さえいなければ。私がダンス部に入らなければ。そう、ベッドで横になっていた私が、考えなかった日は1日もない。
「大丈夫。ここには私と一条さんしかいない。私を否定する人も、一条さんを否定する人もいないんだよ」
穂條さんが、手を差し伸べる。
今度こそ私は、その手をとった。
音楽が流れる。私が体育を休んだせいで振り付けなんて碌に決まっておらず、私と穂條さんは即興で踊る。おかげで動きはバラバラで、統一感なんてまるでない。松浦先生はこんなので許してくれるのだろうか。そんな不安がちらと過るも、ふっと笑えばすぐに消える。今、私はダンスをしているのだ。他のことを考えている暇なんて、ない。
「やっぱ上手いね」
穂條さんが、呟くような声で言う。私は、小さく頷いた。
「……不思議だよね。ずっと踊ってなかったのに、身体は動かし方を覚えてる」
「それくらい人生の一部だったってことでしょ? 私も、半年ぶりにめっちゃ踊ってるけど、ちゃんと踊れてるし」
「あぁ……そっか。確かアイドル──」
「そう」
くるっと回って、穂條さんは高くジャンプする。その高さに、ほんの一瞬、動きを止めて見惚れてしまった。
「私も1回、諦めようとした人間だから」
「諦めようとした?」
身体を動かしながら、目だけを穂條さんに向ける。穂條さんは空に手を伸ばし、
「諦められなかったの。どんなに否定されても、諦められなかった」
「否定、されたんだ」
「うん。オーデションなんて、否定の連続だからね。でも──」
私に、眩しい笑みを向ける。
「諦めるなんて無理だよ。だって、好きだもん」
屈託ない言葉に、私も自然と笑みが零れた。
膝に手を置いて肩で息をする穂條さんと、座り込んで呼吸を整える私は、たった2分半の曲を踊っていただけというには酷くへばっていた。
「こんな、身体動かしたの、久しぶりかも……」
「私も、めっちゃ疲れた……」
穂條さんは同意を示しながら、スマホのところまで歩を進める。私もよろよろと立ち上がり、穂條さんの後ろからスマホを覗き込む。
「……どう? ちゃんと撮れてる?」
「うん。ばっちり……」
再生された動画は、確かに私と穂條さんが時に喋り、時に笑いながら踊っている様子が映っていた。だが、風のせいで私のスマホから流していた音楽があまり聞こえない。何と言うか、素人が動画を撮った感じがする。実際そうなんだけど。
「曲、あんまり聞こえないけど……どうする?」
「大丈夫。編集でパパっと付けちゃうから」
「え、そんなことできるの?」
「うん。勉強してるからね」
穂條さんの得意げの笑みに、少し申し訳なさが滲んだ。
「……今更だけど、色々と、ごめん。体育の授業も穂條さんからも逃げちゃって、私が穂條さんを誘ったばかりに、こんなふうに気を遣ってもらうことにまでなっちゃって。倒れちゃった時、保健室に連れて行ってくれた時のお礼も、言ってなかったし……」
言葉にして改めて、自分の情けなさが身に染みた。穂條さんに迷惑をかけるだけでなく、ありがとうとごめんなさいも言えていなかった。
「本当に、ごめんなさい」
頭を下げると、すぐに「良いよ、そんな」と優しい言葉が降ってくる。そりゃあこの場面で絶対に許さない、なんてことは言えないだろう。穂條さんがそんなことを言わない人なのは、理解している。
「楽しかったから、良いよ」
理解していても、その声音は本物だと、信じても良いのだろうか。顔を上げると、笑みを浮かべた穂條さんがいる。心から、楽しいと叫んでいる笑みのように感じた。
私は何故か、泣きそうになってしまった。久しぶりに、最後まで、ちゃんと踊ったからかもしれない。まだ自分は踊れるんだと、希望が見えたからかもしれない。
「……私、私ね」
「うん」
促されるまま、言葉を紡ぐ。
「私、また踊っても良いのかなぁ」
この世界には、私のことを嫌いな人がいる。今でも私を嫌っていて、私がダンスを続けることを許せないと思う人がいる、かもしれない。それでも、
「良いでしょ」
私を、認めてくれる人がいるのなら。私のダンスを上手いねって、笑顔で言ってくれる人がいるのなら。
「私は続けるし、アイドル」
私が、続けたいと思うのなら。
「……うん。私もダンス、続けるよ」
アイデンティティの欠片を拾う。全部拾い上げるのは、まだまだ先かもしれないけど。
「ダンス部はちょっと、トラウマがあって無理かもだけど」
へにゃりと笑う。すると、穂條さんが口を開いた。
「居場所がないなら、自分で作っちゃえば良い」
「えっ?」
居場所を自分で作る。ゆっくり咀嚼して飲み込んでみれば、別におかしなことは言っていない。意味は解る。部活系のアニメとかだと、主人公が学校に存在しない部活を自分で作っちゃうみたいな、それで先生から部員を五人集めろって言われてメインキャラクターの5人を集めに行くみたいな、たぶんああいうやつのことだ。
「え、第2のダンス部を作れってこと?」
「違う違う。そんなことしたら今のダンス部と絶対喧嘩になるからやめな?」
仰るとおりである。じゃあどういうこと? と首を捻っていると、穂條さんが「これこれ」とスマホを私に向けてきた。そこには、誰もが知っているYouTubeのホーム画面が表示されている。穂條さんはメイク動画や料理動画をよく見るらしい。
「料理、好きなんだ」
「いや特に好きってわけじゃないんだけど、できといた方がいつか料理動画も出せるかなーって感じで練習中で……って、そうじゃなくて」
「え、動画を、出す……?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする私に、穂條さんは大きく頷いた。
「そう、私の居場所はここ。YouTubeで、アイドル活動をするの。ここで、私の歌を聴いて、私のダンスを見てもらうの」
誰にも、どこにも自分を受け入れてもらえないのなら、自分で自分を受け入れてもらう居場所を作る。自分を曲げず、寧ろ貫こうとする姿勢は、眩しくて……羨ましい。
必ず好きをやり遂げてみせる、そんな強い意志を感じる瞳を受けた私は、無意識に口を開いていた。
「私もやりたい」
ほとんど呟きに近い願いを言ってしまってから、慌てて口を閉じた。自分でも、何故こんなことを言ったのか解らなかった。
「あれ? なんで私……。ご、ごめん。なんか、願望? が、勝手に口から飛び出したというか……。また私、穂條さんが一人でやろうとしてるところに首突っ込もうとして、ほんとに全然、そんな、邪魔するつもりはなくて……」
こんなこと初めてだった。中学の一件以来、色々考えてから言葉を選んで、口に出すようになったのに。
「きっと、穂條さんと踊っていたいから、言っちゃったんだと思う……」
心地良い風が肌を撫で、張り詰めていた何かが解けたようにへらりと笑う。そう、きっと、今日が楽しすぎたから、こんな気持ちになっているのだ。
穂條さんは風で揺れる髪を抑えると、
「今度は、裏切らない?」
私と同じような、だけども少し大人びた笑みを浮かべてそう言った。一瞬意味を掴みかねたが、すぐに体育をほとんど休んだことを指摘されているのだと気づき、「あうっ」と肩が跳ねる。
でも、迷いなく答えた。
「う、裏切らないよっ」
前科があるため罪悪感から声が若干裏返ってしまったが、今度こそ約束は破らないと誓った。
「本当かなぁ?」
「ほんとだって……」
「あははっ。じゃあ、信じる」
そんな簡単に信じて良いのか。いや、ぜひとも信じてもらいたいところだけども……。
「……あれ、待って? え?」
私の気づきに、穂條さんがニヤリと目を細めた。私の心臓が、輝きを帯びた音を鳴らす。
「信じるって、ことは──」
「だって、楽しかったから」
穂條さんはそう言って、空を見上げた。藍と灰が混ざった空に、オレンジの雲が輝き、たなびいている。電柱と電線、遠くに見える家々が、真っ黒な輪郭を残していた。穂條さんは視線を空から私に戻すと、
「よろしくね、沙希」
と、続く明日を喜ぶようにはにかんだ。
「うん。……よろしくね、李珠」
今度は私から手を差し出す。李珠は少し目を見開いたが、すぐに握り返してくれた。
握手を交わし、かっこつけたやり取りにおかしさがこみ上げ、2人で笑い合う。2人だけの笑い声が、暗くなりかけた空に響く。
影が溶けて消えた頃に、私達は別れた。また明日と、そう手を振って。
*
朝、5時半に目を覚ます。
パジャマから高校の体操服に着替え、お茶のペットボトルをテーブルの上に準備する。
「あんた、どうしたの?」
私より更に早く起きてお弁当の支度をしてくれていたママが、目をかっぴろげて訊いてきた。私は洗面所で髪を結びながら、緩みそうになる唇を引き締めた。
「走りに行くんだよ」
ママはまだ何か訊きたそうにしていたが、これ以上のことを答えるのはむず痒い。私はペットボトルを腰に巻いたホルダーに入れると、さっさと玄関へ逃げた。
「じゃあ、行ってきまーす」
運動靴の紐をしっかり結んで、扉を開ける。
サイドテールに結んだ髪を揺らしながら、私は一歩を踏み出した。




