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二百八十七話

 聖女は考えていた。神のお告げが無い事を。


 アレからと言うモノ、ずっと自身の意思と望みに従って動いていた。


 アレと言うのは海に魔王を斃すべく遠征し、そしてソレが為せ無かった後の事である。


 それからの事は紆余曲折あったが、こうして首都を守り多くの人命を守る事が出来た事を聖女は誇りに思っている。


 自分の行動は間違いではなかったのだと。


 しかしその思いは少々揺らいだ。勇者の話を聞いたからだ。神の加護で魔王の位置が捕捉でき無い事を。


 ならば今、自身に神のお告げが来ても良いハズ、聖女はそう考えていた。


(勇者の力は相当なモノになっているはずです。魔王さえ見つかれば勇者がその力で魔王を斃せる。ならば今、この時にどうして神は何もおっしゃってはくれないの?)


 邪魔な魔族も首都に戻る道すがらに勇者が壊滅させた事も聞いた。ならば今こそ、そう聖女は思えども神のお告げは一向に下りて来る気配は無し。


 聖女が話し合いの場に出るのを拒否しているのも、その内容が簡単に予想できてしまうからであった。


(勇者に同行して魔王を斃してこいと言うに決まっています。協力して欲しいと。そして私にも魔王が何処に居るのかの探知を神の加護の力でして欲しいなどと言って来るのでしょうね)


 今は人族存亡の危機と言えるのだろうが、しかしこれに聖女は王国の招いた事だと認識していた。怠惰、傲慢、その結果が今だと。


 そこに来てコチラの事など良く知りもしないで、よくもまあ何でもカンでも自分に押し付けて来るものだと。


 聖女派などと言う貴族たちが自身にすり寄って来る事にも聖女は嫌悪を抱いている。


(私はこの結界を維持している間、魔王の位置を捕捉できない。その事を知れば貴族たちは勝手に私の評価を下げるのでしょうね。勝手に私を担ぎ上げて期待して拝んで頼って、そして自分の思い通りにこちらが動かなければ勝手に落胆して罵声罵倒、罵詈雑言を口にする。滑稽以下の愚です。悪意しか感じません)


 聖女は正確に自分に纏わり付こうとしてくる貴族たちの本質を見抜いていた。


 だからこそ、話し合いの場には一切出ないと固く誇示する。


 出ても意味は無い所か、マイナスにしかならないと。


 聖女と言う存在を自身の為に駒として利用しようと企んでくる者たちの前に積極的に出るなど愚の骨頂。


 これまでも面会を求める貴族が来てもその殆どを拒否していた。


 無理やりにでも部屋に入って来ようとした者は、自分を以前からずっと護衛して来てくれている信頼している教会騎士に問答無用で摘まみ出して貰っている始末だ。


(ソレに、私が首都から離れてしまえばこの結界も消える。それはしたくありません。勇者が取り逃がした、他にも隠れ潜んでいる魔族がまた襲撃をして来ないとも限りません)


 そうなれば被害はどれ程に甚大になる事か。それは容易に想像でき。


(何故私は自身と連動している結界魔道具などを作ってしまったのでしょうか?これではまた自由に各地を歩き回れません)


 以前に作った物より強力な結界を発動させる魔道具を作る際に聖女は一つ愚を犯してしまっていた。


 それは魔道具に今後一切の他者からの細工をされ無い様にする為だったのだが。


(魔王の問題が片付くまで私は首都から出られません。籠の中の鳥ですね。まあ教会に居た時よりも何百倍もマシですが)


 この魔道具の仕様の件は誰にも漏らしてはいない。これを知れば何処からその情報が洩れ流れて魔族、魔王に知られるか分からないから。


 最初に作った結界の魔道具で首都を囲った際の失敗は繰り返す事はしない。正体不明の敵にまた魔道具を弄られない様にしたのだ。聖女は学んでいる。


 だがソレが自身を縛る事になってしまうと、当時の聖女の頭に浮かぶ事は無く、結果、動けなくなると言う計算外となった今であった。

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