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二百八十二話

 それはソレは酷い結末を魔族たちは迎える。


 魔族が隠れ家にしていた拠点、そこは罠に塗れた要塞に改造されていたのだが。


 そんな中に飛び込んでも勇者は掠り傷一つ負わない。


 ソレがこれ程に異常なまでに高められた「神の加護」の力であった。


「どう言う事だ!?勇者が近づいたら発動する仕組みになっていたはずだ!」

「待て!無闇に踏み込むな!剣聖の野郎が待ち伏せて・・・うがッ!?」

「クソッ!奴等・・・地雷原をあんな気楽に歩き回ってやがる!?」

「こちらの位置がバレている!ここは一旦引くぞ!・・・何!?ぅがッ!?」

「そもそも何でここがバレた!?アイツら一直線でここに向かって来てやがるぞ!」

「マードック様が仕掛けておいたはずの罠が尽くに・・・あんなのどうしろって言うんだ、化物め!」

「何としてでも仕留めるぞ!魔法だ!ありったけ浴びせてやるんだ!」


 勇者が一歩踏み込むと、範囲内に入ってもいない罠がどうしてか勝手に発動してしまい掛からずに失敗。


 しかもそれだけに留まらず勇者のサポートに同行していた兵たちにも一切の被害は及ぶ事も無し。


 剣聖だけは一団から別行動をしていて、罠に掛かる事無い勇者の動きに動揺して迂闊に動いた魔族を始末するという不条理、理不尽。


 これに魔族は遠距離から罠諸共に勇者を始末するべく魔法を飛ばすが。


 ソレが直撃する寸前に跡形も無く消滅する光景に魔族は絶句する。


「神の加護は絶対だ。私の後ろから諸君は付いて来るだけで良い。魔族の脅威をここで大幅に排除しておく。魔王との決戦に邪魔が入らぬ様にだ。」


 勇者はそう言い切ったのだが、その内側に焦りや不安が混じっている事に気付けたのはこの場では剣聖しかいなかった。


 その剣聖も今は目の前の事案を処理する為に走り回って魔族を捕捉しては斬り捨てていく。


 マードックはこの場から既に逃げている。しかしこの様な事態になると予想はしていた。


 この程度で勇者が始末できていればもっと以前、それこそ何代も前の時代の勇者を殺せていただろうと。


 何処までも魔族に有利な戦場を準備しても、この「神の加護」が全てを台無しにするのだと。


「ぐぁぁぁぁ・・・!うぅ、クソがぁ!こうなれば・・・てめえを道連れだ!」


 ここで負傷した魔族が自棄と覚悟で勇者に迫る。それは自爆。


 魔力を体内で暴走させて爆発を起こし勇者の命を狙うと言うモノ。


 だがその程度の事で勇者が死ぬのならば、以下略、である。


 その自爆した魔族は相当な力を持つ者であった。それに比例してその爆発の威力は凄まじい。


 だが、その爆発の後に生き残ったのは勇者だけでは無い。その後方に控えていた支援隊の者たち全員も無傷。


 この光景を目にした魔族たちは全て似た様な反応になる。それは、唖然。そんな無防備を晒してしまう。


 それを見逃す事の無い存在がここに居る。居るが、魔族はソレでも信じられないモノを見た衝撃で足も意識も止めてしまう。


 だから、首を一瞬で落とされるのだ。剣聖に。


 その後の魔族の行動はバラバラ。逃げる、最後まで抵抗を見せる、生存を諦めて無抵抗、錯乱、自失などなど。


 勇者が剣を一度でも抜く事無く魔族は壊滅。


 こうして勇者一行の魔族拠点襲撃は幕を閉じた。

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