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二百七十八話

「あれから経過した時間はどれくらいかな?メーニャ?」


「はい、本日で大体二百日経過しております。」


「それだけ過ぎたら、もう分かっちゃうね。コレだけメーニャが暗躍して来たのに、勇者も、聖女も、僕らを捕捉出来ちゃいない。危ない場面すら一つも起きなかった。こっちがわざとらしく動いたりした事もあったのにね。これは勝ったも同然なのでは?」


「いえ、油断は禁物かと。これからも警戒は必要です。」


「うん、最後の最後まで気を抜かない様にしないとね。未だにこの首都に閉じ込められていると言っても過言じゃ無い状態だしね。」


 魔族、マードックが首都に攻めて来て、ソレを聖女の制作した魔道具の結界が防いだアレからもうかなりの日数が過ぎた。


 首都では聖女がその功績により持て囃されており、それはもう「聖女様万歳」が凄い。


 今の首都の流行は聖女一色に染まっていると言っても良い。もうあれから結構な時間は経ったはずなのにまだまだ「流石聖女様!」と言った称賛の声は止まず。


 そんな中、その魔道具の結界効果で僕らはこの首都から離れる事が出来ていない。


 本当はこんな所からはさっさと尻尾撒いて逃げ出したいのにソレが出来ていない。


「結界に小さな穴さえ開けられ無いんだよなぁ。さすが神の加護って事だよねぇ。でも、かなりの回数そうやってどうにかできないか挑戦したのに聖女に感付かれると言った様子も見られなかったのは幸運なのかなあ。」


 聖女の制作した魔道具を以前に嫌がらせの為に故障させていた事はあったが。


 ソレを今度は完全破壊して結界を解除して首都から逃げ出そうと画策した事もあったのだ。


 しかしソレが出来なかった。どうにもそこには神の力「御都合主義」が働いていたみたいなのだ。


 メーニャの仕事の速さなら、首都全体に散らばって配置されている魔道具などモノの数時間で全破壊が可能だったハズなのだが。


「紙一重と言った所でした。あの時は流石にわたくしも悔しさを堪えきれずに拳を握りしめてしまいましたね。」


 メーニャがその時の事を思い出してほんの少しだけ表情を苦い物に変えたが、ソレも一瞬だけ。直ぐに元に戻った。


「僕も結界に魔力を流し込んで以前にマードックに閉じ込められていたのを解除したみたいに出来ないか試したりもしたけどね。無理だったんだよなぁ。力技で突破、って事も不可能だったしねぇ。やっぱり神の力は伊達じゃ無いよ。」


 聖女は完成させてしまっていたのだ。一つでこの首都全体を覆う事の出来る結界装置を。


 ソレは誰にも手出しでき無い様にする為に城の中心部に設置と言う形になったらしい。


 その情報を得たメーニャがその結界装置を破壊する為にその安置された部屋に向かう作戦を何度も繰り返したのだけれども。


 これまでに城にはもう数えきれない程にメーニャは侵入してきていて完全に城全体を把握できていたハズなのだが。


 その挑戦は何故か一度もメーニャがその部屋に辿り着けないと言った結果に。そう言った経緯の後に装置破壊を諦めている。


(でも別に当初に立てた計画からそう大きくズレてはい無いんだよなぁ。このまま様子見をずっと続けても大丈夫って感じだし。慌て無い、騒が無い、それが大事かな?)


 首都の、その城の、そのまた深い地下に潜伏。


 流石に誰も魔王が敵対する人族の国の中心部の土の下に隠れ潜むとは思うまい。


 そう言った狙いを最初に思いついて、今は今でその通りになっているのだから、これを無理に変更しなくとも良いのだろう。


「後は時間の問題なのかな?勇者の動向は今後どうなるだろう?できれば何処かで野垂れ死んでくたばってくれていれば良いんだけどもねぇ。」


 そんな事は絶対に有り得ないんだろうな、自分で口にした事に対してそう思いながら、僕はこれからも引き籠もりを続ける覚悟をした。

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