二百七十一話
ここでハッとなる。別に聖女だけの「御都合主義」では無いのじゃないか?と。
ここで聖女が魔族を撃退、或いは時間稼ぎ?をしている時間は勇者にとっても都合が良い。
ならばソレは勇者の持つ神の加護が発動したと言っても良いモノだ。
「えー、コレはどう言う相乗効果を生むんだろう?僕にとっての不利益だよネ完全にコレは。」
「今回の様な事態はこれまでの歴史の中でも無かった事ですね。聖女が戦場に出て来る所か、そもそもに教会から外へと出て来ている時点で前代未聞だった事を忘れていました。聖女は教会にとって秘匿、とまでは行かないまでも外部へとこの様に見せびらかす真似をする様な事は本来だったら有り得ないはずですので。」
メーニャもこの度の異常事態をそう捕捉してくれる。
とは言え、ここで何をどう話し合おうが事態は刻一刻と進んでいる訳だ。
僕らが打てる最善の一手を探る為にここでこのままメーニャと話し合いを続けようと思ったのだが。
「・・・ん?僕らが出来る事って、無いんじゃない?そもそもに僕はマードックの動きを助ける気は最初っから無かったし?聖女に対処、なんて事をする義理も無ければ嫌がらせを掛ける事も別にする気も無い・・・おや?」
必然が無い。必要が無い。そもそもにマードックが王国を攻める事に対して僕は別段これと言って言いたい事も無い。
寧ろ勇者の妨害になる事なら幾らでも勝手にしてくれたら嬉しい事だ。まあそこに僕は手を貸さないんだけども。
ここで突然メーニャが過激発言をして来る。
「聖女をこのドサクサに紛れて始末致しますか?今なら罪を愚兄に押し付ける事が容易です。」
「えぇ・・・?マードックへの嫌がらせじゃないソレ?いや、別に聖女が居なくなってくれるのは僕にとってもマードックにとっても良い事なんだけども。・・・止めておこう。暗殺、なんて事を頭の中に浮かべると嫌なむずむずが湧いて来る。多分やろうとしたら失敗するね、ソレ。」
只の勘だ。暗殺が失敗に終わるだろうなどと言うのは。
こういった事は確かにやってみなければ分からない。けれども、この勘が正しかったりして、その代償がメーニャの命、何て事態に陥ったら最悪も最悪だ。
慎重を三重から四重に掛けるくらいで丁度良いと僕は思っている、「神の加護」などと言った理不尽に対しては。
なので結論、何時もの通りに静観をすると言う事に決まる。
面白みも何も無い。だが、それで良い、それが良い。
世界に、神にすら認識されない様に、まさしく路傍の小石な如くに動かぬ、そうしていれば「御都合主義」などと言った事に接触、反応されないはずだ。
(そう信じたいって部分もあるけど。あぁ、勇者への妨害はここまで、って感じだったけど。次は聖女への対処?本当に厄介だなぁ)
聖女がこの首都でこれから起こすであろう行為のアレやコレやに関して、僕らの都合の悪くなる様な真似をされた時には対処が必要になる。
「静観するだけなら楽も楽だったけど、どうする気なんだ?聖女は?」
不安が募るが、今はメーニャに聖女の動向を監視して貰うしかできる事が無い。
この話し合いの後で直ぐにメーニャに首都へとまた出て貰って聖女の動向を探って貰う事にした。




