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二百六十七話

 メーニャがやったのは別に難しいモノでは無く、簡単な事だった。


「いや、簡単じゃ無いね?それは多分何年も仕込みをしていないとでき無いヤツだね?そんな事をアッサリとやってしまうメーニャがコワイ・・・」


 貴族を唆し、誑かし、脅し、賺し、誘導し、などなど。以前も確か似た様な事をメーニャはしていた様に思う。


 教会へと王国の権力を食い込ませて支配しようとさせるとか。


 宗教と国家権力、水面下で密かに手を握り合って違法に手を染めれば怖いモノ無しと悪徳貴族に擦り込んだり。


 敵対派閥への嫌がらせに教会を利用させる案を提供したり。


 この騒動を利用して裏で聖女の利用価値を吹き込んで国へと聖女を引き込む下準備をさせるなど。


「貴族だけじゃ無く、聖女の味方になって騒いでいた信者まで大きく巻き込むとか。信じられ無いんだけどね、うん。」


 どうにも聖女信者の集団にまで悪い事を吹き込んだそうで。


 武装蜂起、などと言った御大層な事では無いらしいのだが、ソレに近い事を教会でさせたらしい。


 コレに教会は独自の聖騎士団なる戦力を投入して鎮圧。


 しかしこれを脅威と見做した一部の貴族が国への相談も一切せずに私兵戦力をその聖騎士団へと差し向けたそうな。


 まあコレもメーニャが裏で糸を操っているのだけれども。


 これはそもそもに実際には睨み合いで終わって武力衝突と言った所にまでは発展しなかったらしいのだが。


「一触即発にまでは行ったのね。うーん、そうした諸々でゴチャゴチャして勇者への支援が滞ってる、と。なら今の内かな?またダンジョンに向かおう。地味に一つ一つと攻略して行って僅かにでも勇者に力を付けさせない様に動こう。それが何時かの未来で無駄だったのか、目論見が成就するかはその時にならないと分からないけど。何もしないで居るよりかはマシ、と思いたいからね。」


 こうして重い腰を上げて次のダンジョン攻略に向けて僕は立ち上がった。


 ===  ===  ===


 そんな日々が過ぎ去って僕があの「魔王城」で復活?目覚めてから丁度一年が経過した。


 勇者のダンジョン攻略の快進撃の裏で僕らは静かに、バレない様に慎重に、実に地味に、こちらもダンジョン攻略をしていた。


 向こうの攻略速度には遥かに及ば無いのだが、ソレでもコツコツと、攻略数が勇者と比べて圧倒的に少なくとも、ダンジョンコアから得られる力の量が極小でも、着実に僕はダンジョンから力を吸収していた。


「どうやら数がもう少ないね。勇者とバッタリ、何て事故は起こしたくは無いから、ここらで潮時だね。ダンジョン攻略はここまでかなぁ。得られた力の量、と言うよりも、勇者に渡るはずだった力をどのくらい削げたか、って言うのが重要だからなぁ。」


 やれるだけの事はやれたと思う。後は勇者がどの様な動きに出るかが焦点になると僕は感じていた。


 これまでに勇者が攻略して来たダンジョンの数は充分に多い。


 ここまでで判明している、勇者が認識しているダンジョンを全て攻略してから「魔王」に挑んで来るのか。


 はたまた、今の状態で「魔王」を倒す事は余裕だと判断して直ぐにでも攻め込んで来るのか。


「まあ僕はあの森の深部にある魔王城には居ないんですけどもね。ここ、王国の城の地下だからね。」


 僕は既に「なる様になれ」と言った気分で王国首都、城の地下深くに作った地下室に引き籠もっていた。

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