二百六十六話
さて、王国に戻って来てから二日が経ったのだが。そこでメーニャから重大情報が入ってしまって僕は頭を抱える。
「ああ、勇者と聖女が和解、ねえ・・・思っていたよりも早いんじゃないかなあ・・・」
どうにも王国が教会への圧力を相当に強めたと言った結果らしい。
聖女が引いた形になったのだと言う。
色々と細かいやり取り、取引内容があるらしかったのだが、その中の最も大きいその一つは。
「聖女の自由、ねぇ?何?引き籠もりが好い加減に嫌気がさしていて聖女は教会に戻りたく無かったって?・・・それって教会が聖女を軟禁していたって事?うーん・・・?」
どう言った経緯と事情でその様な事にと思わなくも無いが。
教会には教会の理念とか、教義とか、世間的なアレコレとか、教会内の権力闘争などなど、僕にはチンプンカンプンな諸々があったのだろうとは推測されるが。
「良く分からないけど、うん、別に僕が気に病むこっちゃ無いね。うん、ダンジョン攻略に次に向かう前にちょっと教会にちょっかい出そうか。王国の動きなんかにも影響を及ぼせそうだし?なるべく勇者への支援が滞る様に仕向けられ無いかな?どう?メーニャ?ソレと教会の混乱もついでにもっと引き出して世の中の動きにも混乱を引き出せたら、余計に勇者への支援を止められるんじゃないかと思うんだ。」
ここで僕の突如の思い付き。しかもその中身の全てはメーニャに丸投げと言う。
「はい、こちらで全て調整して妨害工作を行っておきます。」
そこでこの様にアッサリと「何も問題無し」とサラッと言えてしまうメーニャが有能過ぎる。
しかしそう言ったメーニャの普段微動だにしない表情に一瞬だけ暗い微笑が浮かんでいたのを僕は見逃していない。
(いやー、ここまでの付き合いがあるからね?メーニャの魔族としての持つ「呪い」とも言える衝動がそんな表情をさせるんだろうと言う事は分かるんだよ?分かるんだけど、お手柔らかにね?)
内心ではそう思えども僕はソレを言葉にして口から出したりはしない。
王国の者たちも、教会の者たちにも「御愁傷様」と、心の中だけで僕は呟く。
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それからまた六日が経過した。
僕の思い付きの件もあってまだダンジョンへと向かう事はしていない。
今更に焦っても仕方が無い事であり、しかし何時までもノンビリともしていられない状況なのは理解している。
勇者と聖女の和解が成立しているのだから、勇者のダンジョン攻略は再開されているのだ。
ならば僕の方もコレに合わせて動くべきだが。
「はい、魔王様。見事にこちらの策が嵌まって勇者への支援が停止している状態を続けさせる事に成功しています。」
「えー、うん、ありがとう。何をどうしたらこんな短期間でこんな工作を成功させて来たのかは、僕の凡庸な頭じゃ理解に苦しむだろうから詳細は聞かないとして。」
僕は頭が良い方じゃ無い。普段からいつも思い付きで行動している事は周知の事実だ。
その思い付き全てをメーニャが全て完璧と言える程の結果にして、こうして持ち帰って来てくれているだけで。
「あー、でも、ザックリと、その、ね?概要だけ、ほんのちょっとだけ、聞かせて貰おうかな?端的に。」
何もかもを知らないで通すのは流石にダメかなと思って、ここで僕はメーニャに雑な説明だけでも聞かせて欲しいと言ってみた。




