二百六十五話
仕方が無いのでこの像を粉々にしてみる方向に決定した。
もしかしたらそんな事をしたら後戻りできない致命的な行為になるかもしれない可能性も否定でき無いのだが。
僕のストレスが駄目だった。
「ふん!ふん!ぬうぅ・・・せりゃ!」
僕が掛け声と共に拳やら足を繰り出せば、像はこれを避ける様子も無く食らう。
そして当たった部分はガコンとか、バキッとか、ズドンとか、ガリッとか、そりゃもう色々な音を立てて壊れて行く。
もちろんこの像を壊す気なのだからそう言った音がするのは当然の結果と言えなくも無いけれども。
「拍子抜けって良い事なのかな?悪い事なのかな?・・・うーん、とりゃ!そんな下らない事は後で考えよう。」
粉々に細かく砕いて行く作業を淡々と続ける僕。これまでに溜まった鬱憤を晴らすには丁度良く、しかし少々大きいこの像。
この像をこうして壊していればもしかしたら何かしらの変化が訪れるかもしれない。
そうなってくれれば、完全に全てを砕き切る必要は無いのかもしれないが、どうしても中途半端にしておきたくは無くて無心で破壊活動を続ける。
どうせならと端から端まで、そう言った気持ちで像を丁寧に壊して行く。
そしてとうとう。
「最後まで何も起きなかった・・・でも、魔石は出たね?本当に一体何だったんだろうか?そんでもって、核の部屋への入り口が発生したって事は、こいつ、ボスだったんだよなぁ・・・」
分からない事だらけ。でもどうやら脱出は出来る様になったみたいで一安心と言った所か。
その後は魔石の力を吸収してから核の部屋へと入って、これまたその核から力を吸い上げて脱出だ。
「・・・久々に外に出て来た!うぉぉぉん!やった!やったよぉ!もうこんなダンジョンに二度と入りたく無い!」
無事に外へと出られた僕は思わず心の叫びを口にしていた。
でもダメなのだ。これより先も勇者への妨害としてこちらがダンジョンを攻略して行く方針は変えない。
これからもこんな無性に腹が立つ意味不明な嫌がらせダンジョンに入らねばならない可能性は充分に高いのだ。
「・・・メーニャ、一度王都に戻ろう。そこで長めに休息としようか。流石にここは精神的に物凄く疲れた。」
「はい、畏まりました。魔王様はごゆっくりとお休みくださいませ。その間にこれまでの勇者と聖女の動向は調査し終えておきますので。」
「あー、メーニャも疲れてるでしょ?そんな即座に動かなくても良いからね?しっかりと休んでからにして?」
「御心遣いに感謝します。ですが、わたくしは大丈夫で御座います。御心配して頂く程では御座いませんので御安心を。」
「色々とツッコミを入れたいけれども、まあ、毎度の事かぁ。くれぐれも気を付けてね?無理しちゃダメだよ?命大事に、ね?」
似た様なやり取りはこれまでに何度もやって来ていた。なのでメーニャには何を言っても余り効果は無いなと思って何時ものセリフを僕も口にしてから。
「じゃあ、帰ろうか。」




