5-19 身代金はスイス銀行に
ルクリア「そろそろ引き渡しの時間だ、」
ウェルウィッチア「空も曇よりで絶好の誘拐日和ね・・・」
決行日の夜、町はずれの小屋から距離をとること約1里、
目つきを鋭く構え、己が役目の最終確認を念入りに行う。
ルクリア「もう一度確認する!まずはスズラン、おまえが身代金持って正面から行け、」
スズラン「は、はい、」
ルクリア「中に入るのは怖いとか言って外で受け渡しをするように仕向けろ、そうすれば何人かは外に出てくる」
スズラン「や、やってみます、」
ルクリア「そしたらウェル、おまえがあのアジトの電気を落とせ、奴らの光を奪う」
ウェルウィッチア「外から繋がってる電気のケーブルを切断するから、しばらく復旧出来ないと思うわ、」
ルクリア「そしたら私が裏から侵入して妹を助ける、暗いからはっきりと見えないだろうがお前と似た感じなんだろ?」
スズラン「はい、妹ですけど間違われるくらい背格好は似てます、」
ルクリア「じゃあよく見えなくても男と思わしき影は手あたり次第ぶっ潰せばいい!」
ウェルウィッチア「妹さんをぶっ飛ばさないでね、」
ルクリア「大丈夫だ、暗くても触れば男か女かくらいはわかる。妹を確保したら裏から逃がすから、」
ウェルウィッチア「私が保護するのね、」
ルクリア「異変を感じて奴らが戻ってきたらそいつらも確保するから、それまでなるべく会話で時間を稼げ、」
スズラン「はい!」
ルクリア「奴らがアジトに戻ったらおまえも離れてろ、間違っても人質になるなよ」
スズラン「気を付けます」
ルクリア「ところで賞金首の報酬は三等分でいいか?」
ウェルウィッチア「あなたが一番負担大きいのに、いいの?」
ルクリア「かまわん、リスクはみんな一緒だ」
スズラン「わたしは妹が無事ならお金はいりません、」
ルクリア「いいのか?一緒に仕事してるのに、」
スズラン「大丈夫です、もし成功したら身代金も貰って頂いても・・・」
ルクリア「いらねぇよ、妹との生活もあるだろ」
ウェルウィッチア「そうそう、そんな心配しないで」
スズラン「ありがとうございます、」
ルクリア「いいか、全員が自分の仕事をちゃんとこなせばうまくいく、よろしくな!」
ウェルウィッチア「了解よ!」
スズラン「が、がんばります!」
・・・
作戦を決行しようとそれぞれの位置に別れ、機を待った。
ルクリア「・・・」
裏手の近くに待機していると、表の方でスズランと男の話す声が聞こえ始めた。
木々の騒めきにかき消されはっきりとした単語は聞き取れないが、話は続いているようだ、
一部屋だけ点いていた部屋の明かりが消えたのを確認できた。各々の仕事を完了した合図だろうと確信した。
ルクリア「やっぱ暗ぇな・・・」
手探りと感覚でアジトの中を探索に入るが、人の気配はほとんどしない。
ルクリア「(全員表に出たか?なら助けやすいんだが、)」
一つの小部屋に入るとかすかに動く人影を確認できた、
敵かとも考えたが動きが小さい、縛られた人質の可能性が高いと考え、近づいて触れた。
・・・女の腕の感触だ、腕を掴んでも抵抗する素振りもない。
ルクリア「(こいつが人質か、よし!)」
人質の妹と確信した、
ルクリア「おいっ!助けに来た、逃げるぞっ!立てるか?」
小声で話しかけ、外へ逃がす段取りを立てていた時、部屋の各所から物音が響いた。
男1「何だテメェ!?」
男2「何しに来た?」
男と思しき声が二つ近づいてくる、
ルクリア「(こいつらいつ来た!?気配は感じなかったぞ・・・まあいい人質さえ確認できれば後は全員ぶっ飛ばせばいい!簡単だ!相手が見えないのは向こうも同じだ!)」」
作戦の実行に支障はない、人質の女性を自分の背中に隠し男達と向き合った。
ルクリア「うぐっ!!!(なんだっ!後ろにもう一人いたのか!?)」
男達を倒そうと足を踏み出したその瞬間、チョークスリーパーの要領で後ろから思いっきり首を絞められた。
考える間もなく、隙を見せた体に正面の男達からの拳がルクリアのボディーに何発も入った。
ルクリア「がっ!!!ぶっ!!!・・・」
首を絞められているだけでも落ちそうな所に、無防備な体制への攻撃は対処しきれなかった。
・・・
男1「強いって聞いてたのに、大したことなかったな!」
男2「わざわざ捕まりに来てご苦労なこった」
ルクリア「クソっ!離しやがれっ!!!」
両手を後ろに縛られ、誘拐犯の男達に逆に捕まってしまった。
ルクリア「(あいつらはどうなった?人質の女はどこ行った?)」
ウェルウィッチア「きゃっ!!!」
男3「オラッ!おまえも入れっ!」
男4「いっちょ上がりっと!」
ウェルウィッチア「いたっ!!」
ルクリア「おまえっ!」
男たちはどこかから両手を縛ったウェルウィッチアを連れてくると、ルクリアの隣に無造作に放り投げた。
ルクリア「大丈夫か?」
ウェルウィッチア「ごめん、見つかっちゃった・・・」
ルクリア「電源落として逃げれなかったのか?」
男3「電気ならちゃんと点くぜ!」
こっちの考えをすべて見透かしたような男は部屋の明かりを灯した。
ウェルウィッチア「外の電線の所で待ち伏せされてて・・・捕まっちゃった、」
ルクリア「ちっ・・・私も同じだ、予想外だった・・・」
ウェルウィッチア「スズランさんと妹さんはどうなったのかな・・・」
ルクリア「さぁな・・・それよりも今は自分たちの心配をしたほうがよさそうだ・・・」
男1「へへへっ!こうしてみると中々高く売れそうな女どもじゃねぇか」
男2「折角だし、売っちまう前にお楽しみといくか!」
男3「たっぷりと可愛がってから売っぱらってやるからな!」
男4「ちょっといいか!俺は昔弟を、この目つきの悪い女に捕まって売られたんだ!」
男1「なんだ?姉ちゃんも相当なことやってんなぁ?」
ルクリア「知るかよ!クズしか売った覚えはねぇからな、どうせそいつもクズな生き方してたんだろ!」
男4「なんだとコラァッ!!!」
ルクリア「ガハッ・・・!」
男の蹴りがまたルクリアの体を痛めつける。
男1「こりゃあしっかりお仕置きしねぇといけねぇな!」
男2「滅茶苦茶に犯すだけじゃ足りねぇみたいだな!」
男3「しばらくこいつらで楽しめそうだな~!」
男2「傷つけたら高く売れねぇから、気を付けろよ」
男4「でもその前に弟の仇を討たせてくれ!こいつを刺さなきゃ気が収まらねぇ!」
男3「おい!やめろって!」
周りの声を聴く耳も持たずぶっきらぼうに言い放つと、ルクリア目掛けてナイフを振りかざしてきた。
ルクリア「くっ!!!」
スズラン「待って!!!」
刺そうとしてくる男の前にスズランが両手を広げ立ちふさがった。
ウェルウィッチア「!!!」
ルクリア「なにやってんだ!!!、逃げろ!!!」




