4-1 何かを始めるときというのはおっくうでならない
翌朝、いつものように朝が来て、いつものように朝食を食べていた、
昨日、一昨日といろんなことがありすぎたのに、普通の日と同じように時間は過ぎていくのだと思った。
でも今日はいつもより一人分多く朝食を作れるのが、嬉しい。
ルクリア「ユッカ、おまえ本当にあっちに帰らなくていいのか?」
ユッカ「うん!」
ルクリア「ナンテンが一緒に役所とかでサポートしてくれるって言ってたぞ、」
ユッカ「あっちだといろいろ思い出しちゃいそうだし、それにアザミちゃんが毎日ご飯作ってくれるって言ってくれたから!」
アザミ「はい、約束しました、」
ルクリア「まあ、おまえがいいならいいけどよ、」
ユッカ「だいじょうぶい!」
ルクリア「ほんとにこっちで生活していくなら、大の男一人ぐらい倒せるようになっておけ、アザミ、おまえもだぞ!」
アザミ「わ、わたしもですか?」
ルクリア「当然だろ、私のために稼いでくれるって言ったじゃないか」
アザミ「は、はい、そうでした」
ユッカ「わかりましたー!がんばろうアザミちゃん!」
まるで遊びに行くような返事をするが、本当にわかっているのだろうか、
アザミ「わたし力強くないので、ルクリアさんみたいな武器が欲しいです、」
ルクリア「あー、じゃあ昔使ってたもう少し軽いステンの棒あったと思ったが、どこに置いたっけか・・・」
アザミ「・・・あ、そういえば部屋片づけたときに下の方にそんな棒がありました、」
ルクリア「捨てちゃったか?」
アザミ「いえ、丁度良かったんで洗濯物干しに使ってます、」
ルクリア「そうか、じゃあそれ使ってみろ、」
アザミ「ありがとうございます、」
ルクリア「常に腕にでも結わいで長袖の下にでも隠しておけ、もし刃物で襲い掛かって来ても1回はガードできるからな、」
アザミ「はい、やってみます、」
ユッカ「あたしも何か武器欲しい~!剣とか銃とか強そうなの!」
ルクリア「んなもんぶら下げて歩いたてたらこっちの町でもアウトだろ、」
アザミ「危ない武器は持ってるだけで争いを呼ぶっていうからやめた方が・・・」
ユッカ「そっか~」
ルクリア「その通りだ、おまえ腕とか足腰見た感じ力強そうだがなんかやってたのか?」
ユッカ「特になんにもしてないよ、」
ルクリア「畑とか広かったんだろ?農作業とか動物の世話とかはしてたのか?」
ユッカ「それは毎日してたよ!・・・た、たまにサボってたけど・・・」
ルクリア「無理して武器使わなくてもいいんだぞ、素手の方がいざというとき対応しやすいからな、」
アザミ「わたしにもできるでしょうか?素手での戦いかた、」
ルクリア「ま、実地でいろいろ試してみるのが一番だな」
・・・
ご飯を食べ終わると3人で近くの人気のない森の中にやってきた、
わたしはルクリアさんが昔使っていたステンレス製の伸縮棒を借り、木を相手に振り回し方や狙った突き方を練習した、
ユッカは武器を使うのはあまり向いていないようで、そこら辺の枯れ木や岩を持ち上げては投げたりしていた、
ルクリア「アザミ、扱い方はいいぞ、なかなかうまく突けてるぞ」
アザミ「はいっ、はぁっ、ありがとうございますっ、」
ルクリア「あとはもっと体重をかけろ、女はどうしても非力になってしまうんだ、」
アザミ「はいっ!」
ルクリア「ユッカ、力任せもいいが相手は動く人間だ、思い通りに担がせてはくれないぞ、」
ユッカ「う~ん、そうだよね、」
ルクリア「おまえ、力だけなら私よりも強いかもしれんぞ、」
そう言うとユッカと両手を合わせ取っ組み合った。
ルクリア「持ち上げられるか?」
ユッカ「ん~!ん~!」
必死に腕に力を入れるがルクリアさんはビクともしない。
ルクリア「よっ!」
ユッカ「うわっ!!!」
ルクリアさんが軽く力を逆に入れると、ユッカは簡単に投げ飛ばされてしまった。
ユッカ「いった~い!!!」
ルクリア「大人を相手にするとしても、相手は60キロの重りじゃない、二本の棒の上に60キロの重心があるんだ。」
ユッカ「どういうこと~??」
ルクリア「60キロが正面に構えてたとしても、不意に後ろから狙われたら簡単に倒されてしまう、」
アザミ「相手が予想してないところを攻撃したりすれば、非力なわたしたちでも崩せるチャンスがあるって事ですか、」
ユッカ「難しいよ~」
ルクリア「言って簡単に出来るもんじゃないし、少しずつ慣れていくしかない、」
アザミ「やってみます、」
ルクリア「じゃアザミ、私の事思いっきり突いてみろ!」
アザミ「え?でも・・・」
ルクリア「大丈夫だ、おまえの力くらいじゃ怪我したりしないから遠慮なくこい!」
アザミ「は、はい・・・」
そうは言うものの突こうとした瞬間に、ルクリアさんをケガさせないように力を抜いてしまう、
ルクリア「どした?」
アザミ「・・・」
ルクリア「ユッカもやってみ、力入れないから殴っても投げ飛ばしてもいいぞ、」
ユッカ「う、うん・・・」
ユッカも同じでルクリアさんを担ぎ上げるがそのままそっと降ろしてしまった、
ルクリア「おいおい、そんなんで敵を倒せんのか?」
アザミ「・・・」
ユッカ「わ、悪い奴ならできるもん!・・・たぶん、」
ルクリア「無理だろ、そんな顔して、」
ユッカ「・・・」
ルクリア「最初はそれでいいんだ。普通に生きてきたら、たとえどんな悪いクソヤローでも相手だとしても、自分の意志で人を傷つけるっていうのは中々出来ないもんだ、」
アザミ「・・・どうすればいいでしょうか、」
ルクリア「少し考えてみ、」
アザミ「・・・」
ユッカ「・・・」
数分の間、二人で黙って考えてみるものの、答えは出なかった。




