4・村にて
「ごめんください」
翌日、品のいい、耳の大きな銀色の髪の少年がやってきた。
童子水干姿 に垂髪で手に反物を持っている。
牛若丸を彷彿とさせる姿だ。
「雪丸さん」
嬉しそうに志乃が歓迎する。 「お茶入れます、お茶」
「志乃ちゃん、ありがとう。でもこれをお渡ししたら、行かなきゃいけないんだ。
家の手伝いがあるんだ」
「はじめまして、村にようこそ。わたしは狐族の雪丸です。
父、空弥はこの村の責任者を務めています。
本日は多忙の父の名代で参りました。君は?」と、
愛鷹に挨拶をする。
「…愛鷹」
「君は、わたしと同い年くらいかな。なのに、もう名を継いだんだね。すごいね」
*
アヤカシは【継がせる者】から名前と、戦闘や術の記憶を継いでいく。
それゆえ身体は小さくても、一人前の戦いをするのだ。
名を継がない者は幼名のまま生きていく。
さらに、寿命も人間の4~5倍は生きる。
8~9歳くらいなら人間でいうと30代~40代になる。
愛鷹と雪丸は春と同い年くらいなのだ。
ただし、心と身体はまだ子供である。
*
「…父が早くに亡くなって、母も亡くなったので」
愛鷹の言葉に「すまない」と詫びる雪丸だった。
「反物は歓迎のしるしです。村の誰かが着物にしてくれるよ」
「ありがとう」 愛鷹は渡された反物を受け取った。
「わたしが縫うわ」と春が手を伸ばした。
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