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3・兄妹の家
兄妹の家はこじんまりとしていたが、清潔で整っていた。
「母さん、烏天狗の子だよ。愛鷹っていうんだ」
慎太郎が縁側に愛鷹を下ろした。
慎太郎兄妹の母親は春といった。
「まあぁ、ケガしたの?こっちへ。腰のものを預かっていい?」
春はモンペの袖に手を入れて、刀に直接触れないようにして
受け取った。
そして宝物を置くように、床の間に置いてくれた。
脇差も同じようにしてくれて、愛鷹は少し嬉しかった。
「ありがとう。父の形見なんです」
「そうだったの。とても大切なものよね」
春は【癒しの手】で愛鷹のケガを治していく。
手をかざされると、痛みが引いていった。
「完治するのにはちょっと時間がかかりそうだわ。
でも痛みは軽くなったと思う。どう?」
愛鷹はこくりと頷いて「ありがとうございます」と礼を言った。
春の手を見ているうちに、愛鷹は母親を思い出していた。
*
「愛鷹、母にもしものことがあったなら、北にあるやうと村へ行きなさい。
仲間がたくさん住んでいるから、助け合って暮らせるわ」
病床で母は愛鷹の手を取ってそう言った。
「はい、母上」
ほどなくして母は亡くなり、愛鷹はやうと村を目指した。
その途中の山の森の中で、アメリカ軍の戦闘機が
訓練で打ち込んだ機銃弾にやられたのだった。
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