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翼よ、眠れ~アヤカシの末裔・外伝~  作者: 遠野まみみ


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19/22

19・帰郷2

「昨夜、慎太郎の夢を見たわ。源ちゃんが帰ってくるって」

春が朝食を取りながらそう言った。


「だから源ちゃんは会いに出てこなかったんだね」

志乃は少し嬉しそうに外を見た。



昼過ぎになって、国民服を着て荷物を持った源太がやってきた。

もう、帽子に錨のマークは付いていない。


「おばちゃんっ」

縁側にいた春に駆け寄って、荷物を放り出して土の上で土下座した。

「ごめんっ。俺だけ生き残ってごめんなさいっ」


「なんで『ごめん』なのよ。『ただいま』でしょう」

縁側から降りて、源太の背中をさすった。


「よく帰ってきたね。あんた、船が沈んで、でも仲間を二人も抱えて

何キロも泳いだんだって? 慎太郎はね、ちゃんと見ていて教えてくれたよ。

さすが河童の末裔だ。大手柄だわ」


「おばちゃん…た…ただいま」


「お帰り。 自分の家には行ったの? 父さんと母さんに

同じように、ただいまって言うんだよ」

「…うん」


「源ちゃんだ」  「源太っ」

志乃が源太に飛びついて、愛鷹は隣にしゃがんだ。

「ただいまっ」源太は二人を抱えて、思い切り息を吸った。


親友を亡くしたこの苦さは、しばらく続くだろう。

自分が、慎太郎の分もこの家族を守らねば。

そう思う源太だった。



読んでくださってありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。

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