16・村を目指して
座り込んで震えていた少女たちに、「これからどうする?」と聞くと、
「わからない」と答えた。
「一緒に捕虜になりに行くか?」と、不二が誘った。
「でも…」
「心配しなくていい。殺されたりしない。もしもの時は、
このお兄さんが何とかする」
「えー、俺?」
「任せた」
ポンっと宝永の肩をたたいた。
不二と宝永は同じ山に住んでいただけあって、いいコンビだ。
*
「愛鷹は村へ帰るか?それならこの島の北を目指せ。そうすると島が見える。
その島は鹿児島との県境だ。
北に向かって点々と続いているから、それぞれの島を目指して飛んで。
やがて大きな山が──開聞岳というんだが、
それを超えたら11時の方向に進路を取る」
不二は行く方向を指さしながら帰り方を教えた。
「開聞岳…。知ってる。来るときに通った」
「そうか。では迷わずに行けるな?念のために米軍の見張りが手薄になる
夜明けか、夜中に飛ぶといい」
「ありがとう。さようなら」
不二と宝永と別れた愛鷹は、言われた通りに飛んだ。
「烏天狗…?」
少女の一人がつぶやいた。
「知ってる?今まで会ったことある?」
不二の問いに、少女たちは首を振った。
「でも、ギジムナーなら祖母が会った事があるって言ってました」
「人間以外にも、生きているモノはいるんだ。 いろいろね。
さあ、行こうか」
捕虜になるために、四人は歩き出した。
*
開聞岳を通ったときは、複雑な気持ちだった。
志乃や春に何と言えばいいのだろう。
帰りたい。 帰れない。
そればかりが頭の中を回った。
飛び続けて疲れた。という感覚さえも、考えすぎて無くなっていた。
大雨になっても飛ぶのを止めずにいて、とうとうバランスを失って
失速して落ちてしまった。
そこは京都の北にある村だった
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