表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/40

選び続ける世界の中で俺、相棒と“これからの在り方”を決める

 夕焼けが、王都を柔らかく染めていた。


 昼の喧騒が嘘みたいに静まり、

 人々はそれぞれの“選択”に従って、思い思いの時間を過ごしている。


 店を閉めて歌い出す商人。

 急に旅に出ると言い出す兵士。

 何もせず、ただ空を見ている子ども。


「……カオスだな」


 ユウがぽつりと呟く。


「はい」


 スライムが即答する。


「ですが、安定しています」


「それが一番やばいだろ」


 ユウは苦笑する。


 壊れているのに、崩れていない。


 秩序がないのに、成立している。


「これが“選択の世界”か」


「はい」


 スライムが静かに揺れる。


「全員が、自分で決めています」


 少しの沈黙。


 風が、二人の間を抜ける。


「……で」


 ユウが口を開く。


「俺たちはどうする」


 スライムが、一瞬だけ止まる。


「……どう、とは?」


「この世界」


 ユウは、街を見渡す。


「もう“敵”はいない」


「倒す相手も、奪うものもない」


「じゃあ——」


 振り返る。


「これから何やる?」


 スライムは、すぐには答えない。


 少しだけ揺れて。


「……あなたは」


「どうしたいですか」


 ユウは、空を見上げる。


 考える。


 戦い続けてきた。


 奪い続けてきた。


 だが——


「……そうだな」


 ゆっくりと口を開く。


「まだ、やることはある」


「例えば?」


「この世界」


 ユウは笑う。


「面白くなりそうだろ」


「……はい」


「でも」


 一拍。


「放っといたら、多分めちゃくちゃになる」


「はい」


 即答。


「高確率で崩壊します」


「だろうな」


 ユウは肩をすくめる。


「だから——」


 少しだけ、真面目な顔になる。


「“見てるやつ”は必要だ」


「管理ではなく?」


「違う」


 首を振る。


「選ばせるための“余白”を守るやつ」


 スライムが、静かに理解する。


「……観測者」


「近いな」


 ユウは笑う。


「介入は最小限」


「でも、崩れそうならちょっとだけ支える」


「……それは」


 一瞬の間。


「かなり難しい役割です」


「だろうな」


 ユウは軽く笑う。


「だからやるんだよ」


 スライムが、少しだけ弾む。


「……はい」


 短い返事。


 だが、その中に確かな意志がある。


「じゃあ決まりだ」


 ユウは歩き出す。


「世界を守る、とかじゃない」


「支配もしない」


「ただ——」


 振り返る。


 夕焼けの中で。


「面白いまま、続ける」


 スライムが、柔らかく揺れる。


「……それが、あなたらしいです」


「だろ?」


 二人は並んで歩く。


 誰にも縛られない世界で。


 誰かを縛らない立場で。


 それでも——


 “選び続ける”。


「なあ」


 ユウがふと口を開く。


「お前、名前つけるか?」


 スライムが、止まる。


「……え?」


「いつまでも“スライム”じゃアレだろ」


「……」


 少しの沈黙。


 そして——


「では」


 一瞬の間。


「あなたが決めてください」


 ユウは、少し考える。


 そして——


「じゃあ——」


 軽く笑う。


「“ルミ”でいいか」


 光みたいなやつだから。


「……ルミ」


 スライム——いや、ルミが呟く。


「はい」


 少しだけ、嬉しそうに揺れる。


「それが、私の名前ですね」


「気に入ったか?」


「……はい」


 はっきりとした答え。


 ユウは、満足そうに笑う。


「じゃあ行くか、ルミ」


「はい、ユウ」


 夕焼けが、ゆっくりと夜に変わる。


 物語は、静かに幕を閉じる。


 だが——


 この世界の物語は、まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ