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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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新しい世界で目を覚ました俺、だが“選択を持った人々”が想像以上に自由すぎる

 風が吹く。


 柔らかい。

 どこにでもある、ただの風。


 だが——


「……ちゃんと“普通”だな」


 ユウは、王都の通りに立っていた。


 石畳。行き交う人々。

 パンの香り。遠くで鳴る鐘。


 どこから見ても、あの王都だ。


「再構築、正常完了」


 スライムが肩の上でぷるっと揺れる。


「違和感は?」


「……ゼロじゃねえけど」


 ユウは軽く目を細める。


「許容範囲だな」


 空の色が少しだけ澄みすぎている。

 人の動きに、ほんのわずかな“余白”がある。


 それは——


「“選択”があるせいか」


「はい」


 スライムが答える。


「全存在に微量の選択権が付与されています」


「つまり」


 ユウは、近くの商人を見る。


 パンを並べている男。


「今日は売るのやめる」


 突然、店を閉めた。


「……自由すぎるだろ」


「副作用です」


 スライムが淡々と言う。


「最適行動ではなく、“本人が選びたい行動”を優先する傾向があります」


「いいじゃん」


 ユウは笑う。


「生きてる感じするだろ」


 だがそのとき。


 ドンッ!


 遠くで爆音。


「……今の何だ」


 振り向く。


 煙が上がっている。


「確認します」


 スライムが一瞬で解析する。


「魔法暴発」


「原因:個人の選択」


「……嫌な予感しかしねえ」


 ユウはため息をつく。


 現場へ向かう。


 そこには——


「やってみたかったんだよ!」


 少年が、満面の笑みで立っている。


 その周囲は、軽く吹き飛んでいる。


「……おい」


 ユウが近づく。


「何やった」


「大爆発魔法!」


「習ったことないだろ」


「でも選べた!」


「選ぶな」


 ユウは頭を抱える。


「……なるほどな」


「これが“全員に自由を与えた結果”か」


「はい」


 スライムが静かに言う。


「制御が存在しません」


 沈黙。


 ユウは、少しだけ笑う。


「……いいね」


「え?」


「面白い」


 確かに危険だ。


 めちゃくちゃだ。


 だが——


「それでも」


 ユウは空を見る。


「“決められた通りに動く世界”よりはマシだろ」


 スライムが、少しだけ揺れる。


「……はい」


 そのとき。


 別の方向から、ざわめき。


 兵士たちが集まっている。


「……今度は何だ」


 近づく。


 そこには——


 監視官だった存在が立っている。


 だが。


 以前とは違う。


 表情がある。


「……あなた」


 監視官が、ユウを見る。


「自由にしていいんですよね」


「そうだな」


「では」


 一瞬の間。


「私は“監視しない”ことを選びます」


 沈黙。


 そして——


「……いいじゃん」


 ユウは笑う。


「それでいい」


 監視官は、静かにその場を去る。


 役割からの解放。


「……完全に変わったな」


「はい」


 スライムが言う。


「世界は“管理”から“選択”へ移行しました」


 ユウは、ゆっくりと歩き出す。


 王都の中を。


 新しい世界を見ながら。


「……で」


 ぽつりと呟く。


「俺は何すればいいんだ?」


 スライムが、少しだけ間を置く。


「自由です」


「なんでもできます」


 ユウは、少しだけ考える。


 そして——


「……じゃあ」


 ニヤッと笑う。


「とりあえず——」


 空を見上げる。


「面白そうなこと、探すか」


 スライムが、軽く揺れる。


「はい」


 新しい世界。


 新しいルール。


 そして——


 “選び続ける日常”。

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