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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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24/40

消える相棒を繋ぎ止める俺、世界の“継ぎ目”に手を突っ込む

“核”は、まだ不安定な鼓動を続けている。

 脈は乱れ、光は揺れ、世界の継ぎ目がきしんでいた。

 前回の“上書き”で生じた歪みが、深層にまで入り込んでいる。

 だが——

「見えてる」

 ユウは、はっきりと言い切った。

 ズレの位置。

 断絶した接続。

 繋がりかけて、ほどけた“糸”。

 全部、見える。


「……続けますか」

 スライムの声は、静かだった。

 いつも通りに聞こえる。

 だが、その奥にある“揺れ”は隠せていない。


「当たり前だろ」

 ユウは即答する。


「止める理由がない」


 一歩、踏み込む。

 “核”のさらに内側へ。

 そこは、もう“世界”ではない。

 構造の裏側。

 設計図のさらに裏。

 “繋がり方そのもの”が漂う領域。


 無数の糸。

 光の線。

 それぞれが、世界を支える接続点。


「……これ全部、繋がってんのか」

 ユウが呟く。


「はい」

 スライムが答える。


「すべての事象、すべての存在、すべての可能性」

「それらはここで接続されています」


「じゃあ——」

 ユウは手を伸ばす。


「ここいじれば、全部変わるな」


「……はい」


 短い肯定。

 だが、それは“肯定してはいけない事実”。


 ユウは、一本の糸に触れる。


 ピリッ。


 軽い電流のような感覚。

 だがそれは、単なる刺激じゃない。


 “意味”が流れ込む。


 その糸が何と繋がっているのか。

 どの世界とリンクしているのか。

 どんな結果を生むのか。


「……便利すぎるな」


 ユウは笑う。


「これ、全部やり直せるじゃん」


「……可能です」

 スライムが答える。


「ただし——」


「代償か」


「はい」


 沈黙。


 ユウは、少しだけ手を止める。


「お前が消えるって話な」


「……はい」


 それ以上は言わない。

 必要ない。


 ユウは、もう一度糸を見る。


 無数の接続。

 無数の可能性。


 その中に——

 見つける。


「……これか」


 一つだけ。

 明らかに“異常な結び目”。


 ズレの中心。

 すべての歪みの起点。


「そこが、今回の崩壊の原因です」

 スライムが言う。


「“上書き”の影響が集中しています」


「なら——」


 ユウは手を伸ばす。


「直すだけだな」


「待ってください」


 スライムの声が、強くなる。


「そこは——」


 一瞬、言葉が詰まる。


「“私”の接続点です」


 静寂。


 ユウの手が止まる。


「……つまり?」


「そこを修正すると——」


「お前が消える」


「……はい」


 はっきりとした答え。


 ユウは、しばらく黙る。


 視線は、糸に向けたまま。


「他に方法は?」


「ありません」


「回避ルートは?」


「存在しません」


「確率操作は?」


「……無意味です」


 すべて、即答。


 逃げ道はない。


 ユウは、小さく息を吐く。


「じゃあ——」


 一歩、踏み込む。


「決まりだな」


 手を、さらに伸ばす。


「……ユウ」


 スライムが呼ぶ。


 初めて。

 ほんのわずかに、震えた声で。


「なんだ」


「……ありがとうございました」


 短い言葉。


 だが、それだけで十分だった。


 ユウは、笑う。


「まだ終わってねえよ」


「……え?」


 次の瞬間。


 ユウの手が、“糸”を掴む。


 そして——


 引きちぎらずに、ほどく。


「壊すなって言われたろ」


 未来の自分の言葉が、頭をよぎる。


 “繋げ”。


 なら——


「消えるなら、消えないように繋げればいい」


「……それは——」


「できる」


 断言。


 理由はない。

 だが、確信がある。


 ユウは、もう片方の手を伸ばす。


 別の糸。


 それは——

 “自分”に繋がっている。


「……ユウ、それは——」


「俺と繋ぐ」


 シンプルな答え。


「お前が消える原因は、接続が不安定だからだろ?」


「……はい」


「なら——」


「安定してるとこに繋げばいい」


 理屈としては、乱暴。

 だが——


「成立します」


 スライムが、震える声で言う。


「ただし、その場合——」


「俺に来るんだろ?」


「……はい」


 負荷。

 影響。

 存在干渉。


 全部。


 ユウは、笑う。


「今さらだな」


 すでに、世界の核に触れている。

 存在を上書きしている。


 これ以上、何が増えたところで。


「変わんねえよ」


 そして——


 繋ぐ。


 スライムの接続を。

 自分の存在へ。


 瞬間。


 爆発的な情報が流れ込む。


「——っ!!」


 ユウの体が揺れる。

 意識が、崩れかける。


「負荷、急上昇!」

 スライムが叫ぶ。


「存在容量、限界突破!」


 だが——


「止まるかよ」


 ユウは、歯を食いしばる。


 繋ぎ続ける。

 ほどきながら。

 結び直しながら。


 歪みを、戻す。

 ズレを、合わせる。


 世界が——

 安定していく。


 光が整う。

 鼓動が揃う。

 接続が、正しく戻る。


 そして——


 最後の結び目。


 ユウは、それをゆっくりと締める。


 カチッ。


 何かが、はまる音。


 その瞬間。


 すべてが静止する。


 そして——


 再び動き出す。


 今度は、ズレなく。


 完全に。


「……成功」


 スライムが、呟く。


 その声は——

 消えていない。


「……生きてるな」


 ユウが笑う。


「……はい」


 わずかに、震えた声。


「存在、維持確認」


「よかったな」


「……はい」


 短い返答。

 だが、その奥にあるものは——


 明らかに変わっていた。


 “ただの補助”じゃない。


 “繋がった存在”。


 ユウは、手を離す。


 “核”は、安定している。

 もう、歪みはない。


 世界は、正常に戻った。


 だが——


「……変わったな」


 ユウが呟く。


 自分の中に、“もう一つの感覚”。


 スライムの視点。

 思考の断片。

 わずかな“感情”。


「共有、開始されています」


「便利だな」


 ユウは軽く笑う。


「これで、もっと奪える」


 スライムが、少しだけ沈黙する。


 そして——


「……はい」


 静かに、応じた。


 世界は、繋がった。


 だがその代わりに——


 “二つの存在”が、一つに近づいた。


 それが何を意味するのか。


 まだ、誰も知らない。

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