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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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22/40

未来の俺と対峙した俺、世界崩壊の“原因”が自分だと知る

 裂け目の向こうの“ユウ”は、動かない。


 ただ、こちらを見ている。


 鏡みたいに同じ顔。

 だが——決定的に違う“重さ”。


「……未来、ね」


 ユウは一歩、近づく。


 裂け目は、触れられそうで触れられない距離にある。


「証拠は?」


「お前が一番わかってるだろ」


 未来のユウが淡々と返す。


「“修正”した瞬間から、ズレ始めてる」


 風が揺れる。


 ほんの一瞬、ミアの輪郭が二重になる。


 誰も気づかない。


 ユウ以外は。


「……確かにな」


 視界の端で、世界が“遅れる”。


 現実が0.1秒だけ、構造に追いついていない。


「これ、放置するとどうなる」


「崩壊する」


 即答だった。


 沈黙。


「どのくらいで?」


「もう始まってる」


 未来のユウは、空を見る。


「この世界は、“上書きされた状態”を維持できてない」


 スライムが、かすれた声で言う。


「……整合性が崩壊しています」


「原因は?」


「……あなたです」


 ユウは、少しだけ笑った。


「まあ、そうだろうな」


「笑ってる場合じゃない」


 未来のユウの声が、初めて強くなる。


「このままだと——」


 一瞬、言葉が詰まる。


 その“間”が、重い。


「全部消える」


 空気が冷える。


 ミアが、不思議そうにこちらを見る。


「ねえ、さっきから何見てるの?」


 何も見えていない。


 完全に、巻き込まれていない。


 ユウは答えない。


 視線は、未来の自分だけに向いている。


「じゃあ、どうする?」


 軽く首を傾げる。


「戻すのか?」


「できるなら、とっくにやってる」


 未来のユウが吐き捨てる。


「“上書き”は不可逆だ」


「……へえ」


 ユウの目が細くなる。


「一回やったら、戻せない?」


「完全にはな」


「部分的には?」


「……歪む」


 沈黙。


 ユウは、少しだけ考える。


 本当に、ほんの数秒。


「じゃあ——」


 顔を上げる。


「“安定させる”方向に持っていけばいい」


 未来のユウが、わずかに眉を動かす。


「……できると思ってるのか?」


「できるだろ」


 あっさりと。


「もう“触れてる”んだから」


 スライムが、強く言う。


「推奨しません」


「成功確率、低」


「失敗時——」


「全部消える、だろ?」


 ユウが遮る。


「なら同じだ」


 未来のユウが、じっと見る。


 その目は、さっきまでよりも鋭い。


「……お前、変わってないな」


「そりゃどうも」


 ユウは笑う。


「一つだけ聞く」


 未来のユウが言う。


「この世界、守りたいか?」


 一瞬。


 本当に一瞬だけ。


 ユウの視線が、横に流れる。


 ミア。


 普通に立っている。


 何も知らないまま。


 そして——


 また戻る。


「別に」


 あっさりと答える。


「壊れるなら、それでもいい」


 未来のユウの表情が、わずかに変わる。


 怒りでも、驚きでもない。


「……だろうな」


「ただ」


 ユウが続ける。


「“俺が壊す”ならいいけど——」


 空を見る。


 ズレた世界。


「勝手に壊れるのは気に食わない」


 静かな本音。


 未来のユウが、小さく息を吐く。


「やっぱり同じだ」


「で?」


 ユウが言う。


「どうすればいい」


 未来のユウは、しばらく黙る。


 そして——


「“核”をもう一度叩け」


 スライムが反応する。


「危険です」


「現在の状態で再干渉は——」


「知ってる」


 未来のユウが言う。


「でも、それしかない」


 一歩、前に出る。


 裂け目の向こうから、手を伸ばす。


「今度は——」


「“壊すな”」


 その言葉が、重く落ちる。


「“繋げ”」


 意味がわからない。


 だが——


 感覚として、理解できる。


「……面白いな」


 ユウは笑う。


「難易度上がってるじゃん」


 未来のユウが、わずかに笑う。


「じゃないと、お前はやらないだろ」


「正解」


 ユウは一歩、踏み出す。


 その瞬間。


 ミアの体が、完全に“ズレた”。


 一瞬だけ——


 別の姿。


 別の未来。


 黒炎に包まれた、“壊れたミア”。


「……っ」


 ユウの目が、わずかに変わる。


 すぐに戻る。


 何事もなかったように。


「今の、見たか」


 未来のユウが言う。


「それが“崩壊の断片”だ」


 沈黙。


 ユウは、ゆっくりと息を吐く。


「……いいな」


 笑う。


「やりがいある」


 スライムが震える。


 未来のユウが、目を細める。


 そして——


 ユウは、空を見上げた。


 “核”へ繋がる層。


 まだ、見える。


「もう一回だな」


 次の瞬間。


 空間に、ヒビが走る。


 物語は、再び“世界の核心”へ。


 今度は——


 壊すためじゃない。


 “繋ぐために”。

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