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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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21/40

世界を書き換えた俺、だが“最初の違和感”がすべてを狂わせる

指先が、触れた。


 選択肢のひとつ——**「修正」**に。


 世界が、静かに“息をし直す”。


 音もなく、だが確実に。

 光点が一斉に揺れ、止まり、そして——再び動き出す。


「……終わり、か?」


 ユウが小さく呟く。


 だが、その問いに答えるものはない。


 代わりに——


 すべてが“自然に戻った”。


 次の瞬間。


 ユウは、街道に立っていた。


 朝の風。

 揺れる草。

 遠くに見える王都の城壁。


 何も変わらない景色。


「……戻ったな」


 体を軽く動かす。


 問題ない。


 スキルも、力も、そのまま。


「……違う」


 スライムが低く言う。


「何かが——」


 言い切る前に。


「ユウ」


 声がした。


 振り向く。


 そこにいたのは——


 ミアだった。


「……久しぶり」


 普通の顔で、普通の声で。


 まるで何もなかったかのように。


「お前……」


 ユウが目を細める。


「なんでここにいる」


「なんでって」


 ミアは少し首を傾げる。


「一緒に王都行くって言ったでしょ?」


 沈黙。


 ユウの中で、何かがズレる。


「……言ってない」


 はっきりと。


 記憶にない。


「え?」


 ミアが不思議そうな顔をする。


「何言ってるの?」


 少し笑う。


「昨日、ちゃんと話したじゃん」


 “昨日”。


 その言葉に、引っかかる。


「昨日、俺は——」


 管理者と戦っていた。


 世界の外に行った。


 核に触れた。


 だが。


「……その記録、存在しない」


 スライムが言う。


 声が、明らかに揺れている。


「何?」


「履歴に矛盾」


「世界ログと記憶が一致しない」


 ユウは、ゆっくりと空を見る。


 何もない。


 だが——


 “見える”。


 微細なズレ。


 ほんのわずかな遅延。


 現実と、構造の“噛み合わなさ”。


「……修正、したよな」


 ユウが呟く。


「……はい」


 スライムが答える。


「ですが——」


 一瞬、言葉を選ぶように間が空く。


「“何を修正したか”が、残っていません」


 沈黙。


 ユウは、笑った。


 静かに。


 だが確実に。


「なるほどな」


 理解した。


「“いい感じに直した”つもりで——」


 空を見上げる。


「壊したか」


 その瞬間。


 視界の端に、“ノイズ”が走る。


 人が、ブレる。


 建物が、一瞬だけ歪む。


 ミアの輪郭が、ほんの一瞬——


 “別の何か”に変わる。


「……見えてる」


 ユウが呟く。


「何が?」


 ミアは気づいていない。


 普通だ。


 完全に。


 だが——


 ユウには見える。


 この世界が、“一枚じゃない”ことが。


「ユウ」


 スライムが低く言う。


「この世界——」


 一瞬の間。


「“安定していません”」


 風が止まる。


 遠くの王都が、わずかに“ズレる”。


 存在している位置が、ほんの少しだけ違う。


「……バグってるな」


 ユウは小さく笑う。


 だが。


 その目は、楽しそうだった。


「いいじゃん」


 むしろ。


「壊れてる方が、奪いやすい」


 そのとき。


 空が、裂けた。


 音もなく。


 唐突に。


 その裂け目の向こうから——


 “同じユウ”が、こちらを見ていた。


「……は?」


 さすがに、初めて驚く。


 もう一人のユウが、口を開く。


「それ以上触るな」


 低い声。


 同じ声。


「この世界、もう限界だ」


 沈黙。


 ミアは気づいていない。


 スライムは、完全に沈黙している。


 ユウは——


 笑った。


「面白いな」


 一歩、前に出る。


「お前も“俺”か」


 裂け目の向こうのユウが、静かに答える。


「そうだ」


 一拍。


「——お前が壊した“未来”のな」


 空気が凍る。


 物語は、さらに加速する。


 “世界改変”の代償が、牙を剥き始めた。

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