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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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11/40

街最強の男に目をつけられた俺、試されることになる

 翌日。


 ギルドの空気は、もはや“日常”ではなかった。


 ざわめきが、波みたいに広がっては収まる。

 視線が、矢みたいに刺さっては逸れる。


「……あいつだ」

「黒炎を使ったって」

「いや、奪ったらしいぞ……」


 噂は尾ひれをつけて泳ぎ回る。

 どれも半分は外れで、半分は当たりだ。


 ユウは気にせずカウンターを横切る。


「注目度、ピーク更新」


 足元でスライムが囁く。


「外部干渉の可能性、大」


「来るなら来い」


 短く返す。


 その“外部”が、すぐに姿を現した。


「——お前か」


 低い声が、空気を押し下げた。


 ギルドのざわめきが、一瞬で止む。


 振り向かなくてもわかる。

 重い“気配”が背中に立つ。


 ユウはゆっくり振り返った。


 そこにいたのは——


 大柄な男。


 筋肉の塊みたいな体。

 無駄のない立ち方。

 視線だけで、周囲を黙らせる圧。


「……誰だ」


 ユウが言う。


 男は一歩、近づいた。


「この街で一番強い男だ」


 短い自己紹介。


 それで十分だった。


 周囲の反応が証明している。


(当たり、引いたな)


 ユウは内心で小さく笑う。


「黒崎ユウ」


 男が名前を呼ぶ。


「スキルなしで、ここまで来たらしいな」


「そういうことになってる」


「面白い」


 口元がわずかに歪む。


「見せてみろ」


「何を?」


「全部だ」


 シンプルな要求。


 拒否する理由はない。


「いいけど」


 ユウは一歩前に出る。


「壊れても知らないぞ」


「それはこっちの台詞だ」


 男の足元が、わずかに沈む。


 床が軋む。


 それだけで、力の密度がわかる。


「警告」


 スライムが囁く。


「過去最高出力。単独では危険」


「だからいい」


 ユウは息を整える。


 体が、わずかに震えている。


 恐怖じゃない。


 期待だ。


「場所を変える」


 男が言う。


「ここじゃ壊れる」


「賛成」


 ギルドの外へ出る。


 そのまま、町の外れへ。


 開けた場所。


 逃げ場はない。


 邪魔も入らない。


「始めるぞ」


 男が構える。


 シンプルな姿勢。


 だが——


 隙がない。


(完璧に近いな)


 ユウは静かに踏み込む。


 まずは——観察。


 次の瞬間。


 男が動いた。


「——っ!」


 速い。


 今までで、一番。


 視界から消える。


 気づいたときには——


 目の前。


 拳が振り抜かれる。


 ユウはギリギリで腕を上げる。


 衝撃。


 吹き飛ぶ。


「がっ……!」


 地面を転がる。


 息が詰まる。


「……いいな」


 男の声。


「今ので壊れないか」


 余裕。


 完全に、格上。


「分析」


 スライムが高速で囁く。


「筋力、速度、反応。すべて高水準。既存スキルでは対応困難」


「だろうな」


 ユウは立ち上がる。


 腕が痺れている。


 だが——


 笑っていた。


「だから、奪う」


 地面を蹴る。


 《俊敏》最大。


 《強靭》《硬化》重ねる。


 一直線に突っ込む。


「ほう」


 男がわずかに目を細める。


 拳を振るう。


 今度は——


 避ける。


 ギリギリで。


 そのまま——


 触れる。


 ビリッ。


 今までで最大の衝撃。


 頭の奥が焼けるように痛む。


 ――《剛力》解析開始


「……重いな」


 歯を食いしばる。


「負荷、限界接近」


 スライムが警告する。


「まだだ」


 押し込む。


 流れを掴む。


 引きずり出す。


 ――《剛力》一時取得


「……取った」


 体が変わる。


 重さが増す。


 だが、動ける。


「いい顔だ」


 男が笑う。


「来い」


 挑発ではない。


 純粋な“期待”。


 ユウは踏み込む。


 拳を振るう。


 さっきより重い。


 だが——


 男は受け止めた。


「まだ足りん」


 そのまま、押し返される。


 差がある。


 はっきりと。


「……楽しいな」


 ユウは息を吐く。


 こんなに差がある相手は初めてだ。


「もっと寄越せよ」


 自然に口から出る。


「全部」


 男の目が、わずかに光る。


「欲張りだな」


「当然だ」


 ユウは笑った。


「強いやつほど、価値がある」


 その言葉に——


 男は、はっきりと笑った。


「なら——」


 一歩、踏み込む。


 空気が揺れる。


「取りに来い」


 圧が、さらに増す。


 その瞬間。


 ユウは確信した。


(こいつは——)


 今までで、最高の獲物だ。


 心臓が強く打つ。


 体が熱い。


 スライムが静かに告げる。


「戦闘継続は高リスク」


「知ってる」


 それでも。


「やる価値がある」


 ユウは構える。


 さらに深く。


 さらに強く。


 “奪う”ために。


 戦いは、まだ始まったばかりだ。

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