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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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10/40

闇堕ちした元仲間を、俺は完全に上回る

 黒い炎が、夜を裂いた。


 路地が赤黒く染まる。空気が歪み、石畳がじわりと溶ける。


「——消えなさい!」


 ミアの叫びとともに、黒炎が奔流となって押し寄せた。


 以前の火球とは、次元が違う。

 触れれば終わり。そんな“圧”がある。


 だが——


「見える」


 ユウは低く呟いた。


 炎の流れ。濃淡。歪み。

 すべてが“線”として浮かび上がる。


 体が自然に動く。


 《俊敏》で踏み込み、

 《強靭》で耐え、

 《硬化》で削る。


 炎の隙間を縫い、一直線に突き進む。


「なっ……なんで——!」


 ミアの声が震える。


「なんで当たらないのよ!!」


「単純だろ」


 ユウは黒炎を掠めながら前に出る。


「全部、見えてる」


「そんなわけ——!」


 否定の言葉は、最後まで続かなかった。


 ユウが、すでに目の前にいたからだ。


「もう一回、借りる」


 手が伸びる。


 ミアの肩に触れる。


 ビリッ。


 強烈な衝撃。


 だが、今度は耐えられる。


 流れ込む情報を、押さえ込む。


 ――《黒炎魔法》強化取得


「……やっぱり、伸びるな」


 小さく呟く。


 さっきよりも、明確に制御できる。


 ミアの目が見開かれる。


「嘘……でしょ……」


「現実だ」


 ユウは手を掲げる。


 そこに、黒炎が灯る。


 さっきよりも、濃く、深く。


「それ……私の……」


「もう違う」


 短く否定する。


「今は、俺のだ」


「返して……」


 ミアの声が、震える。


 怒りではない。


 焦りでもない。


 もっと根本的な——


 “恐怖”。


「返してよ……!」


「無理だな」


 ユウは首を振る。


「奪われる覚悟で選んだんだろ?」


 その言葉が、深く刺さる。


 ミアの呼吸が乱れる。


「……ふざけるな」


 小さく呟く。


「ふざけるなあああああ!!」


 魔力が爆発する。


 黒炎が、さらに膨れ上がる。


 制御が乱れている。


 暴走に近い。


「負荷過多」


 スライムが警告する。


「対象の安定性、低下」


「わかる」


 ユウは静かに答える。


「終わりだな」


 ミアが最後の一撃を放つ。


 巨大な黒炎。


 路地全体を飲み込む規模。


「消えろおおおお!!」


 叫びとともに、放たれる。


 だが——


 ユウは動かなかった。


 逃げない。


 避けない。


 ただ、手を前に出す。


「それも、もらう」


 黒炎がぶつかる。


 衝撃。


 轟音。


 だが——


 飲まれない。


 逆に。


 “取り込む”。


「な……に……?」


 ミアの声が、かすれる。


 炎が、ユウの手の中へと収束していく。


 まるで、吸い込まれるように。


 ――《黒炎魔法》完全同期


「……完成、か」


 静かに呟く。


 次の瞬間。


 ユウの周囲に、黒炎が静かに揺らめいた。


 暴れない。


 歪まない。


 完全に制御されている。


「そんな……」


 ミアが後ずさる。


 目の前の光景を、理解できない。


「私の……力……」


「違う」


 ユウは一歩前に出る。


「最初から、お前のものじゃなかった」


 冷たい言葉。


「使ってただけだ」


 ミアの足が止まる。


 完全に、心が折れかけている。


「終わりにする」


 ユウが手を上げる。


 黒炎が集まる。


 だが——


 放たない。


 そのまま、ゆっくりと消す。


「……え?」


 ミアが顔を上げる。


「殺さないの……?」


「必要ない」


 あっさりと言う。


「もう勝負はついてる」


 事実だった。


 完全に。


 圧倒的に。


「……っ」


 ミアは唇を噛む。


 悔しさと、無力感で震えている。


「……覚えてなさい」


 かすれた声で言う。


「私は……まだ……」


「いいよ」


 ユウは遮る。


「何度でも来い」


 そして、少しだけ笑った。


「そのたびに、全部もらう」


 ミアの体が、びくりと震える。


 それ以上、何も言えなかった。


 ミアは、そのまま走り去った。


 闇の中へ消えていく。


 静寂が戻る。


 壊れた路地と、焦げた匂いだけが残る。


「戦闘終了」


 スライムが言う。


「勝利」


「だな」


 ユウは軽く息を吐いた。


「収穫は?」


「新規スキルの完全取得。戦闘効率、大幅上昇」


「悪くない」


 むしろ、最高だ。


 ユウは空を見上げた。


 夜空が広がっている。


 さっきまでの戦いが、嘘みたいに静かだ。


「次は?」


 スライムが問う。


 ユウは少しだけ考えて、答えた。


「もっと上」


「具体的には?」


「決まってるだろ」


 小さく笑う。


「この街で一番強いやつ」


 風が吹く。


 新しい獲物を探すように。


 ユウは歩き出した。


 さらに上へ。


 もっと、強い力を奪うために。

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