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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第一節 出会いは狂騒曲

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89.珍道中。王都についてのあれこれ話。



「ロニア王国、人間の国だったのは今は昔。黒竜の爪痕は深く、とても人間だけでは復興出来そうになかったのでした。そこで!難民だったエルフ達と人間が手を取り合って、都市として再建したのが今の王都ロニアなのです!いざ、出発!」

「「なんで居るの?」」

「……あらあら」

昨日空席だったその席、客車のデライラさんの隣にはコルネリアさんが座っていた。



今朝、目が覚めると、コルネリアさんは居なくなっていた。

二人して夢でも見ていたのか、と疑問に思っていたが、部屋には書き置きがあったのだ。


『とてもお世話になりました。また会いましょう。そして、ヤマトくんとナデシコちゃんが私の恩人であると、ここに記します。 コルネリア』


あっさりした別れに苦笑した。その紙を荷物にしまう。

その後、朝の身支度や朝食を済ませてから、客車へ向かった。

そして、デライラさんと合流して乗り込んだのだが……。



「いやー、わたしもそろそろ王都に帰ろうって思って、商隊の人とも顔見知りだったし、ちょっとおねだりしちゃった」

しちゃった、じゃねぇよ。

「……不法侵入じゃないなら、いいのかしら?」

「デライラさんは大丈夫か?この小動物、そこそこうるさいぞ」

昨日と同じローブ姿で、ちゃっかり窓際を取っているコルネリアさんを指す。


「え、ええ、平気よ?……小動物?二人は、知り合いなのかしら、その……この」

「みんなはわたしの知り合いだよ?ヤマトくんとナデシコちゃんは私のお友達だし、デライラちゃんが小さい頃に一緒に遊んだりしたんだよねー」

少し引きつったデライラさんの言葉をコルネリアさんは遮った。


「お友達、なのかしら?どう思う?ヤマト」

「一宿一飯の付き合いではあるな」

「えー、恋の話をしたら、もうお友達だよ!」

そして、頬を膨らませる500歳オーバーの子持ちエルフ。


「はいはい、そうね。あんまりうるさくしちゃダメよ?コルネリア」

ナデシコは生返事で、コルネリアの頭を撫でた。

「えへへ、ネリーでいいよん?」

それに満足した様子のコルネリア、改めネリー。妙な珍道中になりそうだった。



ネリーの号令に合わせた訳ではないのだろうが、それから間もなく、商隊は出発した。

外を見れば、護衛の冒険者は今日も客車近くを巡回している。昨日の事を受けてだろうか。

しかし、数人死にそうな顔色の者達も居る。昨日の飲み会が原因だろう。


「二人は王都は初めてなんだよね?どれくらい知ってるのかな?」

「ネリーの言ってたことは知ってたわ。付け加えるなら、『緑のユディット』がその復興の立役者で、はじめは人間区画、エルフ区画にしっかり別れてたけど、世代を追うごとにその線引きも曖昧になった、とは聞いたわね」

「その影響か、『緑のユディット』は今でも王都で大人気。今は、ロニア魔法学園の学園長をしてる。あと、植物の生育にも力を入れてる、ってデライラさんに昨日聞いたな」

「うんうん、しっかり勉強してるみたいで関心関心」

腕を組んだネリーは頷いている。どこ視点の頷きなんだ?


「私も質問させてもらおうかしら。二つの区画分けは曖昧になったけど、それぞれの象徴はまだ残ってるわ。なにか分かるかしら?」

デライラさんも、ネリーが来てからのぎこちなさがすっかり取れたようだ。

「えぇっと……確か、『ロニア王城』と『世界樹の若木』だったわよね」

「『ロニア王城』は政治の場所、『世界樹の若木』は大きな木で式典や催しなんかでその前の広場が使われる。ラケルの『アーテナイの屋敷』と『闘技場』みたいなもの、でいいんだろうか」

「ふふ、よく勉強しているのね」

デライラさんもネリーと同じような事を言うが、それでもデライラさんの方がなんだか威厳がある、気がする。


「『ロニア王城』は政治の場所とは言っても、開業の手続きや転居の手続きで普通の市民も利用するわ。後は、王族や貴族の方々の居住区もあるわね」

「『世界樹の若木』の近くは劇場や美術館なんかもあるよ!舞台はいいよ、歌に踊りは見てるだけで楽しいからね!ご飯が美味しいお店も沢山!」

二人とも補足してくれているのだが、視点がまるで違う。地理と観光案内くらいの差がある。


「私達、いまいち王族や貴族が、なにかってイメージ出来ないのよね」

「アーテナイ、様も王族らしいが、気安かったからな」

俺達は書類上、ラケル市民だ。この疑問を持っていても、不思議はないだろう。


正直、貴族に対する印象は良くない。

王都出身の冒険者リニーの話だと、貴族には貴族同士で結婚というこだわりを持つ者がいたり、面倒な者が居る、との話を聞いたからだ。

リニーは、俺達の友達だ。しかし、一方の視点だけで判断するのは早計だろう。

王都に長年住む二人の意見は聞きたい所だ。


「うーん、人間の王族や貴族は……頑張り屋さん、かな?」

意外にも言及したのは、ネリーだった。


「王都はラケルより小さいけど、各地の安全地帯の農村や酪農村が各地にあったり、実験農場なんかもあるの。貴族はそこで一年の殆どを過ごすことになるんだけど。その為に、幼い頃から測量や病害虫への対処の農業知識や、万が一の魔物の襲撃にも備えないといけないから、戦闘技能を鍛えたりね」

さながら生まれながらの公務員、ってわけか。ネリーはよどみなく続ける。


「王族や、一部の貴族は全体の統括職や、研究職についたりね。家督の継承を外れても、いざとなれば市民の為に戦え、そんな『いざ』が無くなればいいんだけどね。……ほんと、みんな頑張り屋さん、なんだから…」


ネリーは、少し苦笑した後、窓の外を眺めた。遠くの空を見ているようだった。



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