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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第一節 出会いは狂騒曲

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85.古の恋物語①。響く歌声。



「もー、仕方ないなぁ!分かりました!だったら、わたしの方から、話しちゃいます!」

コルネリアさんは腕を組むと、自慢げに胸を張った。強調される胸に、俺は思わず顔を反らす。

「聞いてないんだけど?」

ナデシコはあくまで冷静だった。


「そう、あれはわたしがお屋敷で暮らして居た頃……」

「いや、話し聞けよ」

結局、その語りは止められなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それはまだ黒竜の影もないほど昔の話。


種族間に和睦はなく、同じ種族同士でも国が違えば争い合う。


富める者は奪うことを止めず、貧しき者は奪われる。悲しい時代。


エルフは栄華を極めていた。多種族から干渉されない島に国を構えたエルフ達は、ひたすらに魔法の研究をしていた。そして、魔法技術や道具を個人あるいは国に売り、巨万の富を得ていた。


エルフは、魔法研究を種族全体で進めていた。魔法に果ては無く、長寿であるエルフは他にやることもなかったのだ。

エルフの始祖王は魔法研究の第一人者であり、その魔法で争いのない島国を国土にしたという。


時折、歌や絵画等、芸術が流行ることもあったが所詮一過性に過ぎず、魔法の研究をしていた。


そんな、魔法大国に一人の変わり者がいた。

彼の名前は残っていない、その者は記録を消されたのだ。


なぜか、彼は未だ争いの絶えない大陸へ旅立ったのだ。親にも一族の誰にも告げず。


彼の旅路は分からない。だが、その数百年後、その面影を持ったものが現れる。

ただし、その耳も、身体も人間そのものであった。

頼りない船でその島の岸辺にやってきた男は、多くのエルフの前でこう言った。


「父の遺灰を埋めに来た!どうか立ち入りを許可願いたい!」


その男は語る。自分は人間母とエルフ父の子だと。

父も早くになくなり、母を看取り、弔った後、父の故郷に来たのだと。

そして、父はエルフとしての名前を捨てて居たため、名前も分からぬ。しかし、


「父が歌っていた歌がある!エルフの歌だと言っていた!これをもって、この血の証明としたい!」


男は、その歌を歌った。古代のエルフの言葉の歌だ。

そして、エルフ達は笑った。それは、古代エルフの言葉で熱烈な恋の歌であった。


歌詞の内容は、以下の通りだ。

貴方の全てを愛する。

心が張り裂けそうな思いも、愛おしく感じる。

出会う為に生まれ、別れるならば死んでもいい。

このような内容が、繰り返し続く。


そのような内容の歌を、堂々と勇ましく歌って見せた。そして、男は音痴だった。

しかも、エルフ達の笑いにも、男の歌を止めることなく歌いきってみせた。


「なにあれ……おかしいのっ!」


その様子を見ていたのは、可憐な少女だ。

金髪の髪は、太陽の光を束ねたように美しく。緋色の目は、夕日より赤く煌めく。

所属全体が、無気力気味で大人しいのエルフには珍しく、活動的でお転婆な少女だった。


彼女の名前はコルネリア。

今日もお屋敷を抜け出して、何やら事件の起きた岸辺にやってきた美少女だ。

彼女にとって、それは初め見る他種族だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はい、これがわたしの旦那様、ハーフエルフのエサルカくんとの出会いね!」

「え?結婚してたの?」

「もちろん!子供も3人居るし、みんな立派になって、今は10年に一度集まる位だけどね」

コルネリアさん、まさかの子持ちの人妻だった。

いや、エルフの結婚適齢期とか知らないが。ついでに、10年に一度の頻度の高低についても。

「というか、こんな夜更け、には少し早い時間だが、一人で出歩いてて大丈夫か?」

お屋敷、という言葉から良家だと思うのだが。


「うん!わたしってば、こう見えてとっても、強いのです!…それに……」

コルネリアさんは、月を見上げる。

顔立ちは少女のようだ、なのにその憂いを帯びた表情は、女性のものだった。


「あの人はきっと、わたしを見守ってくれてるの…」

その一言で察した。言動や見た目はどうあれ、彼女は大人の女性だと。それも、耐えがたい別れを経験した。


「という訳で思いを込めて歌います!」

「「は?」」

あっけにとられていると、コルネリアさんは歌い出した。


「~~♪」


不思議な感覚だった、言葉は分からない。なのに、その歌の意味は伝わってくる。


―――出会いの喜び、思いが通じ合うことの楽しさ、自分が変わって行くことの怖さ、それを受け入れることの勇気。そして、それらを全て愛しているという、ひたむきな思い。


洗練された旋律だった。コルネリアさん全身を使い、歌を響かせる。

その歌に鳥肌は立ち、痺れのような感覚は背筋まで達した。

その歌の技工は、長年磨かれたものだろう。だが、


「……っ!」

俺とナデシコの目から零れる涙は、この歌に込められた『思い』によって流れたのだと確信した。


―――寂しい。会いたい。でも、心の中でまた会える。だから、立ち上がれる。前を向ける。


歌は続いた。心に突き刺さるようだった。無意識の内に、ナデシコと手を重ねた。

そこで、不意にその歌は止まった。恐らく、歌の途中だ。どうしたのか、怪訝に思っていると。



「……お腹すいちゃった」

……ぐぅ、となんとも情けない音に、俺達の涙は引っ込んだのだった。







歌うま、腹ぺこ、童顔、巨乳、金髪、赤目、黒ビギニ、ローブ、ツインテ、エルフ、子持ち、未亡人、お嬢様


13コンボ

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