表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第一節 出会いは狂騒曲

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/148

79.夢は騒がしい。残される『もの』。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これはある日を境に時々見る夢だ。

時刻は、恐らく5の月2日の明け方。夢の中に時刻があるのかは分からないが。


手には日本刀を握っている。

俺の手を飛び出し、それはたちまち少女の姿に変わる。

現れるのは、桜色の髪をした少女。黒い羽織には桜の花びら、赤い着物には桜の花。

手には、ハリセン?


「……一晩を明かしたのだった、ではないわ!?」

跳躍して繰り出されるのは一閃。狙いは俺の、頭頂部。スパーン、と小気味のいい音がする。


「痛ッ…くはないが、何すんだ、『姫桜』」

「妾の台詞じゃ!何であそこから、何もしない選択になるじゃ!?」


この血走った目で地面にハリセンを叩き付けたのは、『姫桜』。

自称、俺が持っている日本刀『姫桜』の人格の具現化した姿。


「?」

「国民的ゲームのキノコとか出すブロックか、お主は!?」

言動に神秘性のかけらもないが、呪いから生まれた存在で、普段は日本刀『姫桜』から外の世界や俺の事を見ているそうだ。


その呪いとは、毎夜毎に歴代所有者やその者が斬った写し身が、現在の所有者を夢の中で殺し続ける。

そのことは、目が覚めると覚えていない。夢の中の出来事、ということになるようだ。

だが、夢の中で殺され続けた者はいずれ、狂ってしまう。『姫桜』は、その様子を決して語ろうとしない。


「落ち着けよ、話題が脱線してるぞ?まずは冷静に話し合おう」

「……聡くないヤマトに、諭されるとは屈辱じゃ…」

「遠回しにバカって言ったかオイ」


しかし、俺がその全て、歴代所有者とその者達が斬った存在の写し身を夢の中で斬ったら、呪いが弱まったらしい。

今は週一くらいの頻度で、夢の中に連れ込まれ、『姫桜』が再現した『敵』と戦ったり、このようにおしゃべりしている。

ただ夢の中で戦うと、身体を動かした記憶が無意識下へフィードバックされ、代償に起きたときに少しの疲労感を覚える。

呪いが弱まった今も、起きたら記憶が消える仕様は健在で、起きている俺の小さな悩みの種になっている。


「男女が一つ屋根の下、昼間の身体のほてりが残った状態、何も起きないはずはずも………なかったんじゃがなぁ……ハァ……」

「何よりじゃないか。俺達にはまだ早いだろ、色々と」

「これでは、いつ、『やや子』が見れるか分からぬわ……」


『姫桜』は疲れたように肩を落とす。

このおせっかい刀は、俺達、俺とナデシコの事をくっ付けようと躍起になっている節がある。余計なお世話である。『やや子』、子供の顔を見せろとうるさい。


「……そう言えば、なんで『姫桜』がそんなに俺達の事を気にしてんだっけ?」

「む?語った事無かったかの?良かろう、とくと聞くがいい」

「へいへい」


胸を張る『姫桜』。小さい子供の姿だから微笑ましいが、刀自体は数百歳じゃなかったか。

刀の所有者が居ないときは、意識がないらしいから、実はこの見た目が年相応なのか?


「まずは恩返しじゃな!」

「恩返し?」

「うむ!妾に『姫桜』という名を与え、拵えを整えてくれたナデシコ!妾の呪いを週一のスポーツジムくらいまで弱めてくれたヤマト!この二人にじゃな!」

「自分の呪いの例えにスポーツジムはどうなんだ?」


元々、『姫桜』はナデシコの祖父が買ってきたものだった。それを色々あって俺がもらったのだった。

ちなみに『姫桜』の所有者判定は一定の力量を持って『姫桜』振ること、らしい。

以前の所有者は、少なくとも近代ではなかったのだとか。


「いや待て、どうして俺達がくっつくのが、俺達への恩返しなんだ?」

「だって、お主達、両思いなのに全然進展しないではないか」

「いや、俺達のペースでやってるからさ…」

「その結果が、初めての口づけまで10年じゃぞ?お主らでは、亀はおろかカタツムリにも周回遅れじゃ」

「………そこまで?」

「妾は日々、ヤマトを現代の知識を得ておる。その基準から見ても遅いわい。早さが足らぬわ」

「はいはい、寝てる間は覚えとくよ」


まぁ、起きたらこの小言も忘れるんだが、『姫桜』としては一言、言わないと気が済まない、ということなんだろう。

それに、つい最近だが、この夢の中の事を思い出す機会もあった。

それにピンチを救われたこともあったんだが、………ナデシコと二人の時にコイツの小言を思い出すのは勘弁したいな。


「うむ、次の理由じゃが……むぅ…」

「どうした?」

「……これは、妾の事情じゃが、出来れば『次代』を見てみたいのじゃ…。妾は、『その後』も残り続けるじゃろうしな…」


トーンダウンした『姫桜』へ、『どの後』か、質問しないと分からない俺じゃない。

俺は、俺とナデシコはいずれ居なくなる。『姫桜』を残して。

だけど、あくまで軽く流しておこう、俺が気にすれば『姫桜』も引きずるだろう。


「ま、そこは安心してくれ。現実時間で1年間の付き合いだ。そうそう手放したりしないさ。俺もナデシコも、未だにガキの頃のおもちゃを捨てられない性分だ。俺達の子供が生まれたら、きっと同じように物を大事にするだろうさ」

「そうか、少し安心したわい。……ん?今、妾をおもちゃ扱いしなかった!?」

「……ああ、そこは宝物に変換しといてくれ」

「出来るかァ!?そこに直れぃ!!」


その後、『姫桜』の怒りのハリセンは何度も俺に振り下ろされることになるのだが、便利な言葉で締めさせてほしい。


以下略。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ