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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『間ノ章① あかいおまけ』

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番外 冒険者とヤマトナデシコ 8


「「どうしよ……」」

「ホントにね。……魔物のせいにしようにも、魔石も素材も粉微塵だろうし、残ってても魔物の規模と釣り合わないしね。……なによコレ、笑えるわ」


いつも何かしらやらかしてる俺達だが、今回のコレが人様に迷惑を掛ける事は明確だった。

地面に穴を開けた轟音に『双杖』の二人もやってきた。俺達も肩身が狭い思いをしながら、穴に背を向け合流した。


そして、リニーは俺達と一緒に頭を抱え、ベンは穴を観察している。

ちなみに魔石は魔物の核のようなもので、素材は魔物の残留物、どちらも換金できて冒険者の収入源だ。


「……みんな、こっちに来てみて。そう単純じゃないみたいだ。……できる限り魔力を抑えてね」

俺達はベンに呼ばれ、穴の周囲に集合した。


「なによ、コレ……」

リニーの言葉だ。先ほどと同じ言葉だが、深刻度が増している。

穴を覗く、そこには大きな石が落ちていた。ナデシコが開けた穴と同経くらいだろうか?

中は暗くてよく見えないが、地下空間になっているようだ。

そして、なにより中から複数の気配を感じる。


「……魔物の巣窟。……魔力が特定の場所に貯まると複数の魔物が、その場所に発生する。ダンジョンのように場所に縛られず、そこで生まれた魔物は自由に出入りして被害を広げる」

「…教本の丸暗記なんて真面目ね、ベン。……じゃあ、私が続きを言いましょうか。……発見した場合はすぐに撤退が推奨される。そして、速やかにギルドに報告すること」

「ありがとう、リニー。……じゃあ、それはヤマトとナデシコの二人に任せようかな?」

「え?」

「……お前達はどうするんだ?」


二人はいつもの調子だ。ベンはにこやかで、リニーは眉間にしわを寄せている。


「足止め、かな?」

「そうね。護衛依頼は失敗でいいわ」

「何言ってるのよ…!」

覚悟を決めた表情の二人に、ナデシコが食い下がる。


「……この規模、数十は下らない魔物が居る。今はまだ出てこないみたいだけど、街に一直線なんて事になったら大変、だよね?」

「俺達のせいだろ…!」

「それは違うわ。むしろ、アンタとナデシコが居たから被害が出る前に発見出来た。……よくやったわね。ナデシコ、流石私の友達だわ」

「リニー…」

にこやかなで素直なリニーに、ナデシコはその名を呼ぶことしか出来ない。


「さ、行きなさい。出来るだけ、早く報告するのよ?……少し離れてから魔力を使っていいわ」

「二人とも、任せたよ。……ご飯、おいしかったよ」

二人は穴から視線を外さない。その背は語る。ここは任せて、先に行け、と。


「…ナデシコ、行こう」

「ヤマト…!……ええ、わかったわ…」

ナデシコは、俺の顔と視線の先を見て、頷いてくれた。


そして、俺達は駆け出す。穴の中へ。


「「なっ!」」

唖然とする二人、その顔を横目に俺達は、5メートルの滞空時間の後に、ナデシコの落とした岩の上に着地。

周りを見渡せば、感じるのは魔物の気配、『ブラウンスネーク』『ベノモススネーク』揃い踏み。

暗闇の奥には、より大きな気配も感じる。


「ダイナミックお邪魔します、パート2!」

「お宅訪問は初めてか、クソヘビ共!」


俺は日本刀『姫桜』を握る。ナデシコは背中から白いツバサを生やす。

そして、俺の髪は桜色に、ナデシコはそのツバサと同じく白に変わる。

魔力は全開、しかし、魔物はまだ襲ってこない。魔物は狡猾だ。一斉に仕掛け、必殺のタイミングを計っているのだろう。


「何やってるのよ!すぐに戻って来なさい!」

「そうだよ!どれだけの数がいるか分からないんだよ!」


上から二人の言葉が降ってくる。


「チッ、うるせーな!ハンセーしてまーす、よ!」

「今から暴れるから、逃げ出すヘビはヨロシクゥ!」

「「はぁ!?」」

もちろん、一匹も逃がすつもりはない。そして、全部魔石に変えて、二人に押付けるつもりだ。


「さぁ、ヤマト。カッコ良くいきましょう?」

「当たり前だ。……じゃ、アレやっとくか?」

「そうね!」

背中合わせで、言葉を掛け合う。


朱谷纏アケヤ・マトイ、ヤマト。行くぞ!」

異撫椎子イナデ・シイコ、ナデシコ。行くわよ!」


ヘビの群れへ飛び込むのは、俺達二人。異世界からやってきたヤマトナデシコだ。


桜然閃さくらぜんせんレン!!」

「ちょっと小規模!……アマリリス・ストライク!!」


俺の斬撃が連なり飛ベば、魔物の首が落ちる。

赤い燐光を纏うナデシコが地下空洞を駆ければ、魔石のみがその場に残される。


殲滅まで掛かった時間は約一時間。

異世界での魔物相手の無双劇は、なかなかに楽しかった。



しかし、勝者である俺達を迎えたのは、『双杖』の二人を筆頭に、この世界の大人達の説教であるのだが、今の俺達に知る由もない。






次回『番外 冒険者とヤマトナデシコ』完結です

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