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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『間ノ章① あかいおまけ』

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番外 冒険者とヤマトナデシコ 6


俺達はあの後、『生活魔法』についての講義を受けた。


まず、『可食判定』は書いて字の如くだ。

その食べ物が『自分』が食べられるか判定する生活魔法。

生活魔法に詠唱は必要なく、少々の時間集中すれば『可食判定』が出来るらしい。


俺達は、この世界で食前に祈る習慣を知っていた。

それはてっきり宗教的な意味のみを持つのだと思っていたが、『可食判定』を行う時間でもあったらしい。

しかも、この魔法、殆ど魔力を消費しない。それが今まで見逃していた原因だった。


そして、リニーが今回わざわざ声をかけて来たのは、冒険者は昼飯を急いで食べる傾向にあり、痛みやすい外での食事の際に、声を掛け合う習慣があるからだそうだ。



次に、『飲水生成』は少し複雑だった。

何もない虚空から水を生み出すのではない、雨水や川の水、もしくは汚水でも構わない、なにかしらの水分から人が飲める水を作り出すのだ。


こちらには少々の魔力を消費する。しかし、町中で見かける機会は殆ど無い。

なぜなら、この世界にはすでに上下水道の整備がされているからだ。

蛇口をひねる方が魔力を消費するより容易く、疲れない。

しかし、外で活動するものや、それこそ冒険者は違う。水道がない環境ではまだまだ現役の魔法だ。


冒険者は、魔力に余裕がある者が用意するのが常らしい。

俺達は依頼人なので、当然除外され、ベンが用意するので一声掛けたらしい。



他にも、可燃物に火を付ける『着火』、傷口から出血を止める『止血』。

この世界の住人なら、習わずとも身につけているものだそうだ。


特に、この四つの生活魔法は『女神の慈悲』とされ、信仰に深く結びついてる。


なるほど、この世界で女神が深く信仰されるわけだ。

俺達のように環境に恵まれ、特に意識しなくても生活出来ていたが、野外や放浪の生活であったなら、これらの魔法はあまりに破格で便利だ。



「他にも『洗浄』なんかも、生活魔法の一部ね。あとは、大きく魔力を消費するけど、『増血』………ナデシコ、ちょっと付いて来なさい。…………男共、付いて来たり聞き耳を立てたら殺すわよ?」


二人で森の茂みの中に入って行った。

リニーには悪いが、俺は現代日本で保険体育もしっかり勉強している。

『増血』、女性限定、でピンと来たが黙って居るのがマナーだろう。

そして、戻って来たナデシコは、


「女神様……ありがとうございます…!」


すっかり信者になっていた。

無理もない、以前、ナデシコは『ソレ』についてこう例えたのだ。

『マンスリーでやってくるクソ遅延の内蔵破壊攻撃』、と。



「話を変えるけど、キミ達は今日まで『可食判定』をしなくて平気だったなんて、運がよかったね」

「どういう意味だ?」

「だって、誰かにとっての『可食判定』で大丈夫でも、自分では食べれないものもあるだろう?」

もしかして、アレルギーのことか?

「俺とナデシコはそういうのはないな」

「私達の世界だと……他者の食べれないものを調べられる技術があるのよ」

アレルギー検査のことだ。

医療機関で受けられ、血液検査などで自分が持つアレルギーの種類が分かるのだ。

「なによソレ、魔法と変わらないじゃない」

「そういう世界だったのよ」

「俺とナデシコはなんでも美味しく食べれて好き嫌いもないぞ」

「それはなんとなく分かってたよ。……なるほど、魔法に頼らない世界、か」

ベンはなにやら考えこんでしまった。顎に手を当てて、思案しているようだ。



「たくましいのね。……冒険者向きよ、アンタ達」

「素直に褒められると照れるわね。今日はリニーも頼りになるわ。アメリアちゃんにも言っておいてあげる」

「……言っておくけど、そういう狙いがあったわけじゃないんだからね?」

どうして、こうもツンデレ定型文が似合うのだろう。この台詞はジト目で言ってるのだが。



「あ、なんとなく分かったかも、二人の修行の行き詰まり」

唐突にベンが何か閃いたようだ。俺達の注目がベンに集まる。


「ねぇ、二人とも、アーテナイ様との修行の時、魔力を全開にして戦ってるんじゃないかな?」

「ああ、そうしないと、まともに勝負にならないからな」

「私もよ?常に全力全開は基本でしょ?」

「やっぱり!」

それは、ベンにとって答え合わせのようだった。しかし、リニーは俺達と一緒に首を傾げている。


「何か分かったの?ベン。実に二人らしいのだけど…」

「うん、そうだねリニー。でも、こうは言い換えられないかな、二人は常に一定の出力で戦っている、って」

「……ああ、そういうことね!…確かに苦戦する訳だわ!」

リニーにも分かったようだが、俺達はピンときていない。


「なあ、そろそろ答えを知りたいんだが…」

「ああ、ごめんごめん。詳しくは後で話すけど、一言で言うと…」

「一言で言うと?」

ベンの次の言葉を待つ。それは、思い至れば単純なことで


「キミ達は、魔力の制御を覚えれば、もっと強くなれる!」


俺達の可能性を示すものであった。

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