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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『間ノ章① あかいおまけ』

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番外 冒険者とヤマトナデシコ 4


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なるほどね。アンタらにしては、地に足着いて妥当な内容の依頼文だと思ったら、そういう事情があったのね」

「ボク達より強い二人の護衛っていうのは、違和感あるけどね。……なにかに巻き込もうとしてない?」


早速依頼を受けてくれた『双杖』の二人、リニーとベンは、翌日俺達が寝食を世話になっているカレブさんの営む服屋にやってきた。

ちなみに依頼としては、【ラケル近郊の魔物の生息域の調査、及びその道中の護衛】となった。


この依頼は、商人が商隊を組む際に、中堅クラスの小規模パーティに依頼を出して周辺の調査を行う際に出す依頼の定型だ。今回はそれに護衛も加えている。

本来は、同時に多数の冒険者へ依頼して、護衛の規模等を決定するらしい。そして、脅威が手に負えないようなら行政に報告、その際は報告者に報奨金もでるそうだ。

この依頼の特徴として、戦闘が必須でないことが上げられる。距離や範囲で料金相場が変わるらしく、俺達が出す報酬も、指名料、諸費用込みで、大硬貨一枚、ということになった。

節約はしなくてもいいのだが、相場から大きく離れると、冒険者ギルドから疑いの目を向けられ、今後の昇格の査定に響くらしい。


『双杖』の二人はAランクを目指している。それを邪魔するような行為はしたくない。

依頼の経緯を話したら、リニーは納得しいてくれたようだが、ベンはまだ疑っているようだ。


「そんな事無いぞ。最近ちょっとアーテナイとの修行に行き詰まりを感じててな。冒険者の考え方とか行動を勉強して、何かの突破口に出来ないかと思ったんだよ」

「そうよ。安心して、二人がきっかけでアーテナイに一撃入れられたら、ちゃんとアーテナイにもそう言うから」

「お願いだからやめて」

「トラブルより勘弁したいな」

なんとも謙虚な二人だった。



「それで、どうするの?今日早速行くなら、依頼人への対応に切り替えますけど?………ちょっと、なによその顔」

にっこり微笑んだリニーが問いかけるが、非常に複雑そうな顔のナデシコ。


「粗野が売りのリニーの敬語を聞いた顔よ」

「冒険者にも依頼を蹴る権利があることを、学ばせてあげましょうか?」

早速、依頼が流れかけている。リニーは顔は笑顔なのに、声は低くておっかない。


「悪かったって、ナデシコもほら」

「ごめんなさい。調子が狂うので、いつものノリでお願いします」

「はぁ……ま、依頼人の意向には沿うわ。常識の範囲でね」

「二人の課題科目だね」

この冒険者、依頼人を常識なしって言ったか?……よく知ってるじゃないか。流石Bランク。


すっかり、いつもの調子を取り戻したナデシコとリニーの二人の雑談を聞きながらも、気になった事があったので、ベンに接近。


「なあ、依頼人への対応って、リニーがやってるのか?妙に手慣れた笑顔だったが」

貼り付けた、そう表現せざる負えない笑みだった。

「色々、かな?商人相手はリニーの方が得意だし、冒険者相手の交渉はボク。今回みたいな個人的な依頼は少ないけど、同性で対応したほうが信用されやすいね。…もちろん、リニーと話がってる、少し信用できない依頼人がいたらボクが担当かな」

「笑顔でサラッと言うねぇ。ま、気持ちは分かる」

「だろ?」

「ちなみにアレは?」

「アレ?」

少し話し込んでいたからか、玄関からアメリアちゃんが出てきた。それにいち早く反応したのは、リニー。


「おはよう!アメリアちゃん!」

なんて眩しい笑顔だ。あまりの眩しさにベンが頭を抱えたぞ。

「おはよー、リニーおねーちゃん」

軽い微笑みを返す、アメリアちゃん。


アメリアちゃんは、こちらの世界に来たばかりの頃、俺達が助けた小さな女の子。カレブさんの孫で、俺達が街に馴染むきっかけになった事件の当事者だ。

誰に対しても物怖じせず、無邪気で天真爛漫。将来は母親に似て美人になるであろう可愛さ。

そんなアメリアちゃんに、リニーはすっかりお熱だ。末っ子のリニーは妹のような存在に密かに憧れて居たとは、ベンに聞いた話。


沢山の騒動、出会いのあった『閉山祭』。その後もそこで出会った人々との交流は続いており、色々な世話を焼いてくれるアメリアちゃん一家。俺達の世界に戻る手伝いをしてくれているアーテナイは言わずもがな。

実は『双杖』の二人とも、ちょくちょく会っている。

その理由はリニーが、服屋の常連になっているのだ。

三日に一度は、顔を出し、肌着やふきんを一枚買って、アメリアちゃんや俺達と話す。

ナデシコやアメリアちゃんとは一緒に公衆浴場にも行っている。

その時のベンの相手は俺だったりする。以前より打ち解けた。


しかし、祭りの最終日、俺の記憶が確かなら、再会がいつになるか分からない、みたいな雰囲気を出してた気がするが、気のせいだっただろうか?……ま、その後も色々あったし、仕方ないか。


「きょうはみんなでおでかけ?」

旅装の俺達を見て、アメリアちゃんは首を傾げる。

「えぇ…そうなの……」

「何を深刻ぶっていってるのよ、リニー」

ナデシコをツッコミに回すとは凄いぞ、リニー。


「きょうはお勉強があるけど、今度はまぜてね!」

アメリアちゃんくらいの年の子供は、教会での初等教育があるのが、この世界だ。

ちなみにアメリアちゃんは優等生。俺達のこちらの世界の知識の先生でもある。


「もちろんよ!リニーおねーちゃんに任せて!」

「ありがとー」

どこかで見た事ある光景だと思ったら、俺達の世界だ。

そう、アイドルの握手会やサイン会でテンションの高い客とフラットなテンションのアイドルみたいな構図だ。


「さ、出発するわよ。じゃ、アメリアちゃん、いっています」

「「「いっていまーす」」」

「いってらっしゃーい!」


結局、ナデシコの号令で出発した俺達。

一番後ろ髪を引かれて居たのは誰か、わざわざ言うまでもないだろう。

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