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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『間ノ章① あかいおまけ』

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番外 冒険者とヤマトナデシコ 3



「じゃ、後は書き込んで、カウンターに行けばいいからな…」

「ありがと」

「世話になった」


親切な人に案内されて、ギルドの一角に来た俺達、書類もカウンターからわざわざ取ってきてくれた。去って行く何故か疲れたような彼に礼を言って、早速書き込みを始める。なるほど、まずは要件と報酬か。

彼が書類を取ってくる間に、ナデシコと少し話し合った。

戦闘指南とも書きづらいので、護衛依頼にしようと決めた。


俺達がこの世界に来たての頃、今世話になっているカレブさんとその孫アメリアちゃんを道中で助けた。詳しい話は省くがその報酬は、中硬貨90枚。日本円換算で約9万円だ。それを基準に考えると、拘束時間は一日くらいだし、冒険者見習い、ということにした俺達でその額なら、Bランクの二人を雇うことを考える。少なくとも、大硬貨、日本円換算で約10万円以上はくだらないだろう。


「要件は日帰りの護衛依頼でいいか」

「じゃ、報酬は大硬貨4枚くらいかしら?」

なるほど、端数を繰り上げて、往復で倍、Bランクの二人で倍で四倍ということか。


「そうだな」

「待て待て待て!」

「「?」」

「お前ら、どんな危険地帯に行くつもりだ!?」


親切な人が慌てて帰ってきた。

そうか、相場の倍くらいだから、どこに行くのか心配してくれたのか。


「そうね。ちょっと、その辺の森とか?」

「ラケルはそんな魔境じゃねぇ!」

「指名依頼なんだが?」

「Aランクの2パーティ合同依頼が出せるわ!」

「「そうなの?」」

「そうなの!」


再びカウンターにダッシュで向かう、親切な人。そして、資料らしき紙を持って帰ってきた。


「ほら、これが相場資料!一々教えないから、後は自分たちで確認しやがれ!」

「ありがと」

「世話になる」

「じゃあな!」


再び、去って行く、とても親切な人。再び、書類に向き合う俺達。


「先に分かるとこから、埋めるか」

「そうね」

「経費の負担?……とりあえず、全額で」

「待て!」

「緊急性?……早いほうがいいから、チェックいれときましょ」

「待てって!」

「「どうしたの?」」

「……もういい!俺が一緒に書く!」

「お願いします」

「助かります」

「………はぁ……もういい、任せろ…」


大きいため息をする凄く親切な彼と共に、依頼文を書き込み始めた。時折修正が入りながらも、なんとか依頼文が完成したのだった。それにしても、本当に親切な人だ。最初に強面と思ってしまって、なんだか申し訳ない。

その書類は、特に修正なども見つからず、あっさりと無事に受理された。

受付の人は、受付処理の後になにか言いかけたが、さっさとその場を去ろうとする親切な人を追う事を優先した。なにかあれば、声を掛けられるだろう。


「「ありがとうございました」」

「ああ、もういいよ。気を付けていきな。……というか、受付のネーチャンに任せればよかったぜ……」


後半はよく聞き取れなかったが、親切な彼は振り向きもせずに去って行った。

案内係の人ではなく、本当に親切な人だったようだ。


「やっぱりこの街は治安がいいわね」

「そうだな。俺達も親切な人を見習おうな」

「ええ」


その後、いい気分で食べたご飯はいつもより美味しかった。

出会いに恵まれる。俺達は本当に運がいい。


受付の人が何か言いかけたことは、すっかり忘れていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ……」

「一応聞いとくけど、なにがあったの?」


ここはラケルの冒険者ギルドの食堂、時刻は昼過ぎ。

冒険者に格安で食事を提供している食堂は、その職員にも安く昼食を提供する。

ギルドの制服を着た女性二人。なにやら、元気がないのは、先ほどヤマトナデシコの依頼を受理した受付嬢。


「……私、今年、闘技場で会っちゃったのよ」

「はいはい、アーテナイ様と殴り合ったって二人組ね?この2週間くらいずっど同じ話じゃない。大宴会でも、二人を見かけたけど、声を掛けられなかった。なぜかと言うと…」

「二人が!手を繋いでたの!」

「お静かにしてくださいね」

「ごめん。騒いだ冒険者さんへの対応やめて。……あと、ヤマトくんとナデシコちゃんね?ここ重要だから」

「お静かにしてくださいね」

「二人の手を繋いでる姿がね。なんだかとっても、邪魔し難いというか、もはや神聖なものみたいでね?……でも、付き合ってる恋人同士より初々しい感じも、長年連れ添った夫婦のような安心感も併せ持ってるの…」

「今日のご飯は当たりね。明日も鶏肉にするわ」

「間に入りたいわけじゃないの、ただ、詳しく、馴れそめを二人のそれぞれの視点から聞きたい、それだけなの……私が空気になって」

「怖っ」


尊い。推しカプ。その概念は、まだ異世界にはない。しかし、その片鱗は確かにここにあった。


「そのためには、仲良くならなきゃじゃない?冒険者だとおもったから、すぐに会えると思ったのに……」

「今日来てたじゃない。ヤマトくんだっけ?会釈しといたわよ。向こうも返してくれたし、悪い子じゃないみたいよ?」

「え?ナデシコちゃん以外なのに、異性とそんなやりとりを…?」

「職場に悪い子は居たみたい。……頭が、だけど」

「とにかく、声を掛けるタイミングもなくしたし、落ち込んでるのよ。……あ、でも、二人の距離感を間近で見れて良かったわ。私は運がいいみたい。次は二人で腕を組んで欲しいわ」

「……無敵か、コイツ」


この日、冒険者ギルドに運が悪かった者がいる。

それは、昼食中にこのよく分からない話を聞かされた女性職員のことだ。

また、今晩この同僚に飲みに誘われ、断る手間が掛かったことも、それに拍車をかけたのだった。


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