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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『赤ノ章 祝祭のラケル』 第三節 ナデシコの誓いと共闘、そして…

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70/150

70.この後めちゃめちゃ怒られた


あの後、結局夕方近くまで雑談などをしながら過ごしていた。

アーテナイは、夕方の、つまり先ほどの宣言があるので、闘技場に向かうとのことだった。

それに同行して、俺達はこの特等席でそれを眺めることになった。


「……なんかムカついきたわ」

「どうした急に」


帰る人の町並みを見ながら、ナデシコはポツリと呟いた。

スルーしてもいいのだが、内容が内容なだけにツッコミをしなければなかった。


「なーんで、私達が『切ない』とか『寂しい』なんて、ツマンナイもの抱えてお祭りを終わらないといけないのよ!」

「情緒不安定過ぎないか、流石にさ」


立ち上がった、ナデシコは吠える。高さの関係で下に聞こえてないのが、唯一の救いだ。


「だって、誕生日で、お祭りよ?ハッピーでないともったいないじゃない!」

「いや、もったいないって………まぁ、確かにそうか?」


いかん、流されてきた。けどま、いいか。お祭り騒ぎとも言うし。


「さぁ!チート全開で行くわよ!」

「よし!何をやる?」

「今から考える!」

「つまり、作戦会議だな」


そうして、俺達は悪巧みを考える。正義のヒーローが現れなかったということは、『ワル』ではあっても『アク』ではないのだろう。

俺達は話し合う。今までの手札を見返して、その『ツマンナイもの』をやっつける為に。


鍵は、チートアイテムと誕生日。


「『取り寄せバックパック』。よく聞きなさい。私は誕生日プレゼンを決めたわ」

ナデシコは、言い聞かせるように宣言した。そして、手を入れる。

「だから、おじいちゃんの、アナログカメラとフィルム一式、アレは私のものよ!」


自分のものしか取り出せない、電化製品は取り出せない。その縛りがあった。

だから、普段携帯端末で写真を済ませる俺達は、カメラを出すなんて発想がなかった。

しかし、今日は誕生日。

だったら、あの孫に甘い爺さんが、ナデシコの欲しがるものをくれない理由がない。

ナデシコは、手を取り出す。その手に、二つのものを掴んで。


「よし、通った!」

「うん。俺とナデシコの入学前の写真を撮ったものと一緒だな」


だったら、俺も使い方が分かる。珍しいカメラだったので、爺さんに使い方を聞いていたのだ。

嬉しそうに俺に教える爺さんを思い出す。多趣味な爺さんでよかった。

背面を開ければ、フィルムはないので、セットする。


「あとは撮るだけなんだが、テストに一枚、撮っとくか」

「じゃ、二人でね!」


夕日をバックに一枚。フイルムはその場で確認出来ない。それでもいい。

異世界の記憶が、記録になった瞬間だった。


「じゃ、後は下にいくか?」

「………ねぇ、ヤマト。私と相乗りする勇気ある?」

「ま、まさか…!」


俺達の作戦は、こうだった。

ナデシコが、誕生日プレゼントとして、カメラを貰い。俺が撮る。

異世界にない技術を持ち込むのだ、故に悪巧み。

みんなの記録を残して『ツマンナイもの』をやっつける。


しかし、ナデシコは最短の道を行こうとしている。少し悩んだが、俺は相乗りを選んだ。


「ああああああ!」

「大袈裟ね?空を飛ぶのは初めて?私は二回目」

「だから!不安なんだよ!」


ナデシコの髪は白く背中にはツバサがあり、俺は頭ピンクだ。違った、桜色です。

俺まで変わる必要があったかと言えば疑問だが、『姫桜』の柄を握って覚悟を決めたら、こうなったので仕方ない。戻るよな?

俺の両脇にはナデシコの腕、俺の手にはカメラ。急転直下で真下のアーテナイへ。


「はぁ!?アンタら、なんでその格好で!?」


周りの運営も戸惑っている。無理もない。俺も同じ場面にあったら混乱必須だ。


「ナデシコ、ホバーって出来るか!?」

「やってみる!」

「やった事無いなら止めて!落ちちゃう!」

「出来た!」

「出来ちゃうのかよ!?」


そんな訳で空から一枚。アーテナイと親衛隊達を記録した。


「じゃ、アーテナイまたねー」

「ちょっと行ってくる!」

「…………………ハッ、待ちな!」


流石のアーテナイも、すぐには反応出来ないみたいだ。俺達は、ラケルの街を飛ぶ。


「……おや、翼人とはめずらしいね、久しぶりにみた」

「どうしたんですか、父さん?…ここに居るわけ………お二人とも!?」

「どうも、シェーヌさんにはお世話になってます。ヤマトです」

「ナデシコです。ちょっと、お姿記録して大丈夫ですか?」

「これはご丁寧に。私はアイヒェ、構いませんとも」

「何を非常識に常識的なやりとりをしてるんですか!?」


シェーヌとその父親を記録した。


「……ねぇ、リニー、アレ見間違いかな?」

「どうしたのベン、空なんか指さし………ハァ!?」

「よっ」

「高いとこから失礼、またね」

「……いや、待ちなさい!!」

「……追わないとダメかな?」


『双杖』の二人を記録した。

その後も記録は続く、料理対決でお世話になったドワーフに、今日も門の近くにいたツィンクさん。鉱夫ドワーフと身重の奥さん、その近くにいたアイゼンさん。実況ドワーフ、コーレンと飲んでる工房長クプファさん。この町並みそのもの。複数の記録を残す。後、なんか下が騒がしかったけど無視した。


「「アメリアちゃーん」」

「はーい!」

「おや、どこらともなく二人の声が……」

「父さん、上だよ上…ん?上?」

「え!?二人とも何やってるの!?」


アメリアちゃん一家を記録した。

その後、俺達は地面に降りた。俺達の髪色はたちまち元に戻り、ツバサも消えた。


「いやー、みんなの事を、この……なんだろ、異世界の機械で記録に残してたの」

「空からになったのは成り行きだけどな」


俺達は頭を掻きながら、苦笑する。全員ぽかんとしているが、カメラの概念を説明するのは今度にしよう。なぜなら、


「アメリア!そのバカ二人を捕まえな!」

「うん!…えーい!」

俺達は捕まってしまった。あれ?もしかして、ナチュラルにバカって思われてる?

しかし、抵抗は出来ない。振り払うにはその手は、小さすぎた。


「どういうつもりですか!?お二人とも!街は軽く混乱状態ですよ!?」

「……アーテナイ様が走り回ってたのも原因だけどね」

「説明!……はやっぱりいいわ…。それより、しっかり怒られなさいな」

「さっきのは見間違いかの……」

「うーん、二人だからなぁ……」

「もう、また何かやったのね?」


知り合い大集合だ。丁度いい、殆ど驚き顔だったからな。


「ごめんない、みんな。でも…」

「すまないが、説教の前に一つだけ頼みがある」

「「「「「……今度はなに?」」」」」


画角の調整をした後、ゼンマイ式のセルフタイマーをセットした。

俺達は、集合写真を記録した。

現像するまで、その表情は分からない。

でも、きっとみんな笑顔だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくした後、アーテナイの寝室には一枚の書類が置かれた。

書類の類いが苦手なアーテナイが寝室にまで持ち込んだ書類。

わざわざ書類に対して付与まで施し、破れず、文字も消えない様に加工されたその書類の内容は以下の通りだ。



反省文


私達はこの度、ラケルの街を飛び回り、街に混乱を招きました。

被害については、交通遅延や驚いて物を落とした人もいました。

今後は許可無く街で飛び回りません。

反省の証として、これから3日間の祭りの片付けや、街の清掃活動に従事します。


提出日

聖龍歴500年4の月1日・閉山祭最終日


提出者・連名

ヤマト ナデシコ 


身元引受人

アーテナイ


【以下、紙の隅に日本語で書かれている】


誰か反省なんかしますかっての!またやります!

ナデシコ

今度は合法的かバレずにやります。

ヤマト

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