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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『赤ノ章 祝祭のラケル』 第三節 ナデシコの誓いと共闘、そして…

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66.その二人と昼食を


「ま、昨日もなんやかんやあって、アーテナイにこのお店を教えてもらった、ってわけ。今日の食事の事を話したら、優待券もくれたし、ここにしたの」

「味は保証する。昨日の魚料理も良かったが、今日の昼は肉らしい」

「いや、なにをどうすれば、アーテナイ様から各都市の代表を招くようなレストランの一等個室の優待券をもらうような事態になるのよ」

「やめよう、リニー。多分、口の軽いこの二人が誤魔化すってことは、口止めが入ってる。ラケルの上層部から…」


今は閉山祭最終日、異世界4日目の昼だ。

ここは、ラケルでも有数のレストラン『赤き槌』の特別個室。パート2。

俺達の眼の前には、ベンとリニー、『双杖』の二人が座っている。二人は個室に入るまで借りてきた猫のように大人しかったが、個室に入った瞬間、何故この店なのか聞いてきて、冒頭のやりとりに戻る。


「昨日はたいへんだったねー」

「……アメリアちゃんも巻き込んだの、アンタ達?」

「「なんやかんやあって」」

「誤魔化すの下手すぎないかな?」

個室内の円卓の席順は、アメリアちゃんを女子二人で挟んで、男子が隣同士と言えば伝わるだろうか。


昨日は、あの後、その場の全員で公衆浴場で行ったりした。

シェーヌもアレクさんもサウナ派だった。俺は広い浴槽の中で、垣間見た記憶の事を考えていたのだが、さっぱり分からなかった。皆にならい、サウナでさっぱりした。現実逃避とも言う。

夜は俺もナデシコもすぐに就寝し、『夢も見ず』ぐっすりと寝て翌朝起きることが出来た。


ちなみに今日は、アメリアちゃん一家は、アメリアちゃん以外、家でゆっくりするらしい。トラブル続きだったし、仕方ないだろう。

夜、祭りのフィナーレには参加する予定だそうだ。今日も元気なアメリアちゃんは、俺達が誘うと二つ返事で同行を快諾した。ちゃんと、保護者の了解も得ている。

ちなみに合流したとき、昼前に間に合おうように早めに向かったのだが、二人はすでに居た。リニーの笑顔は完全にアメリアちゃんにだけ向いていた事を、ここに記録しておく。

二人の服装は、闘技場で見た物より普段着に近いもの。アメリアちゃんも少しおしゃれ着で、俺とナデシコは久しぶりに学生服を着ている。

多少目立っても、祭りの最終日にはしゃいだ変わった服装の二人くらいに見える、はずだ。さすがに今日は戦いにならないだろう、という願掛けもあるのだが。

しかし、念のために袋に入れた状態で『姫桜』は腰に差してはいる。


「あ、お料理きたよー」

「ん?この香りってもしかして…」

ひしお、だな」


並んだ料理を見る。今日は、肉料理がメインだ。

カットされた肉はレアだ。そして、そのソースは醤が使われていることが香りから分かる。

透き通るスープは、根菜を中心に食べ応えのある物。副菜がないのは副菜も兼ねているからか。

パンは小ぶりの物がいくつか、どちらにも合わせられるように配慮されてる。

アメリアちゃんのパンは、今日は花の形をとっている。

どの花かは特定出来ないが、焼き色も薄めであり、黄色い花の様。

俺達は、食べる始める。そして、あることに察しが付いたのはアメリアちゃん以外の全員。


「ラケルの料理人のプライドを舐めてたわ」

「そうだね。これは明らかに……」

「昨日の料理対決の再現、いや…」

「改良版ね。やってくれるじゃない…!」


料理全体から伝わる。「俺ならこうする」という主張。

スパイスを揉み込まれた肉に、醤の塩味で味付け。言うなれば、アーテナイと俺達の疑似合作。

スープは『ジャガイモ』を中心に複数の根菜があり、お互いを邪魔しない。スープに入った透明な『タマネギ』の甘みは、それぞれの個性を生かすものだ。

なによりこの小ぶりなパンに合う。パンまでどちらの料理にも適応出来るように調整されているのだ。

まさに職人技。食材への深い理解を感じる。上手く、美味い。


「ヤマト、シェフを呼ぶべきだと思う?その喧嘩買った、って言いたくなってきたわ」

「いや、止めとこう。ある意味俺達の狙い通りだしな」

パンが入ったかごの側面に一枚の紙があった。昨日は何もなかったので先ほど気付いたが、そこに書かれたのは、今日の料理名。『ラケル焼とラケル煮~赤き槌風~』と書かれている。


「むしろ、早速のアレンジありがとう、とでも帰りに言おうぜ?」

「…早速、一流店のメニューに入るなんて、流石に予想外ね」


そうして、二人で笑ったのだった。

原型があればアレンジがある。その早さは、それまでの経験が物を言う。これからのラケルの食卓に大いに期待しよう。


ちなみに、アメリアちゃん。

「みて!これ!かわいー!」

俺達が話して居たので、両手でお花のパンを持ち、頬に当ててリニーに見せていた。

「うん!とってもかわいいわ!アメリアちゃん!」

「……リニー」

デレデレのリニーと、残念なものを見る目のベンの温度差が、ある意味味わい深い。

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