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【学園編佳境】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章六節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第六節 円舞曲を止めないで

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223.縁と緑の舞踏会⑦。来賓席にて。

 


 歓談の時間からしばらく経って、俺はエルフ側の来賓席へ来ていたやって来ていた。


「あ、今まで、もみくちゃにされてたヤマトくんだー。おいでー」

「急にお呼び立てして申し訳ありません。ヤマトさん」


 今日は正装しているネリーと、フルリスに呼び出されていたのだった。

 今日くらいは、コルネリア様とフルリス陛下とお呼びした方がいいかな、なんて考えていたが、あまりにもいつも通りで拍子抜けだ。


「いや、助け船だったんだろ?恩に着る、二人とも」

「「どういたしまして」」


 九死に一生、とまでは行かないが、そこそこピンチだった。



 俺の身に何が起こったのか、簡単に言えば、珍獣扱い。


 歓談の時間に入った際、俺は今日卒業ということもあるし、『若葉組』と雑談でもするつもりだったが、あっという間に分断された。

 そう、学園生に囲まれたのだ。ナデシコも反応が遅れる早業で、辺り一面の女性生徒に囲まれた。


 姦しい、というレベルでは無い。誰が何を言っているか分からないレベルで話しかけられ、表面上はにこやかに、でも内心は右往左往していると、


「ヤマト殿、よろしいでしょうか?貴賓席より、陛下がご挨拶を、と申しております」


 これまたいつの間にか現れたルスィスさんから声を掛けられた。

 周囲の反応は劇的だった。急に静かになり、道を譲られ、貴賓席まで難なく来れた。


 大階段を上る際に、みんなの方を確認したが、仕方ない、みたいな苦笑で送り出された俺だった。



 そして、今に至る。

 通された席は、フルリスが座る長椅子だった。

 その同席は流石に遠慮したかったのだが、やって来たネリーに引き込まれた。


 唯一の救いは、貴賓席のあるバルコニーに張り巡らされた御簾、カーテンのようなものの存在だろう。

 外から見ると薄暗く中の様子が分からないが、中からは外が見える。

 スモーク硝子の理論を魔法技術で再現したようなものか。


「それにしても、囲まれるのもわかるなー。カッコいいよ!ヤマトくん」

「ええ、本当に。白はエルフにとっても縁深い色ですから。嬉しく思います」

「ありがとな。白は世界樹が付ける花の色、なんだろ?

 そんな二人の正装は、俺にとって新鮮でより一層美人に見えるよ」

「ふふっ、ありがと!」

「まぁ、お上手ですね」


 美人親子に褒められても、平然と返せたのには秘密がある。


 この王子様風衣装で、教室に戻った際に、ものの見事に褒め殺しにあったのだ。

 俺が服装を褒めた以上の言葉がそれぞれから帰って来たり、謎のポーズをとらされたり、ユディット先生が歴史を引用したり、エマ先生がナデシコとの対比を言ってみたりと。

 実際、もう止めてくれ、というまで続いた。


 世界樹の白い花も、そこで聞いたことだった。

 ただ、『世界樹の若木』はまだ花を付けたことがないらしいので、伝承の類いらしいが。


「もう少ししたら、会場も落ち着くと思うよ?さっきまでは浮き立ってたけど、今は落ち着いてきたから」

「確かに、ここからは、会場全体が良く見えるな」


 ネリーの言うように、会場の動きが忙しないものから、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。皆、話し相手を見つけたのだろう。


 上から、『若葉組』を探すとすぐに見つかった。


 ナデシコとエマ先生は、赤いドレスのフレイヤさんと何やら話し込んでいる。

 珍しい組み合わせだが、和やかな雰囲気で談笑している。

 若葉組では姉貴分なナデシコだが、俺の姉ちゃんと絡むときは妹分で甘え上手でもある。

 フレイヤさんに対しては、その側面が出るようだ。


 メグとライリーは一緒に行動していた。

 ライリーが自分の入学前の友達を紹介して、メグがそれに心良く応じている。

 それを遠巻きにしているのは、豪華なドレスの貴族子女。どう対応していいのか、計りかねているのだろう。

 メグも気付かないフリで通すつもりらしい。


 イザベラは、なんとも自由だった。

 提供された料理の内、甘いものをその場で試食させて貰ったりしていた。

 途中、背の高い高等部生が立ち塞がった。立ち振る舞い、姿勢から見て、女剣士、といった所だ。

 何やら因縁ありげだったが、イザベラは首を傾げ、そっと避けていた。

 女剣士は、酷く落ち込み、近くに居た知人らしい女生徒から慰められていた。

 天然ぶりは、教室外でも遺憾なく発揮されるらしい。


 ユディット先生は、どうやら挨拶のようだ。

 対面のバルコニー、人間側の王家の席から魔力を感じる。


「折角来たのですから、今しばらくはゆっくりされてはいかがですか?…ルスィス、貴女も是非食べて頂きたいものがあると言っていましたね?」

「はい、フルリス様。機会を頂き恐縮です。ヤマト様、よろしければこちらを……」


 フルリス言葉が終わる頃には、ルスィスさんはすでに小さな器を持ってきていた。



「エサルカ城で教えて頂いたものより、試行錯誤を重ねました。

 この度に舞踏会へも『エサルカ城』の品として提供させて頂いています。

 どうぞ、一口一口、ゆっくりとご賞味下さい」


 いつもより、真剣な目つきに気圧されつつも、受け取った。横目で見れば、ネリーもフルリスも受け取っている。


 陶器の器に入れられたのは、オレンジ色のゼリー。よくあるオレンジゼリーに見える。

 しかし、何故陶器に?清涼感を出すなら硝子の方が優れていると思うが……。


「では、いただきます」


 小さな疑問、それから最後の台詞…若干の違和感を感じつつ、スプーンで掬い、口に運ぶ。


 瞬間、香りが弾けた。




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