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【学園編佳境】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章六節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第六節 円舞曲を止めないで

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219.縁と緑の舞踏会③。それ以上はいけない。

 


 何故か、三人娘から距離を取られた時、教室のドアが再び開いた。


「戻ったわよー」

「……やぁ、みんな、揃っている、ね?」

「女性陣の準備は万端ですね」


「「「……!」」」


 俺がドアの方を向くより早く、3人娘はナデシコの前に回り込んだ。お陰で、俺からはナデシコのドレスが見えない。

 それにしても、この一ヶ月で三人も魔力の使い方が向上したな。

 今のだって、魔力による身体能力強化と、ヒールへの付与を同時に行っていた。


「……どうしたのよ、三人とも?」


 ただ三人の身長では、隠しきれないので、ナデシコの顔はこちらからでも見える。当惑気味なその顔には、珍しくメイクがされてる。


「ナデシコ。今日はいつも以上に華やかだな」

「でしょ?正直かなり盛れてるわ!」


 ナデシコは堂々と胸を張った。

 嬉しそうなナデシコ、それと逆に、3人娘はあっけにとられ、こちらに歩み寄るナデシコに道を譲った。


「ドレスはスリットの入ったマーメイドライン。美しい立ち姿と、動いたときの大胆さ。それに、胸元はしっかり隠しているのに、片側の肩を出すアンシンメトリーのデザイン。二つの矛盾に思わず見とれるな」

「そうよね。よそ見してる暇なんて無いわよ?」


「ああ、それに髪色と合わせた黒。まるで何者にも染まらないという強さを感じる。

 今日のいつもより赤い唇に、目が吸い寄せられるな。綺麗だ」

「ふふっ、今日はいつもより素直ね。ぶっきらぼうな言い方でもないし、褒めてって言う前に褒めるし」


 フレイヤさんの助言のお陰なのだが、ここでフレイヤさんの名前を出すほどバカじゃ無い。


「ちょっとした心構えの変化だ。ダメだったか?」

「いいえ、めっちゃアガがるわ。今日は90点をあげる。今後も精進してね?」

「もちろんだ」


 ナデシコは、近年まれに見る上機嫌だ。まだまだ10点分の伸びしろがあるので頑張ろう。



「……ねぇ、姉貴、質問なんだけど、普段からこんなやり取りを二人でしてんの?」

「んー、わりと小さい頃からやってるわ。

 こっちだと、5歳頃の私って、ちょっと自分に自信が無かったんだけど、ヤマトったら『おめかし』すると凄く褒めてくれたりしたの。

 ただ、こっちだと中等部に入る前に頃なると、ぶっきらぼうにもなったわ」


 ライリーの質問に少し考えてから答えるナデシコ。そんな冷静に分析されてたのか、俺。


「まさに森林探索の水練の時ですね。そう言えば、皆の水着に対してぶっきらぼうだった気がします」

「それでも、褒めてって言ったら、褒めてくれるから、そこまで気にしてなかったけどね」


 イザベラが持ち出した水着の時の話となると流石に困る。

 あれは下手に言及すると、ファッション、というより肉体美の話になるからな。

 もし、誰かに俺の考えてた事がバレたら必死で口止めすると思う。


「それでは先ほどのやり取りは照れが無くなった、お兄様の素の言葉、というわけですのね。……なんと厄介な」

「そうね。ほとんど口説きに近いけど、ヤマト本人としては、見たまま、ありのままを伝えたつもりのはずよ?」


 厄介、厄介ですか、メグさんや……。少し凹む。

 そして、理解のある彼女って言葉が似合うナデシコは、俺の心境を読んでいる。

 ……ん?口説きに近い、って言った?そんなバカな…。


「ねぇ、ヤマト。先生達のドレスはどう思う?」

「え?この状況で言えと?」

「いいからっ」


 仕方ない。ナデシコに目を奪われて、視界に入らなかった先生達をよく見る。


「あはは…、なんだか照れますね?」

「……問題ない。…ワタシを讃える言葉など、年代表を作れるほど聞いてきた。…ちなみに歴代でももっとも、くどかったのは、とある王家の人間からの言葉だ」

「忘れてくださいまし…」


 ユディット先生に恥ずかしい事を言うと、その子孫にまで伝わるらしい。こっちの方が厄介だろ。



「そうだな。まず、二人とシンプルなデザイン、フォーマルドレスだな。おそらく、会場を回ることを想定しているのか、ヒールが高くないパンプス。落ち着いた大人なデサインだ。髪も編み込まれてて、いつもより正装であることを際立たせている。

 エマ先生が薄緑、ユディット先生が深い緑。所々の差し色にはエルフの正装の白が使われているな」


「兄上、まずは静かな立ち上がりですね…」

「いいえ、兄貴はここからよ…!」

「なんの実況やってんだか…」


「しかし、ところどころの装飾品、指輪、ネックレス。及び、髪に編み込まれたリボンが…」

「…そこまで、だ。…まさか、そちら方面で来るとは…。…参った、よ」


 ペア、対のデザインになってる。そう言おうとしたら、口止めが入った。


「「「「……あー」」」」

「み、見比べないでください…!」


 女子生徒の納得の声と視線から、エマ先生は先ほど指摘していた部分を隠してしまった。



 教訓、匂わせは本人に伝えると嫌がられる。



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