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【学園編佳境】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章六節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第六節 円舞曲を止めないで

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206.別れにはまだ早い。勝者が招かれるところ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくの間休んでから、俺達は合流した。

3人娘は固唾をのんで見守り、エマ先生はユディット先生の側に、ネリーも大人しくしてる。


「……改めて宣言しよう。…ワタシは負け、キミ達は勝った。……だが、……いけないな、負け惜しみが出そうになった、よ」


そして、ユディット先生は俺達と向き合った。今は自身の発言に苦笑している。


「今度は負け惜しみも出来ないほど、勝てって話?」

「……色々な意味で、キミ達とはもう戦いたくない、な」


「今回は二体一だったし、いつかリターンマッチしたいけどな」

「……ワタシは平和主義者だ。…筆記式の知識勝負なら、いつでも歓迎しよう」

「「それはズルじゃん!」」


先生が生徒とする勝負ではないだろう。


短時間でこのように軽口も叩ける程度に気力と体力が回復出来たのは、お互い血を流さなかったからだろう。

どちらの狙いも武器一本、武器破壊ではなく、落とすことを狙って打ち合った。


「……しかし、これからキミ達を待つのは、平等な勝負ばかりではない。

 …時に、ルール無用、相手に有利な状況から始まる勝負もあるだろう。

 …その時は、何をしてもいい、生き延びること、それを考えてほしい。

 …これは、教師の教えというより、個人的要望であり、これからキミ達に教える『手掛かり』を渡す条件でもある」


『異世界の手掛かり』、それがこの勝負に掛かったもの。

今にして思う。俺達が負けた時のリスクはそれを教えてもらえない、だけだった。

俺達にとってはノーリスク。ユディット先生にとってはノーリターン。


なんて、平等じゃない勝負だったのだろう。そして、優しい勝負だった。


「分かったわ。まず生きることを考える」

「ああ、その条件、肝に免じる」

「……信じよう。…少々、ここでは話辛い。…ワタシの研究室まで来たまえ」


俺達の目を見たユディット先生は、頷き、背を向ける。

勝負には勝ったのだ。だが、その背中は細身なのに大きく見えた。

その背を追い、俺とナデシコは一歩踏み出した。


「お待ちになってください!」


メグが、声を上げた。足を止める。


「一つ、お聞かせくださいな。このまま、お別れ、ですの…?」


その瞳は、揺れ、今にも雫が落ちてしまいそう。

見れば、その両隣のイザベラもライリーも同じだった。


何か、声を掛けるべきだろうか。躊躇ってる内に、俺達の代わりにユディット先生が答えた。


「……いや、それはない。…少なくとも、彼らはしばらくは王都に滞在するだろう。…多分」

「「そうなの!?」」


その返答に驚いたのは俺達だった。え?どういうこと?え?しかも、多分っていった!?


「……!」

「メグ、代表して言ってくれてありがとね。そんで、イザベラ、たまにはアンタがツッコミなさい」

「はい。では、コホン…良かったです!!」

「「違うわ!!」」


言葉が出ない様子のメグを、ライリーが気遣う。

だが結局、イザベラの天然ぶりに声を上げるハメになっていた。


「はぁ…。学園長…」

「……なにかな?エマ?」

「マイペースもいい加減にしてください、ね?」

「………努力しよう」


アーテナイ曰く、『アイツはアタシよりマイペース』。久しぶりに思い出していた。



結局、演習場に3人娘とエマ先生が残った。

主にエマ先生は演習場の点検、3人娘は先ほどの勝負を見た後に身体を動かしたくなったらしい。

あの三人、俺達より向上心があるかもしれないな。


「あ、ちなみにわたしも、しばらくは王都に居るだろうな、って分かってたけど、謝った方がいいかな?」

「…もう、突っ込む気力も起きないわ…」

「気にしなくていいぞ。…というか、勝負の終わりがそのまま、王都を去る、と思ってたのが少し恥ずかしい…」

「……そんな事を思っていたのか。…あまり勧められる選択肢ではない。…その訳は、中で話すとしようか、な?」


ネリーはこちら、俺達に同行していた。そして、目の前には、研究室の扉。

『異世界の手掛かり』はもう間近だ。



「皆様、お疲れ様でした」

「あ、フルリスだ。やっほー」

「よっ、フルリス。俺達勝ったぜ」

「まぁ!本当に!?」

「「マジ!」」

「おめでとうごさいます、お二人とも!」


中に居たフルリスと言葉を交わして、応接室の席に座る。

目の前にはよく冷えたお茶。きっと今は見えないが、隠密護衛メイドさんのお茶だろう。

ナデシコと二人、のほほんとお茶を飲む。


「……ワタシが言うのもおかしいが、意外と慣れるもの、なのだね」

「二人がツッコミを放棄しちゃうと、わたし達がしなくちゃ、ってなるから大変だね」


ユディット先生とネリーも席に着いた。

今更、王女様で動揺する俺達ではない。

あと、ツッコミは分業制でも担当者が決まってるわけでない。皆でやるものなのだ。


そして、これ以上のおふざげはなしだ。



「この面子ってことは、エルフ王家関係の話でもあるんでしょ?」

「俺達の推理だと、『旧エルフ国』が関わってる、ってとこまでは予測してる」

「『旧エルフ国』……」


俺達の言葉に、フルリスも呟く。

森林探索の前にはしていた推察だが、今日ここで開示する。

果たして反応は…



二人の推理については

『142.王女陛下の可愛いワガママ。繋がる過去。』にて詳しく語っています。


https://ncode.syosetu.com/n5368lm/151

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