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【学園編佳境】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章六節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第五節 捧げる練習曲

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192.見切る。逆流するもの。

 


 ナデシコが戸惑ったのは、数秒。だが、すでに身体にの準備は完了済み。

 足に力を入れて、踏み込む先は


「なるほど、こっちね」


 左に飛んだ。だが、ネリーと手を繋いだ状態のライリーに先回れた。

 だったらと、その場から棒を使って跳躍、


「えいっ」


 しようとする前に杖の先端が地面に着く寸前、ネリーが杖を払う。

 地面と接地していなかった棒は空を切り、自然に体勢も崩れた。


「「ここで『ウインドバレット』ね!」」


 二人から放たれる2発の風の弾丸。

 ネリーにしては弱く、ライリーからしたら強力なそれらは、一方は正確杖の持ち手を打ち抜き、一方は杖を宙を飛ばす。


「………やるわね」

「「まずは一勝!」」


 武器を落とした。ナデシコの即ち敗北である。


「おっと、解除解除…」

「うっ…」


 魔力の同調状態を解除したのだろう。ネリーは手を離す。それと同時に、ライリーは目を押さえた。

 その様子に、ナデシコは敗北の悔しさも忘れ、ライリーに近づき覗き込む。


「ちょっと、ライリー、大丈夫なの?」

「…ええ、大丈夫よ。心配ないわ」

 そうして、ライリーはナデシコに手を伸ばし、その頭を撫でた。


「……?」

 その意図が分からず、ナデシコも固まる。

 そして、ライリーは自分の動きを見て、飛び上がった。


「うわっ!何これ!?」

「…うーん、わたしの影響だね。

 わたしの同調は、魔力を合わせる相手のフリをして魔力を合わせてるの。

 だから、考えの読めない相手とは同調できないし、無理矢理合わせてるから、逆に相手に影響が出ちゃう。

 今回は、みんな頑張ってて可愛いなー、なでなでしたいなー、って欲求がライリーちゃんに残っちゃったみたいだね。

 よし!もう影響を与えないように、次の作戦会議はなでなでの時間にしよう!ナデシコちゃんも参加で!」


「「それはお断り」」

「えー!」


 ナデシコはライリーに同調した。無論、魔力は別である。



 続く二戦、つまり4戦目と5戦目、相手はネリーとライリー。メグは観察。

 その二戦、ナデシコは勝利した。ただし、辛勝である。


「ライリーちゃんの魔眼は、魔力を通じて力の大小が分かるもの。ついでに、視力もいいみたい。

 そして、力の大小がわかると言うことは、その移り変わりも分かる。魔力の流れ、とも言い換えていいかな?」


 つまり、動きのことごとくが、メグと魔力を同調させたライリーに読まれている。

 いや、『見切られてる』と言った方が正しいか。


「ナデシコちゃんも経験あるよね?魔法を使う前に使い手の魔力が高まるのを感じるのを。

 それを、ライリーちゃんは魔眼で捉えられる。意識下、無意識下関わらず、ね?」


 次の6戦目を前に種明かしと称して、メグを含む全員が集められた。


「どんなもんよ!」

「わたくしを撫でながらで無ければ、格好がつくのですが…」

「抗えなくなってるのね、ライリー…」


 そして、動きが『見切られる』ことについてはナデシコも早々に理解出来た。

 故に、接近を避け、身体能力の差を生かして、なんとか勝利を掴んでいた。


 ネリーは言わなかったが、明確な弱点もある。

 相手に合わせる性質上、魔力が同等の相手と魔力を同調させれば強力だ。

 だが、自分より魔力が弱い相手と同調させた時、総合的には戦力が減る。


 しかし、今回、ライリーはその若さでは驚異的な使い手ではあるのだが、ネリーと比べると数段劣る。

 仮に、戦力を数字に換算するとして、ライリーを10、同調で強化された状態を20としよう。

 ネリーが同調時、強化されたライリーが二人、40戦力が期待できる。


 しかし、ネリーの戦力は約100だ。つまり、ネリーとライリーが別々に戦うときは110。

 40と110、より戦力が高いのは別々に戦うとき、となるのだ。


 無論、この事実はこの場に居る皆、気付いている。



「ついでに作戦会議もやっちゃうよ!」

「いや、ネリー?私もここにいるけど?」

「いーのいーの。今度は、ライリーちゃんは少し離れててね。メグちゃんとわたしのコンビで頑張ろー!」

「分かったわ」

「心得ましたわ」


 すでに、ライリーとメグはネリーを否定する気はなかった。

 ネリーの指示の方がナデシコを追い詰めている、という実感があったのだ。



 6戦目。人は変われど3戦目と同じ構図。

 ナデシコは、二人の同調に最大の警戒をもって、その場に立つ。


「…ネリーさん。見学の意図、分かりましたわ」

「うんうん!流石だね!」


「……一体なんのこと、って聞くだけヤボね」

「この修行が終わりましたら、話しますわね。お姉様」


 メグは微笑む。それを余所行きの笑みだと、ナデシコは知っている。

 何かを企んでる顔だと、この一ヶ月で見てきた。


 そして、休憩時間が終わる。それは、次の勝負の合図だ。



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