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【学園編佳境】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章六節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第五節 捧げる練習曲

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190.リベンジマッチ。小さな淑女達。

 


 そして、今日、ここに来たのはナデシコとネリーだけではない。


「ここは演習所内に更衣室がありますね」

「今日は教室が使えないから助かったわ」


「そう言えば、お兄様は着替えなどは、どうされているのかしら?」

「それなら、昼休みに一度借家の方に帰ってるわ。お陰で守衛さんには顔パスって言ってたの。…って、メグにライリー、どうして?」


 メグとライリー。彼女らもまた、休養日に学園を訪れた珍しい学園生である。


「ん?聞いてないの?」

「我々は、コルネリア様に…」

「ネリーだよー。今日は臨時講師なの」

「…ネリーさんに、昨日のお茶会の最中に誘われましたの」


「姉貴の修行を手伝って、ってね。一応言っとくけど、先代の女王陛下の誘いだから受けたわけではないわよ?」

「…わたくしの場合、多少、考慮しなかったと言えば嘘になりますわね」

「もぅ、マルグリットちゃんたら正直者なんだからー」

「…メグでお願いしますわ」


 ネリーからのナデナデに抵抗出来ていないメグを見ながら、ナデシコは思い出していた。

 昨日のお茶会でネリーはほぼ全員に話しかけた居たことを。

 それと同時に、少しだけの気恥ずかしさを感じる。


「そうなのね…。ありがとね、私の修行のための手伝いしてもらってさ」

「何勘違いしてるのよ」


 はにかみながら言った言葉へのライリーの返答は、ナデシコにとって意外なものだった。

 まだ、バトルフェイズが終わってなかったくらいに意外だった。


「ひょ?」

「お姉様から聞いたことが無い疑問符が…。

 確かに、勘違いではありますわね。ユディット先生を育てたネリーさんからの魔法指導の機会、見るだけでも値千金、体験出来るとなれば、それ以上ですわ」

「そうそう。それに三人掛かりだけど、兄貴からは一勝をもぎ取ってるのよ?

 今日はいつかやる姉貴へのリベンジマッチの予行演習よ!」


 ナデシコは苦笑する。

 そして思い出した。勘違いするな、はツンデレの定型句であるのだ。

 本来のツンデレ、普段は素っ気ないけれど、二人きりになると優しいという意味で使われることは稀だ。

 今は主に、素直になれないことを指す一般語である。


「そう?ならいいわ!掛かってきなさい!妹分共!」

「望むところよ!」

「勝利を重ねますわ!」


 睨み合う両者。目線の剣呑さとは裏腹に、その口元は両者、笑みを浮かべている。そう、姉妹そろって嬉しくて楽しみなのだ。


「…そっかー、値千金……今度、教師にしてもらおっかな?」

「止めてくだいな」

「冗談に聞こえないっての」

「先走らないで、ユディット先生と相談してね、ネリー?」


 学園に、もう一つの特別クラスが出来ることを防いだのが、本日最初の連携だった。



「さて、みんな昨日がぐっすり寝た?魔力と気力はバッチリ?うん、いいね!

 では、本日のスペシャルコースを発表します!」


 ネリーからの伝えられたのは、その表題とは異なり、シンプルな内容だった。

 魔法を避け、もしくは受け、防ぎながらの、本番と同じ距離を走破するという、ヤマトも午後の自習時間で行っていたものと変わらないように感じた。すでに、スタートラインとゴールラインが準備されている。


 違う点は、妨害役からイザベラが抜け、ネリーが入る点だ。

 加えて、後退での敗北や、身体強化の解禁など敗北条件が減った。

 ただ、反撃禁止と武器を落とした場合の敗北は継続だ。


「5分間のチャレンジの後、作戦会議兼休憩に10分、これで1セットね。

 午前中に6セット。一時間の休憩を挟んで、午後から7セットだよ!」


 無茶な数をこなすわけでもないし、休憩も十分以上にある。

 思わず抗議を上げそうになったが、ネリーのこれまで実績もあるので、ナデシコは信じることにした。

 他の二人も異論はないようだ。


「みんな、いいみたいだね?じゃあ、みんなでスタート位置に行こう!

 あ、最初に作戦は5分ね。ナデシコちゃんは身体を解してて?」

「ええ、分かったわ」


「それでは、ちっちゃい子チーム集合!」

「…その名前はなんか嫌ね」

「…受け入れがたいですわ」 


 作戦会議ではチーム名も話し合われることになった。



 ナデシコは身体を解しながら、杖を手に握る。

 空いた時間も手に持ち身体に馴染ませた杖は、間合いの把握も、効率的な動かし方もほぼ完璧だ。

 ついでに、ヤマトにも言ってないが、最近は一緒に寝てる。名前も付けようか検討中だ。


「ナデシコちゃん準備はいい?」

「ええ、ちっちゃい子チームも?」

「残念ながら『三淑女』に改名されました…」

「…そうなのね」


 準備の確認とチーム改名報告に来たネリーに対して、ナデシコはまさに、こういうときどんな顔すればいいのか分からないの状態であった。

 開始位置行く直前、思い出したようにネリーは再びナデシコに寄っていった。


「ねぇねぇ、ナデシコちゃん。ずるっこいくらい強い事を、ナデシコちゃんの世界だと『ちーと』って言うでしょ?」

「そうよ?まさに私とヤマトね!」


 ナデシコは胸を張って答える。

『チート』英単語のcheatから来ていて、「騙し取る」「ルールを破って出し抜く」という意味だ。

 しかし、別の使われ方として「あまりにも強すぎる」「規格外である」という意味でも使われたりする。

 ナデシコがネリーに教えたのはもちろん後者だ。


「うんうん。でも、こっちも結構『ちーと』だから、頑張ってねー」

「楽しみにしてるわ、ネリー」


 規格外同士の対決まで、間もなく。



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