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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章四節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第四節 未来への行進曲

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155.森林探索2日目③。描いた思い出。



「……では、キミ達の絵を見ていこう。…キミ達の共通点は一つ、人物が中心になっていることだ。…確かに、人物が映り込むことについてを禁止してなかったが、あくまでもスケッチは風景を描いて欲しかった。……と、後出しになってしまったのは、ワタシも反省するところだ。…ここからは、エマに進行を譲り、一人一人見ていこう」


ああ、そう言うことね。

確かに、スケッチと言えば、風景だな。だが、それより描きたいものがあったので仕方ない。

出題者の意図から逸れてしてしまったのは、悪かったと思う。


「では、ライリーさん。絵を見せてください。出来れば、説明も」

「はい!昨日の森での道行きの様子です!」


「なんでライリーが先頭になってるのかしら?」

「わたくし、あんなに疲れていましたの?」

「昨日、道中では、剣を振って居ないのですが」

「俺はそこまでナデシコにくっついてないぞ?」


森の中を『若葉組』みんなで歩いて居る絵だった。

ライリーが先導し、後に教師陣と俺達が居る。

ただし、先頭のライリーは凜々しく描かれているのに、後は俺達のコメントの通りどこかコミカルというか、主観たっぷりだった。



「次はメグさんですね」

「かしこまりましたわ。皆で丘の上で食べた、食事の様子ですわ」


「円座だったのにメグが中心になってるわね」

「食事中のわたしはあそこまで気が抜けているのでしょうか?」

「食事そっちのけでエマ先生に食いついてるのって私達よね?」

「冷や汗垂らしてるエマ先生の横で、淡々としてるのがユディト先生だな」


丘の上でお弁当を食べる風景だった。

メグは余裕有る慈悲深い笑みを浮かべながら、騒いでるみんなを見守ってる様な構図だ。

いや、メグはタマネギをしゃくしゃく言わせて食べてただろ。

取り過ぎて、口をすぼめてたの知ってるからな。



「イザベラさん」

「水練の練習風景です」


「……盛ったわね」

「…盛ってますわ」

「そこに付いては触れないが、俺の視線が真っ直ぐナデシコの胸に向かってるわけだが…」

「事実じゃない。というか、目がいきそうになると慌てて反らしてたから、むしろ印象に残ったわ」

「ち、違う!いや、今はイザベラのターンだろ!?」


え!?印象に残るほど!?確かに脳内の保存フォルダには残しましたが!

とにかく、イザベラの絵は皆で、湖面に向かって並んでいるところだ。

そして絵は、恐らく本人は将来性補正込みで描いている、とだけ言っておこう。



「では、そんなヤマトくん」

「どんな!?…いや、もういい。…俺は、昨日の料理の様子だ」


「森も湖も関係なく、別荘の中を描いたっての…?」

「その発想はありませんでしたわ」

「刃物の描写は加点項目ですね」

「ないわよ、そんな評価システム」

「あ、わたし達も描いてくれたんだ。やったね、リリーちゃん!」

「ええ、そうですね、ネリー先輩。ありがとうごさいます、ヤマトさん」


なぜか、メイド親子、今は先輩後輩のコメントまで頂いた。

俺の絵は、みんなで魚の下処理をしているところを描いた。

発想はネリーの絵から着想を得た。みんなで居るところが描きたくなったのだ。



「最後は、ナデシコさんですね…」

「ええ!ミール湖の対岸で、でっかい魔物をみんなでぶっ飛ばしたところよ!」


「まさかの未来ね」

「この規模の魔物が出たら即撤退ですわ」

「わたしはこのポーズ、嫌いではありません」

「この流れならトランプじゃねぇのかよ」


ナデシコの絵は、背景に大きな魔物が目を回しており、そのまえで『若葉組』の生徒一同が、戦隊ヒーローよろしくポーズを決めていた。

言うまでもなく、ナデシコはセンター、レッドの位置だ。

後ろの空いた隙間には、教師陣もメイドの三人も居る欲張り仕様であり、都合のいい未来予想図だった。



「……くく、ふふふ…」


その笑い声は、意外なところから上がっていた。

やがてそれは耐えきれなくなったというように、大きくなった。


「…あははっ……あー、……あは。……ふぅ。…すまない、なんというか、キミ達は本当に…ふふ、可愛い、ね」


声を出し、落ち着こうとしても、それでも抑えられず出る笑い。

それが、ユディット先生から出ていた。みんな目を丸くしている。

ネリーやフルリスも例外なくだ。


「……まったく、これでは評価を付けることが出来ないな…。キミ達の絵が、心底気に入ってしまったよ。…どう頑張っても、贔屓してしまう。……お母様、その昔、兄とワタシがお母様とお父様の絵を描いた時、どちらが上手いかと、聞いて貴方を困らせてしまった」


「…うん、覚えてるよ、ユディットちゃん」

ネリーの声色は、暖かく優しい。


「……決められるわけがない、だって、こんなにも喜ばしいのだから…」

「ユディット様…」

「お姉様…」

エマ先生も、フルリスもユディット先生を呼んだ。


「……ワタシの生徒達、キミ達の思い出に、ワタシ達を入れてくれて、ありがとう…」


そう言って微笑むユディット先生は、ネリーが時折浮かべる優しい笑みによく似ていた。



「何言ってんだか、『みんな』の思い出、でしょ?…ね、ヤマト!」

「そうだな。しかし、まだ終わってないのに思い出と呼ばれてもな!」

「その通りですわ。まだ半分程度ですわよ、ユディット先生!」


ナデシコに俺、メグも加わり、ふんぞり返って照れ隠しだ。

そう、まだまだ続くのだ。


「いや、それより……『お母様』に『お姉様』…?」

「それは、つまり……ネリーさん、いえ、ネリー様とリリー様は……」


………あ。


ライリー、イザベラは、何度も目線を泳がせている。


「………………………………よし、では午後の準備に」

「行けるわけないでしょ!?」

「行けるわけないです!!」


「まぁまぁ、二人とも、落ち着いてくださいな」

「いや何故落ち着いているのですか!?」

「テンパるのは、メグの役目でしょ!?」

「どういう意味ですの!?」


こうして、大問題は大混乱につながり、お昼は長めになった。とさ。


「うーん、みんなしょうが無いなー」

「「お前が言うな」」


俺とナデシコは、ネリーにツッコんだ。



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