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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章四節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第三節 若葉の協奏曲

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152/163

143.二人の王都での繋がり。それいけ若葉組。

 


「ま、こんな感じでまとめると、昨日は昼間の服屋のデライラさんとお茶して、夜はユディット先生とその家族と食事会って感じの普通の休養日だったわ」

「どこが普通ですのー!?!?」

「メグが壊れました」

「…あまりの事態に耐えられなかったのね。同情するわ」


 朝、休養日明けの教室にメグの悲鳴にも似た声が響いた。

 何気なく休みの日は何してた?そのような話題になり、俺達から話すことになった。

 無論、内容はそこまで詳しく語っていないし、夜の内容は秘密だが。


「そんなにか?」

「そうよ。大通りの服屋のデライラさん、ってエルフ王家にも顔が利く老舗よ。王都の多くの貴族、他都市から評判を聞いた有力者が一着を求めてくる有名店。なんなら、顔の広さは王都一かもね。商人のおじいちゃんからの又聞きだけど」


 ライリーからの補足が入った。デライラさん、凄い人だったんだな。そう言えば、ネリーがデライラさんの小さい頃に遊んだって言ってたな。


「兄上、ちなみにユディット先生の家族というのは誰をさすのですか?」

「ネリーとフルリス」

「すでに愛称と呼び捨てですの!?」

 これはネリーと同棲してるのは黙っといた方がいいな。


「あ、ついうっかり。コルネリア女王陛下とフルリス女王陛下な」

「つい!?」

「まぁまぁ落ち着いて、メグ。二人が作ったジャムがあるけど食べる?ドーナッツに合うわよ?」

「!?」


 メグ絶句。俺達は昨日のドーナッツを持ってきていた。ついでにジャムや砂糖も持参していた。


「いただきます」

「イザベラ、アンタじゃないっての。それから、わざとやってるでしょ、姉貴」

「てへぺろ☆」

「………なんですの、その腹の立つ顔は」


 ナデシコの舌だしはメグのストレスを限界突破させ、無事、冷静なメグに戻すことに成功していた。

 可愛いと思うのは惚れた弱みだろうか?


「はい。一つだけな?」

「ありがとうごさいます、兄上」

「授業の前に手は拭きなさいよ?」

「承知しました、姉上」

「ったく、餌付けしてんじゃないっての」


 ドーナッツをイザベラに与えた。満足そうに食べる姿を見ると多分好感度が上がった気がする。


「はぁ、いつもの光景を見ると落ち着きますわ…。ところでお兄様、お姉様、一つ確認致します。…多少身分が違っても、友人は変わらず友達、ということになりますわよね?」


 その問い掛けをするメグは、どことなく不安そうで、らしくなかった。調子を崩しているのだろうか。


「いきなりの友人チェックって不安になるよな」

「メグったら、変なところで不器用ね」

「言わないであげなさいよ。頭でっかちなのは知ってるでしょ?」

「ですね」

「全く、貴方がたと来たら…。もう、いいですわ!」

 メグは、とてもメグらしく、少し生意気にそっぽを向いた。


「悪かったよ、我が友」

「機嫌直しなさいよ、我が友」

「というか、あたしはとっくに親友くらいには思ってるわよ」

「わたしもメグさんの事が好きですよ?」

「も、もう…!」

 すっかり赤くなったメグは、教師陣が来るまでずっとそっぽを向いていた。


 ちなみに休日の過ごし方は、イザベラが一日中剣を振り、ライリーも運動や買い物で過ごしたそうだ。メグに関しては聞きそびれてしまったのだった。



「おはようございます。皆さん」

「………おはよう。皆、揃っているね」


 教師陣といつもの挨拶を交わす。いや、ユディット先生がいつもより、若干鈍い。昨日、あの後絞られたのだろう。流石に怒られたことは計算外だったのかも知れないな。


「……ようやく、保護者の同意書も揃った。…本格的に準備を、始めよう」

 保護者の同意書?とっくに集め終わったと思っていたが。


「……ヤマトくん、ナデシコくん。…キミ達の書類上の保護者に連絡を取るのは流石に時間が掛かった。…同意書に同封されていた手紙もあってね。……彼女の友人家族達の手紙も入っていたよ。……後で目を通すといい、よ」

「え……?」

「それってもしかして…」


 はっきりと思い浮かぶ人物が居た。頼りになる大きな背中、昨日もその人物について話して、話を聞いた。

 そして、その友人家族。それは、俺達が初めて戦った理由、寄る辺のなかった俺達に、ここに居てもいいと言ってくれた人達。


「……ああ、キミ達の思い描いてる人物で間違いない。…キミ達はこの世界で二人だけではない、よ」

「…知ってるわよ」

「…ああ、教えられたからな」


 隠し事があった。目を反らして居たことがあった。笑いながら、考え無いようにしていたことがあった。


 三人の同級生に対して、フルリスにさえ感じていた。

 嫉妬と言う程、強くないのに。心のどこかにあったもの。

 皆が、羨ましかった。親が、家族が、居るみんなのことが。


 それが、少し軽くなった。


「……さぁ、来る森林探索。…これからは、怪我の確率を百分の一から、万分の一に変える作業。…時には、厳しく指導しよう。…あえて言おう、逃げ腰の負け犬はこの教室にいるかね?」

「居ねぇよ」

「居るわけないわ」

「存在しませんわ」

「居ませんね」

「居ないっての」

「……よろしい、授業の時間だ。…共に、学ぼうじゃないか、ワタシの生徒達よ」

 そして、授業は始まった。


 余談だが、アーテナイの印章を見たメグがまた様子がおかしくなった。始めに『アーテナイ様の紹介で編入する』って言ったよな。あ、本人が保護者とは言ってなかったのか。ついうっかり。





次回、学園編、第四節『未来への行進曲マーチ』開始します。



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