表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章四節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第三節 若葉の協奏曲

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/158

140.推しが一緒だと楽しい。世間は狭い、パート2。



王都でも一等地と呼ばれる場所がある。人通りが多いところだったり、主要施設の近くだったり、王都の入場門の正面などもそうだろう。

デライラさんの商店は、まさに大通りに面した商店の一つだった。店は大きく、門構えも立派だ。


「まぁ、二人ともいらっしゃい」

「こんにちは!デライラさん」

「お久しぶりです。デライラさん」

「はい、こんにちは。さぁ、上がって上がって」

招かれてから、お店に入る。今日も営業中の用で、複数の店員の人たちに頭を下げられる。

会釈を返しながら、デライラさんの後ろを歩くが、少しだけ場違い感がある。


「それにしても、ね…」

「ああ、俺達は服屋に縁があるみたいだ…」

店内を見回しながら、ナデシコとこっそり話す。

デライラさんのお店は服屋だった。それも、呉服店やドレスショップといった少し上級な人向けの。


どうしてもラケルを思い出す。俺達は、こちらの世界に来て一ヶ月間、ラケルの服屋の一室に間借りして過ごして居たのだ。

少し胃の弱い、アレクさん。異世界の服に強い興味を持っていた、カレブさん。俺達の料理の先生、シャーロットさん。そして、もう一度会いたい、アメリアちゃん。

皆、すばらしい人たちで、この世界での恩人だ。



「ごめんなさいね。学園と学院の進級の時期はお披露目の季節で、お店を閉められなくて」

「ううん、むしろ、珍しいお店が見れてラッキーって感じ」

「俺達だけだと、少し入りづらいし…いや、悪い意味じゃなくてな」

「ふふ、よかった。来てくれて嬉しいわ。なんなら、一着仕立てていく?お安くしとくわよ」

「また今度ね」

「まだ身長伸ばすから、大きくなったらな」

「それはいいわね。楽しみが増えたわ」

そんな会話を交わしながら、居住スペースまで案内された。

ラケルに居たときもだったが、お店と家が一体になっているのが標準的なのかもしれない。

しかし、そこは立派なお店の居住空間、家というよりお屋敷だった。


「さあ、掛けて?今お茶をいれますからね」

「あ、デライラさん、これお土産。焼き菓子なんだけど、よかったら食べて」

「まぁ!ありがとう二人とも。お茶菓子にしようかしら」

机とテーブルがあり、応接間のような所だった。お土産はデライラさんは少しお年を召しているので、焼きドーナッツにした。


その後は、楽しいお茶会になった。学園の話や、王都の話をした。しかし、一番話したのはアーテナイの話だった。王都での演劇での扱いや、どんな食べ物を美味しそうに食べていたかなど、思う存分話した。


「ふふっ、色んな話をありがとう、二人とも。とっても楽しかったわ」

「こちらこそありがとう、デライラさん」

「お茶も美味かったし、話も興味深かったわ」

「美味しかったのは、二人のお菓子もね」

一時間以上は話しただろうか、お茶も何回もおかわりしていた。そこで、今更気付いた。カップがもう一つあったのだ。


「デライラさん、誰か来る予定だったのか?」

「……実はそうなの。私が小さな頃に、私にアーテナイ様がすごい、とっても素敵、って話してくれた人がいて、ファンになったのも彼がきっかけ。二人にも紹介しようと思ったのだけれど……はぁ、来るって言ったのに、すっぽかされたのかしら?」

デライラさんは困ったように肩をすくめた。それは一体誰だろう。

疑問に思っていると、部屋の入り口が開いた。


「すっかり遅れてしまった、すまないね。デライラ……おや?」

「「………え?」」

「遅いですよ。アイヒェさん。あら、もしかして知り合い?」

そこに居たのは、ルスィスさんとシェーヌと父親、エルフのアイヒェさん。……いや世間が狭すぎる!?



「私、王都生まれでは珍しい、全く魔法に適性がない子供だったの。緑のユデッィト様に憧れてた私は、とっても落ち込んだわ。そんな時、アイヒェさんに声を掛けられたの」

「魔法だけが魔力の使い道じゃない。それに他にも、英雄は居る。そう、私を助けてくれた赤のアーテナイ様とかね。……確かそんな事を言ったかな?」

「ええ、それにしても、あの頃から変わりませんね。お顔も態度も」

「私にとっては、君は今も可愛い女の子さ」

「まぁ、光栄ですわ」

軽く挨拶を交わしてからアイヒェさんが席に着き、話は出会いのきっかけになった。

俺達も話したが、祭りの最終日に会って挨拶をした程度の仲なので、次はアイヒェさんとデライラさんの話になったのだ。


「という訳で、私達は同好の士、という訳だね。まだ50年程かな?」

「もう50年ですよ。時には相談役、今では茶飲み友達ね」

長い付き合いだ。俺とナデシコが約10年幼なじみやってるが、その五倍か。


「さて、二人の話は後からデライラから聞こうかな。代わりに、デライラには何度か聞かせた話になるが、まだ各都市を復興していた頃のアーテナイ様の話をしようか」

「ええ!是非!」

「お願いします!」

「ふふっ、お茶のおかわり、持ってきますね」


こうして、同じ恩人を持つ物同士の親交を温めることになった。周囲からは、それこそ話をねだる子供と好々爺の様に見えるだろう。

しかし、俺達は同行の士。推し活に年齢は関係ないのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ