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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章四節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第三節 若葉の協奏曲

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138.トラブるな身体測定。数値の開示。



図書館棟から校舎に戻っていく道中、つまり男女比が変わって行くほど、俺に向けられる視線は増える。

あまりにジロジロ見られる時には、そちらを向いて、軽く会釈。そうすると、自然と態度が軟化することを覚えた。やはり挨拶は最強のコミュニケーションの基礎スキルだ。


そして、教室の前までやって来て……。


「おっと…ヤマトでーす。入っていいですかー?」

そう、ここで確認せず扉をうっかり開けてハプニング、なんてのは少々お約束が過ぎる。

あれが許されるのは極めて特殊な状況下であり、したことは無いが実際にやってしまうと大変気まずいだろう。


「……おや、ヤマトくん。…ご苦労様、入っていい、よ?」

担任のユディット先生からの返答あり、安心して扉を開ける。時刻は単元の合間だろう、時間調整もバッチリ。安心して扉を開けた。


「…ヤマトぉ……」

涙目でへにゃへにゃになったナデシコが居た。そのまま、抱きつかれた。教室を見れば、気まずげに目を背ける若葉組のメンバー。ただし、ユディット先生は平常運転。紙にペンを走らせている。


「おーよしよし、お疲れさま、ナデシコ…」

抱きつかれたまま、俺はナデシコの頭を撫でる。まるで予防注射を終えた子供のようだ。今日は、できる限り優しくしよう。ナデシコを見下ろす、そして目が合う。


「ねぇ、ヤマトの採寸も、必要、よね?」

その目には光が無かった。



そして、今、俺は上半身裸で皆の前に居る。


あ…ありのまま。今、起こった事を話すぜ!

俺は開けたと思ったらいつのまにかナデシコに確保されていた。

… な…何を言ってるのか、わからねーと思うが俺もすぐに服を脱がされたことしかわからなかった…。

頭がどうにかなりそうだった…。


超スピードという、ちゃちなもんだが油断をした俺を剥く程度、容易かったらしい。


「……すばらしい。魔力を暴走させず、それでいて、これまで以上の魔力をこなしている。…ボタン一つ壊さない精密動作だ、ね」

「言ってる場合ですか、学園長!?」

「……パパより堅そう…」

「流石兄上、よく鍛えてますね」

「……と、殿方のものを、初めて見てしまいましたわ…」

そっかー、お色気イベントって、他人事じゃないんだなぁ……。


「よかったじゃない。毎晩こっそりしてる腹筋の成果が出て」

「いや、もういっそ、それを言われる事の方が恥ずかしいんですけど!」

なんでバレてんの!?


こうして、俺の数値は皆に知らされることになった。まぁウエストだけだが。

というか、これなら普通のお色気イベント寄こせよ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



というわけで(?)、時刻はヤマトが教室を出て行ったしばらく後に遡る。


なお、以下に含まれる数字は分かりやすいようにcm単位で表した場合のものになります。

三つの数字は順番に、胸囲バスト/胴囲ウエスト/腰囲ヒップを表す。



「うぅ…、ヤマト、どうして私を置いていったの…」

迷宮の奥地に仲間に置き去りにされた主人公のような事を言っているのは、ナデシコ。

測定後は衣服をしっかり、着込み、食事制限を決意。


記録、86/61/83。

本人曰く、普段のウエストは59を申告。

まだまだ成長期と思春期真っ盛り。普段は体型なんて気にしてませんよ、などと振る舞いつつ、昨日食べたもののカロリーを気にしてる。



「そりゃ、あたし達の下着姿を見ないように出て行ったに決まっているでしょ?ま、あたしの兄貴分名乗るなら当然ね」

なんだかんだ、ヤマトへの年上としての信頼度は高め。ナデシコへの好感度は友達のライリー。

自分の身体に恥じる所はないと胸を張る。


記録、73/58/75。

普段の運動で、昨日のケーキもなんのその。

昨日の夕飯、今朝の朝食も親と揉めてもしっかり完食。



「むしろ、兄上にはありのままの姿を見て頂いてご指導頂ければと」

「「それはダメ!」」

「そうですか…」

最近、自分と周囲のズレを認識してきたイザベラ。素直に周囲のアドバイスを聞くように母親にも指導された。

母が居ると食欲も進む、昨日は元気なおかわりで家庭に笑顔を灯した。


記録、70/53/69。

運動量に対して、食べる量が少し足りていない。今も、少しお腹がすいている。

一見、華奢のようにも見えるが、剣を振る筋の強さは同世代の男児に勝る。



「慎み、というものがありますわよ。それにこの特別クラス、若葉組に在籍する以上、学園の顔として、自己管理、節制は万全にして置かないといけませんわ」

「はい、メグさんはお腹の力抜きましょうねー」

「……クッ!同情的な笑みは要りませんわ!」

実はこういった測定は事前に言って欲しいと思ってる一般人のフリをしたお姫様。

あっさりバレた見栄に対して、周囲の温かな目で調子を崩している。


記録、75/59/77。

昨日、甘い物は別腹という言葉に一番惹かれていたが、昨日の夕飯は少なめに食べることにした。

それはそれとして、また食べたいという思いは捨てきれない。実はヤマトのケーキのレシピを三人の中で一番楽しみにしている。


そして、皆の測定と記録は終わった。全員が服を着終え、残り時間は教室での自習となった。


「……皆の数値は分かった。私達が厳格に管理しよう。……体格における相関関係は…」

記録をとっていたが、すでに別の事に気をとられているユディット。ちなみに、本人の記録は81/57/83。長身で細身だが女性的でもある。


「そうですね。ヤマトくんのも確認して発注を掛けますね」

実際に測ったエマも、一息付いた。ちなみに「……なにか不快な気配が」

「どうしたんですか、学園長?ドアも窓もしっかり閉めてますし、周辺に魔力の反応もありませんよ?」

「……いや、気のせいだった」

とっさに杖を抜いたユディットは、再び手元の数字に目を落とした。そこに、エマの数字も書き込んでいるが、そこだけは暗号化している。万が一にでも自分以外に知られたくないのだろう。


「そうよね、ヤマトの数字も分からないとね…」

そんな小さな騒ぎの中、ナデシコは一人、呟いていた。


かくして、この後、八つ当たりにも近い復讐譚は綴られることになった。


後日談。

冷静になったナデシコは、やり過ぎだったかな、と数日間おかずの一部を譲ることにした。

それに対して、ヤマトはダイエットだな、と思ったし、一緒の食卓のネリーはいちゃついてるな、と思ったとさ。



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