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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第二節 学びは交響曲

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119.後悔しないために公開する。出来る事の確認。



現在、ユディット研究室の屋上。屋上には物が無く、何かを壊す心配はないようだ。この場には、4人、俺とナデシコと教師陣。そこで俺達の『切り札』を見せる事になった。


「……いつでもいい、始めてくれたまえ」

「分かったわ。手順は、めちゃくちゃ気合いを入れる。以上よ」

「そのために、魔力の波長を合わせて…っと」

ナデシコと手のひらを重ね、魔力の波長を合わせる。先ほど魔力を内と外で捉えたからだろうか、はっきりと使える魔力が増えていると分かる。そう言えば、これにも名前がないな。同調?共鳴?

しかし、この行為も前座だ。


「す、すごいです。こんな瞬時に魔力の波長を合わせられるなんて…」

「……元々似通った、二人だからこその芸当、だね。…しかし、続きがあるようだ」


ナデシコと手を離す。ナデシコは力を込めるように両手の平を握り、俺は腰の日本刀『姫桜』へ手を伸ばし、その柄を握る。

そこから必要なのは、意志。今まで使った時には、助ける為、というお題目があった。しかし、今、それはない。


だから、これからも使いこなす為に、力を引き出す。あえて言うなら、これからの俺達を助けるため。


『姫桜』から手応えが返って来たような感覚があった。

それに返答するように、引き抜く。全身に力が満ち、視界の端で桜色が揺らめく。

そして隣で、白いツバサが舞う。ナデシコもすでに魔力のツバサを展開している。


「……想像以上だ」

「誰も想像出来ませんよ、きっと女神様でも…」


すでにユディット先生とエマ先生には、俺達が変わっている事が見えているだろう。

俺の髪は桜色に染まり、ナデシコの髪は白、そして、その背にはツバサ。


「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ」

その言葉に、ユディット先生とエマ先生は懐から即座に、杖を取り出しナデシコに向ける。


「ナデシコ、シャレになってない。ほら、先生達、構えちゃったじゃん」

「ごめんなさい。冗談です。許して…」

ナデシコは上半身を倒して頭を下げる。ツバサも追従するので、一歩避けなきゃいけなかった。先生達も嘆息と共に、構えを解いた。


「……中身は変わっていないようで安心、いやある意味残念なまま…なんでもない」

「もう!変な冗談は禁止です!」

そう、この状態になっても中身、性格に影響はない。俺達は俺達のままなのだ。


「……さて、いくつか質問、だ。…どのくらい、その状態を維持できる?」

「試したことないわね。ただ、続けただけ、その後に反動みたいに疲れがくるわ」

「始めての時は倒れたけど、意識ははっきりしてたな」

「……魔力の使用は精神的負荷の筈だが、肉体的負荷も一緒に……強化の系統に…いや…」

ユディット先生は質問の後に、なにやら考え込んでしまった。


「じゃあ、私からも。…その、ナデシコさん、もしかして飛べたりします?」

「もっちろん!飾りじゃ無いのよ、コレ!ちょっと飛んでみるわね」

「目立ちすぎないようにな?」

「はーい」

そう言うと、ナデシコは膝を曲げ大きくジャンプ。その勢いのまま、数メートル上空を旋回したり、その場で滞空したりしている。


「……自分を一つの魔法と認識して、その軌道を操作…いや、もっと単純に魔法にぶら下がった状態……」

「まるで絵本の中、ですね。目を疑いますが、現に起っている……」

「ま、ざっとこんなもんよ」

「相変わらず、物理法則もあったもんじゃねぇな」

「でしょ?」

ナデシコは胸を張った。この飛行能力には何度か世話になっているし、便利だ。もし俺だと怖がってナデシコのように使いこなせない気がする。


「……ヤマトくんは、剣を抜いたが、何か関係があるのか、な?…見たところ、ごく自然に付与の状態になっているが…」

「ああ、何でか分からないが、俺はこの刀、『姫桜』が無いとこの状態にはなれない」

「髪の色も二人で違いますね。ヤマトくんの背中はそのままですけど、飛べたりするんですか?」

「いや、飛べないな。出来るのは……この刀を遠くへ届かせることくらいか?」

「……武器射程の延長?…それとも、カタナとやらから魔法を放つことが出来るのか、な?」

「ヤマト、見せた方が早いんじゃない?ユディット先生、近くの木で斬っても困らない所ない?」

「……枝なら、どこでも構わない、よ」

「そうか。じゃ…」

両手で、『姫桜』をしっかり握る。どこまで届くかは、なんとなく分かる。辺りの木を見回すと、鳥にでもぶつかったのだろうか、枝が半ばから折れた枝が見つかった。

彼我の距離、20m程、間に遮蔽物、無し。十分だろう。


「―――桜然閃さくらぜんせん

一閃、『姫桜』振る。ほぼ同時に先ほどの枝を裁ち切られ、地面に落ちていく。もう一度位、当てられそうだ。


「二連!」

空中で落ちる枝をもう半分にする。地面に落ちた枝は二本、枝が半ばから折れた部分と、真っ直ぐ伸びた部分。


「やるじゃない。折れてたから、空中で一定の軌道じゃなかったのに、追撃を当てるなんて」

「……狙いは正確だ、ね。…見たところ、魔法にも分類出来ないような攻撃だ」

「まぁな」

結果を確認して、納刀。胸を張ったナデシコの気持ちも理解出来る。褒められるのは気分がいいものだ。


「魔法でいいような………はっ!ごめんなさい!つい!」

エマ先生の、何気ない一言が、俺をきずつけた。



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