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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第二節 学びは交響曲

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118.魔力の鍛錬法。うっかりな人。



「……ワタシがキミ達が異世界から来た信じたのは、その異常な魔力も一因だ。…アーテナイも同様の感覚はあった、と思っている。…そして、今から与える課題は、その潜在魔力を顕在させる為の、鍛錬法、とでも呼ぼうか?…どうする?」

その瞳は試すようだった。しかし、答えは変わらない。


「今朝と一緒よ」

「使こなせるようになってみせるさ」

「ちょっと怖いけどね?」

「やらない理由にはならない、だろ?」

俺とナデシコで顔を見合わせる。そう、二人なら大丈夫だ。


「……それは。恐れ知らずより随分マシさ。…では、始めようか?」

「え?ここでか?」

「……方法自体は簡単さ。…よく、魔力を自覚していない子供に、自身の魔力を自覚させる方法でもあるからね。…しかし、その者の魔力量が多いほど、精神的疲労の具合は跳ね上がる」

「ああ、あの鍛錬法ですね。私が説明しましょう。ユディット様はヤマトくんとナデシコちゃんの様子を見てあげてください」

「……助かるよ、エマ」

そして、応接室での講座は始まった。広い応接室の片隅で向かい合った俺達。


「姿勢は自由で大丈夫です。まずは目を閉じ、自分の内側の魔力を見てください」

「……他人の魔力を見る感覚にと似ている、と言えば伝わるかな」

目を閉じる。魔力は全身に行き渡っている。しかし、集中すると胸から横隔膜辺りの力の塊があり、そこから全身に行き渡ってるように感じる。


「恐らく、胸の辺りにその根源を見つけたと思います。次にその前で手を合わせてください」

「……肺と心臓の辺りさ。…魔力の循環は血液の巡りや呼吸によく似ている。無意識でも出来ることを、意識的にやって見たまえ」

胸の前で手を合わせる。自然に呼吸が深くなった。血の巡りを自覚し、指先まで意識する。感覚の拡張は、ナデシコと魔力を共鳴させた時と似ている。


「少しだけ、手を離してください。手の形が、力を抜いた状態と同じになるように程度に。そして、魔力は繋いだままですよ」

「……ナデシコくんは、まだ力が入っているね。…ヤマトくんは魔力が途切れた、よ。もう一度やり直しだ」

ここで、個別に具体的なアドバイスが入った。それぞれ苦戦しながらも、エマ先生の指示通りに出来た。


「自分の内側の魔力を見ながら、少しだけ目を開けて手の間も同時に見てください」

「……目は半目の状態だ。…内と外、どちらを見逃してもいけない、よ?」

これは先ほどより苦戦しなかった。これは、瞑想に似ている。黙想とも言うが、俺達の世界にもあった精神統一の方法だ。


「最後です。手と手の間を器に見立てて、そこを魔力で満たしてください。そして、できる限りその状態を保つ。これが、この鍛錬法の全てです」

「……器のイメージが難しいなら、球体でもいい。…今集まった魔力、それがキミ達の顕在魔力のおおよそ一割だ。一度の魔法で使う魔力量の目安ともなる」


魔力で満たす。初めは順調だった。手の平から魔力を送る。しかし、徐々に重く、指先が震えるようになってきた。そこには魔力しかない筈なのにまるで重さの塊があるようだった。

悲鳴を上げるのは、筋肉ではない。神経が負担を感じている。耐えながら、なんとか球体を形成した。


「……そこまで」

その合図で力を抜いた。呼吸は絶えずしていたはずなのに、肩で息をして、膝に手を着く。ナデシコも俺も似たようなものだ。

ここが人の家ではなかったら、床に寝転がっていたところだ。


「いかがでした?二人とも」

「最高の気分よ」

「後、5セットいけるね」

「……強がる元気はある、と。…では、まず3分が目標でいいかな?ただし、挑戦は1日3回まで。期間は1週間」

「「…………超ヨユー」」

「ではないみたいですね」

しっかり見破られてきた。さっきのは、多分、10秒程度だ。3分、つまり180秒、18倍か。うん、素直に今は無理だ。


「……多少の『ズル』は、認めるよ?」

「今更だけど、はっきり聞くわよ。私達の『アレ』知ってる?」

「あいにく名前はまだ無いから、『アレ』としか言えないけどな」

「『アレ』?」

エマ先生は首を傾げている。『アレ』に関しては話しては聞いて居ないようだ。


「……やはり、あったか。キミ達の力を飛躍的上げる方法が」

「その言い草だと知らなかったのね…」

「マヌケは見つかったみたいだな」

そう、俺達のことだ。鎌かけに見事に引っかかってしまった。


「……簡単な推理さ。キミ達の戦力は精々、Aクラス冒険者なりたて程度だ。…だが、ラケルでの『大型魔物討伐』『魔物の巣窟駆除』そして、直近の『フォレストタートル撃破』これらに関わるには戦力不足だ。…故に、なにか切り札がある。…そう読んだ、だけだよ」

「いや、それはそれで、どれだけ情報収集してるんだよ。特にラケル二つは、書類には残さなかった筈だぞ」

面倒事を避ける為、アーテナイも俺達の戦果であることを隠すことに協力してくれたのだが。


「……アーテナイの紹介状に、自慢げにキミ達の戦果が書いてあった。…他言無用、とは書いてあったので、学園の書類には添付出来なくなってしまったが、ね」

「「……アーテナイ」」

俺達は、朝の時点で紹介状を渡していた。まさか、そこから真相にたどり着くとは……。


俺達の世界に招待することがあったら、ユディット先生には明智の名字を、アーテナイには八兵衛の名前を贈ろう。



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