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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第二節 学びは交響曲

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114.第三試合の終了。勝者はどちら?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……上等じゃない。受けて立つわ、『お姉様』としてね」


ナデシコは微笑む。もう苛立ちはない。あるのはだだ、美しいまでに獰猛な対抗心。


「ユディト先生。質問、ようは魔力の塊をド真ん中にぶち当てればいいのよね?」

「……ああ、そうだが。…そう言えば、制限を言って居なかった、な。…壁を破壊するのは無し、どれほど大きな魔法を形成しようとも、その中心点で判断しよう。…幸い、目はいい方だ、その見極めは私がしよう」

「了解、だったら問題ないわ。練習も結構。私が代表よ。早速いきましょう」

これは、止めても無駄っぽいな。


「頑張れ、ナデシコ」

「もちろんよ!」

ここは、ナデシコに任せよう。ナデシコは、杖を選ぶと位置に付いた。



「ねぇ、ホントに大丈夫なの?どう見ても、頭に血が上ってるけど…」

ライリーが控えめに聞いてくる。

「ああ、あの状態ナデシコが負けるなら仕方ないさ。そう言えば、ライリーには聞かせてなかったな。なんせ…」

「楽しんでるナデシコさんが一番厄介、ですよね。兄上」

「…そうだな」

「それは………確かに体感したわね」

俺の台詞は、横からひょこっと顔を出したイザベラにとられてしまった。

だが、その言い分に実際対峙したライリーは納得したようだった。



「さぁ、見せて頂きますわ…!」

メグは、邪魔にならない程度に近くで、ナデシコを見ている。

先ほどの四連続魔法の疲労は見えない。確かに、消費した魔力は小さかったが、集中力はある程度使った筈だ。

だが、疲労の色は見えない。むしろ調子がよさそうだ。今からもう一度、的当てをしても、ド真ん中を当ててくるだろう。


「ええ、見てなさい。『ストーン・ボール』!」


ナデシコは左手に杖を持ち、先端を自分の手の平へ。そして形成されるのは、縫い目までバッチリ再現された野球ボール。

それを手に取ると、魔力で作られたそれの感触を確かめるように握っている。


「……魔法を、握った…?」

その行為に俺以外の皆が、言葉も無く見ていたが、誰もが思っていた疑問を言葉にしたのはユディト先生。


「ヤマト!よろしく!」

ここでまさかの、キラーパス。しかし、意図は分かる。実は異世界に来て2回目なので。


「プレイボール!!」

「「…プレイボールって何!?」」

俺の宣言に、困惑の声が上がる。

それに構わず、ナデシコはワインドアップ。即ち、軸足に体重を乗せ、片足立ちでバランスを取る。

次に腕を後方に引き、タメを作る。


「ピッチャー、大きく振りかぶって第1球を…投げました!」

「投げましたの!?」

タメを作った状態から、腰を回転させ、腕を加速させてリリースへ向かう。

そう、リリース、ボールが手から離れる瞬間。体から遠い位置で離したのだ。

ちなみに、アナウンスはナデシコのセルフサービス。


―――パンッ!


「…魔法の音じゃないですね、学園長」

「……ああ、だが見事にド真ん中だ、ね」


初球は、ストレート。一直線に伸びていく見事な球だ。

ナデシコはリリースの後、腕を減速させ、体幹の回転で力を逃がしていた。肘などを痛めないためには、投球後の動作が重要だ。


「ストライク!いいぞ、ナデシコ!」

「…すとらいく、とは何なのですか、兄上?」

「いつか必要な時に教える」

「分かりました!」

「…分かっちゃうのね……」

外野が盛り上がっている間に、ナデシコは次の球を作り終えている。

そして、その握りは……。


「ピッチャー、第2球を…投げました!」

「ダメ!ちょっと高いわ…!……え?」

恐らく、ライリーは動体視力がいい。強化で、身体能力向上させ、早い動きにも慣れているからだろう。

だから、その軌道が、中心より上にいくのが分かったのだろう。


―――パンッ!


だが、ド真ん中。そう、先ほどのナデシコの握りは、人差し指と中指を大きく広げ、ボールを深く挟んだような形。つまり、フォークボールだ。


「ピッチャー、第3球を…投げました!」


―――パンッ!


次の軌道は、山なりを描くように曲がる。カーブボール。握りは中指をボールの縫い目にかけ、人差し指を添える形、縫い目まで再現したのはこのためだろう。


「……驚いたな、軌道を操れるの、か」

「いや、もっと驚く所ありますよ、学園長!?」


ナデシコはマウンド、じゃなかった、所定の位置でボールを持って集中している。

恐らく、ナデシコの脳内イメージではラストイニング、最終回、ここで決めれば試合終了の場面を構築している。


「ナデシコ、後一人!」

「後一球ではないですか、兄上」

「いや、後一撃でしょ!?」

イサベラは、素質があるな。ノリ、という点で。

だが、ナデシコに乗られては困る対戦相手が一人。そう、メグだ。


「ところで、ナデシコさん。ヤマトさんとはどこまでいきましたの?」

「…………」


ささやき戦法。捕手が打席に立った打者に対し、集中力を削ぐような言葉をささやいて心理的に揺さぶる特殊な守備戦術。しかし、これをメグは攻撃に使った。だが、ナデシコは答えない。集中は途切れていないのだ。

そして、ナデシコが最後に選んだ握りは、ストレート。


「ピッチャー、最後の一球を……今…投げましたァ!」


―――パァンッ!


本日最高速、そして判定は……。


「……少しズレた、ね」

「あ、でも線上ですよ?」

いや、効いてるやないかい。

教師陣は、その弾痕、いや球痕を詳しく見て判断した。


「……つまり2点、これまでが4点が3回、合計14点、ですわね」

「これまでの点数が14点、合計すると…28点」

「わたしたちの27点より、1点勝りますね」

メグ、ライリー、イザベラは確認するように呟いた。


「お疲れ、ナデシコ。…どうした、不機嫌そうじゃないか」

「……だって、最後ちょっと外したし」

「勝ちは勝ち。……ま、俺達はどこまでもいける、ってことで、ほら」

「うん!そうね!」

「「いぇーい!」」


ゲームセット後はハイタッチ。

互いのチームの健闘を讃える前に、俺達は二人で喜んだ。



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